記事一覧:コラム2379件
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Book Reviews 目利きのお気に入り
海外消費者の心をつかむ 日本のお菓子・感性の本領
2015年4月25日号『なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか』は、キャラクターを軸とする日本のメディアミックスの構造に挑んだ意欲作です。著者によれば米国にも「トランスメディア」というメディアミックスがありますが、ストーリー(物語)が軸であり、その連続性と拡張性が問われます。一方日本では、キャラクターは独自に存在し、物語の連続性は問われず、玩具や文房具などのメディアに拡散していきます。源は鉄腕アトム。静止画を多用した「電子紙芝居」として構成するアニメ手法で、キャラクターにはさまざまな「物(もの)の怪(け)」が宿る。メディアミックスはそんな日本人の感性に反応する表現形式なのだ、と感じました。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
リフレ派の観点から総括した アベノミクスの“徹底解説書”
2015年4月25日号第2次安倍内閣が誕生し、日本銀行が“インフレ目標政策”を導入するようになった2013年以降、「アベノミクス」の是非を論じる経済関連書籍が次々と出版されている。こうした流れの中で出版された『世界が日本経済をうらやむ日』は、結論として、アベノミクスはうまくいっているため、今後も続けるべきだと断言している。主に二つの内容から構成されている。
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Book Reviews 知を磨く読書
新たな知の可能性を拓く力
2015年4月25日号ドイツのライプチヒ大学東アジア研究所の小林敏明教授の『柄谷行人論』は、文芸批評家で傑出した思想家でもある柄谷行人氏の思考を「他者」というキーワードを軸にして読み解いた意欲的な作品だ。
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Book Reviews 著者のホンネ
ゼロベースで考えよう 「独自の思考」をする方法
2015年4月18日号本の中では、創造的な考え方をするには、「週に1、2度考えるようにすればいい」と書きました。多くの人は、自分はものを考えていると思い込んでいますが、実際にはじっくりとものを考える機会自体、ほとんど持っていません。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【旅行・乗り物】 鉄道が乗り物の王者だった頃 ノスタルジーに浸る3冊
2015年4月18日号北陸新幹線や上野東京ラインの開業といった華やかな話題の一方で、寝台特急の廃止や旧型車両の引退といった寂しい話題も少なくない鉄道界。惜しまれつつ去っていく車両がニューフェースとして登場したのは、半世紀近く前の1970年ごろのことだ。時が流れるのは速いものだが、そうした時代に思いをはせる鉄道本が相次いで出版された。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
ネット社会黎明期の興奮 来るべき新しい時代の姿
2015年4月18日号この4月で、NTTが発足し、通信自由化の扉が開いて30年だとか。それはインターネット社会の黎明と成熟の時期でもありました。絶妙なタイミングで放たれた『日本インターネット書紀』の著者は、1993年に国内で初めてネット接続サービスを提供したIIJの創業者。根強い規制が残る中で通信大手との闘いや合従連衡、経営者としての苦悩、そこを生き抜いてきた者だけが語るネットの未来像。450ページを超える大部は、幕末の維新伝を読むような興奮に満ち、時代資料としても一級品です。ネットが当たり前のデジタルネイティブにこそ手にしてほしい。大和国の創世記物語である『日本書紀』とネット社会誕生を重ねた書名に、著者の思い入れと自負がにじみます。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
ヒトラーが台頭したドイツは なぜ盲目的に彼を支持したか
2015年4月18日号本書は、アドルフ・ヒトラーが第1次世界大戦後のドイツで政治家として出発し、選挙を経て首相に就任してから「総統」として独裁的な権力を固め、第2次世界大戦に突き進むまでの歩みを、間近で観察した人々の目を通して跡付けた意欲作である。主な素材は、ヒトラーと接触した米国人が残した膨大な手記、書簡、報道、論説などだ。
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Book Reviews 知を磨く読書
社会人に求められる勉強の技法
2015年4月18日号時代の変化に対応するためには常に勉強を継続することが重要だ。勉強法についてはさまざまな本があるが、大学受験の技法から学ぶべきことが多い。林尚弘著『参考書が最強!』には、自習によって短期間に成績を上げるノウハウが記されている。〈1 授業はなく、参考書で自学自習する/2 参考書には解答解説が揃っているから、ノートは取らない/3 ノートを取る時間を「やってみる」時間、覚える時間に充てる/4 一度覚えたらテストをして、間違えた問題を重点的に復習する/5 完璧になってから次に進む/1週間でいえば、火曜日から金曜日まで1日に2章ずつ完璧にしていきます。参考書でいえば、1週間で1冊のペース。1週間に授業1コマ、1章ずつ進む従来の予備校と比べたら、なんと8倍ペースです〉。正しい順番で本を読み、必要事項を着実に記憶していくという勉強法は、受験以外でも効果を挙げる。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年4月18日号株式市場ではずいぶん前から話題になっていたので、気にはなっていました。世紀の抗がん剤を開発した小野薬品工業です。中堅の地味な製薬会社という印象しかありませんでしたが、今や武田薬品工業やアステラス製薬といったリーディング企業をしのぐスター企業として世界的な注目を浴びています。
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This is.
DAKS 自分のためだけのオンリーワン・スラックス
2015年4月18日号父親の愛称「DAddy」とスラックス「slacKS」が語源の英国王室御用達ブランドDAKS。そのスラックスへのこだわり、経験と技術を集約して、希望に合わせたオンリーワンの一本を作ってくれるのが、DAKSのパターンオーダースラックスだ。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年4月11日号今週の特集は、新年度入りの定番、経済入門です。ただし、中身は定番ではありません。中国の世界覇権への野心、分裂の危機にひんする欧州の焦り、暴走するロシアの縄張り意識──。権謀術数、複雑怪奇な世界情勢を、ヒトラーが愛した禁断の学問、地政学で読み解きます。
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Book Reviews 著者のホンネ
グーグルが狙う自動車産業の 新しい“勝者の条件”に迫る
2015年4月11日号米国は自動車産業の復権を狙っています。その主人公はビッグスリー(ゼネラル・モーターズ、フォード・モーター、クライスラー)ではなく、IT企業のグーグルだというのが私の見方です。グーグルがすぐ自動車を扱えるようになるとは思いません。しかし彼らのすごさは、自動車を単一製品としてではなく、長期的な都市設計まで含めた大きなシステムやインフラの一環として描いている視点にあります。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【映画(DVD)】 テレビ連続ものの原点 あの『24』が帰ってきた
2015年4月11日号あのジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が帰ってきた『24(トゥエンティフォー) リブ・アナザー・デイ』。現在のテレビ連続シリーズのブームをつくったのは、何といってもこのシリーズだ。前に見たことあるなあ、という箇所もあるけれども、スタッフも手慣れたもの。いま目立った新作シリーズもないし、ジャックもさすが体がよく動く。どうせ名優の父親には及ばないのだから演技の道は諦めること。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
何を始めるにも今が一番若い 名編集者の熱くて濃い言葉
2015年4月11日号春は出立の季節。旅立つ者の背中を押してくれる本がそろいました。まずは、幻冬舎社長である見城徹さんの『たった一人の熱狂』。 「できるかできないかではなく、やるかやらないかだ」「現状維持をしている限り昨日と違う明日はやってこない」「恋愛が下手な奴は仕事ができない。なぜなら他者に対する想像力がないからだ」等々。とにかく熱く、濃い。あるサイトで、投稿者の質問に答えた51のメッセージが並びます。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
“勝利の確率”を上げる考え方 相手のクセを読むコツを説く
2015年4月11日号多くの意思決定の状況では、相手(人間とは限らないし、個人とは限らない)も自分も、それぞれ複数の代替案あるいは選択肢を持つが、お互いに相手の選択に影響を与えることはできない。相手と自分が独立に選択をし、両者の組み合わせによって、結果(勝敗)が決まる。
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Book Reviews 知を磨く読書
変化する「世界のルール」の地図
2015年4月11日号国内外の情勢は、刻一刻と変化する。社会の「ゲームのルール」がどう変化しているかについての地図を得るためには『池上彰のこれが「世界のルール」だ!』が最良のテキストだ。池上氏は政治家の本音をつかむのがうまい。〈安倍首相は記者会見で、「海外派兵は一般に許されないという原則も全く変わらない。自衛隊が、かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは決してない」と述べています。その通り戦闘には参加しないでしょうが、相手の国に「戦闘行為」とみなされる可能性はあるのです。/しかも安倍首相の「海外派兵は一般に許されない」という表現が微妙ですね。「一般」ではない、特殊な事情の場合は、あるのでしょうか〉。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年4月4日号私がオンライン英会話を始めたのは約2年前のこと。グローバルな競争をしている家電や通信業界を担当するに当たり、英語が理解できないことは、多くの取材機会をみすみす逃してしまうという焦燥感が後押ししました。
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Book Reviews 著者のホンネ
血みどろの権力闘争に迫る 類いなきノンフィクション
2015年4月4日号血みどろの権力闘争で江沢民と胡錦濤がぶつかり合って共倒れし、妥協の産物として誕生したのが習主席──。当初は誰もがそう思っていましたし、私もそうでした。しかし、過去に例のない激しい闘争の末に誕生したからこそ、歴代の指導者より権力基盤をより早く固められたといえます。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【スポーツ・ホビー】 指導者の資質が伝わってくる 松井秀喜が語る野球論
2015年4月4日号松井秀喜氏の『エキストラ・イニングス』は、彼が引退後に初めて語った野球論。巨人入団からこれまでに出会った指導者に受けた影響や日米でのプレーを通じて、彼が大事にしてきた野球を素直に披露している。「僕にとっての自信を端的に説明するなら、自分に有利な材料を必ず探し出すことだ」と不利な相手に立ち向かうときの心構えを教えてくれる。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
新しい職場ではまず貢献しろ 宇宙で学ぶ地球で大切なこと
2015年4月4日号あまたある仕事の中で、世界で最も難関なのが宇宙飛行士。それに挑み、3度のミッションと船長も務めた著者によるノンフィクションが『宇宙飛行士が教える地球の歩き方』。子どものときの決意、宇宙を目指すためのパイロットへの挑戦、宇宙飛行士としての訓練とミッション。同僚が宇宙遊泳中にトイレの修理に追われていたこと、帰還飛行での通信不能事態の発生など逸話を交え、「経験と教訓」というパターンで語ります。「新しい職場ではゼロになり、まず貢献しろ」等々、宇宙で学んだのは地球で最も大切なことばかり。原題の『An Astronaut's Guide to Life on Earth』が本書の趣旨を明快に示し、“究極の自己啓発本”といえましょうか。面白い。