記事一覧:コラム2379件
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
先史から現代までを通観する 暴力と人間の本性に迫る大著
2015年6月20日号過去を賛美する一方で、近代を呪詛する論調は多い。だが、それは過去の悲惨さをよく覚えていないからだ。本書は、長期的にも短期的にも、あらゆる種類の暴力が減少しているのが人類史の趨勢だ、と説く。
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Book Reviews 知を磨く読書
イスラム国、沖縄戦の真実
2015年6月20日号イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」(IS)は、現時点ではイスラム教シーア派との「内ゲバ」にエネルギーのほとんどを傾注し、欧米を標的としたテロ活動は若干、沈静化している。しかし、ISの危険を過小評価してはならない。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年6月13日号4月28日、ホテルニューオータニの大宴会場で開かれた日本建設業連合会の総会後のパーティは、会場を埋め尽くす建設業界関係者の熱気に包まれていてにぎやかでした。近くにいた“建設族のドン”こと二階俊博・自民党総務会長に「すごく盛況ですね」と声を掛けると「そらあ、当たり前や。何年か前はこんなんやなかったけどな」との答え。「コンクリートから人へ」の民主党から政権を取り戻し、「国土強靭化」を掲げて建設業の活況を実現した立役者の言葉は、自信に満ち溢れていました。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【酒・酒文化】 土地の名酒を育む人と自然 紀行エッセーを堪能する
2015年6月13日号日本は世界中で最も多種多様なウイスキーが楽しめる国、といっても過言ではないだろう。『スコットランド酔夢紀行』というタイトルだが、全体は3部から構成され、日本の蒸溜所やバー、シングルモルトにゆかりの人々も登場する。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
買いたくなる心理の教科書 ひっそりと売りたい素敵な本
2015年6月13日号この内容を学術的かつ難解にすれば「消費者心理学」の教科書なのでしょうが、コラム風の文章が楽しいのが『買う5秒前』。商品を買う買わないと決める、まさに5秒前の心理の正体を明かします。6カテゴリー、62の豊富な事例がイラスト付きで解説されています。例えば、懐かしい雰囲気が好きで古い物を大事にする「昔ながらに弱いワタシ」は、やはりこんな物を買ってしまう。「木のぬくもりに弱い」「歳時記を大事にしたい」「下積みに惹かれる」等々のワタシでは、一体何が引き金になっているのか。楽しく「やられたぁ~」と感じさせてくれる好著です。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
IT分野で注目の著者が描く 人間と機械をめぐる将来展望
2015年6月13日号昨今、いろいろな分野において“仕事のデジタル化”がすさまじい勢いで進行している。本書は、すでに多くの研究が始められている仕事のデジタル化現象に関して、熟練、記憶、倫理、文化、人生の意味など広範な側面から考えるヒントを提供してくれる。もともと、オートメーションの設計者は、人間が非効率的でミスをしがちであることから、人間によるプロセスへの関与を極力減らして、人間の負担を減らすことを目指した。人間をルーティンワークから解放することにより、人間がより高次の知的活動に従事することを可能にすると考えられた。
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Book Reviews 知を磨く読書
米国と日本の「価値観と国益」
2015年6月13日号ブレット・スティーブンズ氏は、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙のコラムニストで、保守的な論客として知られている。『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』において、オバマ政権の弱腰外交を批判し、〈保守派の外交政策とは、人心を勝ち取ることではなく、諸外国にある種の習慣を持たせることだ。すなわちレッドラインを慎重に設定し、それを行使するときは徹底的にやる。正義ではなく抑止のために断固たる行動または予防的措置を取り、あからさまな秩序逸脱を罰するか予防する〉と強調する。
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This is.
AIRFRANCE 空の上のハイグレードホテル
2015年6月13日号エールフランスの新ビジネスクラスは、フルプライバシー・フルフラット・フルアクセスの「3つのF」で快適さを高めた上質なサービスだ。横の配列は、わずか4席。全席から自由に通路に行き来できるので、隣を気にせず席を立つことができるのがうれしい。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年6月6日号日本の経営者は小粒といわれますが、それでも私が今、特集でフォーカスしたい人が5人います。ここでは名前は挙げませんが、行動力や発想力など、いずれ劣らぬ魅力的な人ばかりです。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【ミステリー】 システム開発現場のリアル ラストまで息もつけぬ長編
2015年6月6日号オシーン・マッギャン『ラットランナーズ』(中原尚哉訳)は創元SF文庫の一冊で、近未来のロンドンを舞台にしているが、帯に「都市冒険SF」とあるように、裏社会を生きる4人の少年少女たちの冒険を描く長編なので、当欄で紹介してもいいだろう。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
世の「嫌な感じ」を説き明かし 社会の病理に警鐘を鳴らす
2015年6月6日号世の中が、なんとも言えぬ「嫌な感じ」に覆われている──。そんな気色悪さを感じている方も多いのではないでしょうか。それに応えてくれるような刺激的な著作が相次いでいます。まず『紋切型社会』。若い新しい批評家の登場です。著者は、会話や広告キャッチコピー、政治家のスローガンなどに登場する「全米が泣いた!」「国益を損なう」など20の紋切型の言葉と、言葉が使われる背景にある現代の諸相を説き明かします。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
労働経済学の第一人者が説く 企業の競争力についての考察
2015年6月6日号近年、日本企業では、株主利益の重視、四半期単位での業績評価、社外取締役の起用など、“米国的経営”の導入が盛んである。とりわけ上場企業では、米国的経営に即したルールづくりが進められている。もちろん、それで日本企業の競争力が向上すれば素晴らしいことである。しかし、『なぜ日本企業は強みを捨てるのか』のスタンスは正反対である。現在、大企業を中心にもてはやされる米国的経営は、競争力の根源となる「革新的な製品やシステムの開発」や「現場でのトラブル対応に優れた中堅人材の育成」をおろそかにし、結果的に競争力を失ってしまう危険性を孕んでいることを指摘する。
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Book Reviews 知を磨く読書
読み継がれ、生き続ける書
2015年6月6日号鵜飼秀徳著『寺院消滅』は、日本の仏教界の現実を等身大で伝える優れたノンフィクションだ。このままだと観光名所となっている寺院か、墓地や不動産経営で成功している寺院以外は近未来に消滅してしまうのではないかという不安を抱く。さらに本書では、細部の記述が興味深い。例えば、お布施の相場だ。〈葬儀の場合、東京ではスタンダードな額といわれる五〇万円を布施の一つの基準としよう。京阪神や名古屋などではその半分の水準(二〇万~三〇万円)とされ、地方都市だと一〇万円を切るところも多い。宝光寺のある石見地方では、先述のように三万~五万円という。東京の一〇分の一以下の水準だ〉。お布施にも新自由主義的な大きな格差が存在するのである。
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This is.
AZABU THE CUSTOM STORE 上質なシャツをリーズナブルにネットで購入
2015年6月6日号シャツはビジネスマンの必需品だが、買いに行く時間をなかなか作れない人も多いだろう。仕事に追われていると、シャツやネクタイのくたびれ具合にも気づかなくなるものだ。しかし周囲の信頼感を得るためには、忙しくても身だしなみには手を抜きたくない。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年5月30日号編集部内でにわかに巻き起こったダイエットブーム。さかのぼること4週間前、知られざる巨大市場の実態にメスを入れるべく、特集化が決定するや、“治験希望者”がうようよと名乗りを上げてきたのです。
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Book Reviews 著者のホンネ
日本のネット創成期の物語から 国家のIT戦略を問い掛ける
2015年5月30日号例えば、2002~03年ごろの地獄のような日々は鮮明に覚えています。トヨタ自動車とソニーから出資を受けて、高速データ通信事業を手掛ける合弁会社のクロスウェーブコミュニケーションズ(1998年設立)は、その将来性を評価してもらう「コンセプシャルIPO」によって、米国ナスダックで上場を果たしました。まだ1億円しか売上高がなかったのにです。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【映画(DVD)】 光る熱演、コクのある演技 海外「ドラマ」の大迫力
2015年5月30日号グレース・ケリーを覚えているだろうか。美女にして演技力抜群。色気があって上品で(良家の生まれだった)、『裏窓』など今見ても素晴らしい。どんな大スターになるかと思っていたら、あっさりモナコ大公とロイヤル・ウエディング。最後に自分で運転していた自動車で事故死。まるでドラマだ。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
当たり前が創造につながる ビジネスの実践ガイド書
2015年5月30日号『メンバーの才能を開花させる技法』は、三省堂の渡邉さんに続きダブりを承知で私もお薦めしたい好著です。原著は5年前の刊行。やっと邦訳の登場ですが、5年前とは思えない新鮮さ、言葉を換えれば日本のリーダー論が遅れている事実を痛感せざるを得ません。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
「夜が暗闇だった時代」では 人々の生活はどうだったか
2015年5月30日号記録を見る限り、昔の西欧人は夜の睡眠を2回に分割して取っていたそうだ。その狭間に、人々は祈ったり、勉強したり、性交したり、内省にふけったりしたという。そう、夜は長かったのだ。本書は、近世から産業革命のころまでのおびただしい量の史料を引用しながら、人々と夜の関係がどうだったのかひもといていく。
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Book Reviews 知を磨く読書
共産主義を信じたスパイと歌人
2015年5月30日号黒田龍之助氏は、スラブ諸語に通暁した優れた言語学者だ。『チェコ語の隙間(すきま)』において、黒田氏は〈ヨーロッパという遠い地域について、同じ日本人でもそれぞれの持つイメージは大きく異なる。多くの人にとって、頭に浮かぶのは西ヨーロッパだけなのかもしれない。だがわたしにすれば、ヨーロッパといえば東欧であり、その中心はプラハなのである。それはベルリンの壁が崩壊し、ビロード革命が達成される前も後も変わらない〉と強調する。ロシアとドイツという巨大帝国に挟まれた中東欧諸国は、今後も国際政治の鍵を握ることになる。本書を通じてこの地域の文化に関する知識を得ることが、国際関係を深く理解する上で有益だ。