ANA羽田国際線が大幅増
JALは成田便強化で巻き返し

 便利になる羽田だが、利用するエアラインやアライアンス、行き先によって利便性に格差が生じることになりそうだ。

  空港の発着枠を配分する国土交通省は、国の支援で再生したことで業績が絶好調のJALと、ANAとの業績格差を考慮して、ドイツ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダへの発着枠をANAにのみ配分した。発着枠の傾斜配分の結果、単独の会社としてはANAが28%のシェアで最大となった。

 その影響はアライアンス別のシェアにも表れている。羽田ではANAの発着枠が大きく増えた結果、スターアライアンスが半分強のシェアを持つ圧倒的優位に立つことになった。同じアライアンスに所属するエアラインは、マイレージが共通となるだけでなく、コードシェア(共同運航)の便も多い。

マイレージの上級会員なら、さらに使い勝手はいい。アライアンス内のどのエアラインを利用しても、上級会員としてのサービスが受けられる。空港ではチェックインカウンターで長い行列に並ぶ必要はなく、優先搭乗・手荷物の引き渡しといったサービスが受けられる。

 では、羽田の発着枠獲得に敗れたJALやワンワールドの利用者にメリットはないのか? 実は、JALは新たな手を打っている。

 JALは深夜早朝の発着枠を使って、新たに羽田〜ホーチミン線を設定。成田から東南アジアへ向かう便は、夕方発の便も多いが、現地でホテルに着くのは深夜になってしまう。だが、羽田の深夜便なら、現地で朝から仕事をしたり、観光したりが可能になる。

 成田便のサービス強化にも力を注ぐ。

 例えば、JALは成田〜ジャカルタ線に、ビジネスクラスであればフルフラットになる新シートを搭載した最新旅客機を投入する。また、成田〜東南アジア路線のビジネスクラス以上の利用者向けに、ハイヤーでの送迎サービスを始めることも検討中だ。

 今回、羽田の昼間の便を設定できなかった東南アジア路線で、長距離の欧米路線並みのサービスを展開しようというのだ。

激化する価格競争
新サービス続々投入で
増える選択肢

 一昨年相次いで日本の空にLCC(格安航空会社)が参入したことで、熾烈な競争に入った航空業界。今、航空各社が価格やサービス、シートや航空機材など、あらゆる部分で各社がしのぎを削っています。今月末に羽田空港の国際線が大幅に拡充されることで、その流れが加速しそうです。

 ビジネスに観光に、飛行機を使った旅をする人にとっては、さまざまな選択肢が増えることはうれしいかぎり。

 そこで、どのエアラインを選べばいいのか? 『週刊ダイヤモンド』3月15日号では、サービス、価格、安全度、座席……さまざまな観点から、優れたエアラインを徹底調査しました。各種ランキングや格付けの他、数字には表れない特徴や使い勝手の部分にまで踏み込んで調べています。

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(『週刊ダイヤモンド』副編集長 佐藤寛久)