一つ目は、日経平均株価のPER(株価収益率)が20倍を超えてくるかどうかです。今は日経平均株価が1万5800円でPERは16・7倍くらい(1月22日の取材時点)。そうすると益利回り(株価に対する1年間の1株当たり利益の割合)は約6%。長期金利が約0・7%ですから、まだ5%強の余裕がある。名目GDP成長率が1〜2%程度あれば、少なくとも「割高」ではない。
しかしPERが20倍になると益利回りが現在より1%㌽ほど下がります。その際、予想利益が改善しないまま株価だけが上昇しているようなら要注意です。
二つ目は、消費税率の10%への引き上げが決まるかどうかです。8%への引き上げによる景気への反動は心配ですが、政府は追加の金融緩和と財政出動による景気下支えを躊躇しないでしょう。むしろ心配なのは10%に上げた後。消費税率10%を目指してきた官僚たちのモチベーションがなくなるからです。安倍政権が用済みだと見なされ、アベノミクス相場もそこで終わる可能性もあります。
三つ目は、インフレ率が順調に上がり過ぎること。消費者物価が2%を超えてすいすい上がってくるようだと、金融緩和の名目がなくなってしまいます。失業率がもっと下がらないと賃金は上昇しないし、賃金が上昇しないと継続的な物価上昇は難しい、だから2%の目標達成は大変だ、という意見が大勢ではありますが、気をつけておく必要があるでしょう。
本誌では、さらに山崎さん流の「銘柄選びの技」についても紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
乱高下相場はもうけるチャンス
個別銘柄の選別投資で勝負
『週刊ダイヤモンド』2月8日号は、NISA(少額投資非課税制度)開始で盛り上がりを見せている株投資の特集です。
年明け後、株式市場は乱高下を繰り返し、個人投資家にとっては投資しにくい環境に見えますが、実は、このような相場こそ投資のチャンス。個別に銘柄をみていけば、業績がいいのに理由もなく下げている株などが見つかるからです。
本特集では、「隠れた割安株」「NISAで人気上位の株」など11のテーマで、今買っていい株220、買ってはいけない株80銘柄を選び出しました。
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そのほか、今回初めて、プロが注目する米国株も18銘柄紹介しています。さらに、実質利回りが約14%という驚きの株主優待銘柄など、株投資のお得な情報が満載です。これからNISAなどで株投資を始めようとしている方も、すでに始めている方も、ぜひ本特集をお役立てください。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 前田 剛)