『週刊ダイヤモンド』3月23日号は「激変!仕事&稼ぎ方 弁護士 会計士 税理士」です。専門知識と能力を駆使して腕一本で稼ぐ士業。超エリート集団である大手法律事務所の年収と出世、アソシエート弁護士の満足度調査に加え、会計士たちの置かれた厳しい環境、人気復活で上り調子の税理士など、それぞれの内情を豊富なデータと共にレポートします。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

超エリート集団の大手法律事務所
そこで働く弁護士の知られざる生態

 数ある国家資格の中でも最難関とされ、健全な民主主義の発展に欠かせない士業。それが弁護士だ。

四大法律事務所に新卒入所するエリート弁護士たちは、実は司法試験に合格する前から、その優秀さに目を付けられている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 2023年3月末で弁護士数は4万4916人。06年に新司法試験が導入されて以来、急増している。当初は苦労して弁護士になったにもかかわらず、人数急増のあおりを受け思うように仕事が取れず、一般的な会社員の年収よりも稼げない弁護士の存在が話題になった。

 そんな“食えない弁護士”がいる一方で、1年目の年収が最低でも1000万円を超える弁護士たちもいる。それが四大法律事務所をはじめとした、大企業の法務を担う大手法律事務所だ。

 とりわけ四大法律事務所(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業、森・濱田松本法律事務所、長島・大野・常松法律事務所)には、司法試験をトップクラスの成績で合格した、超エリートたちが集う。

司法試験合格前から勧誘開始
四大の超“青田買い”合戦

 そんな四大に新卒入所するエリート弁護士たちは、実は司法試験に合格する前から、その優秀さに目を付けられている。

 四大は毎年、司法試験をトップクラスの成績で合格するような逸材に入所してもらおうと、あの手この手で勧誘活動を行っている。

 重要なのは、いかに早くトップ層を囲い込むかだ。そこで四大が着目しているのが、司法試験の受験資格を得るための司法試験予備試験の合格者たちだ。

 予備試験とは、司法試験の受験資格を得るための試験。司法試験を受験するには法科大学院の修了、あるいは修了する見込みがなければならないが、それでは経済的な事情などで、法科大学院へ進学することが困難な学生は、司法試験を受けることすらできないことになる。そうした人のために用意されたのが予備試験だ。

 ところが、予備試験に受験資格の制限がなく、誰でも受験できるのをよいことに、多くの学生が挑戦するようになった。予備試験に受かれば、法科大学院での2年間(法学部以外の学部卒業者なら3年間)を短縮できる。その後の司法試験に合格すれば、弁護士になるまでの時間と金を節約できるからだ。

 予備試験は合格率3~4%の超難関で、合格者は毎年450人程度。予備試験合格者の7割程度は、その後実施される司法試験に合格している。法科大学院修了者の司法試験合格率が20%台であることを考えると、予備試験合格者は四大が採用したいトップ層であることが分かる。

 四大はそんな予備試験合格者に照準を合わせている。まだ司法試験に合格していない段階から、インターンへの招待や非公式の面談、パートナーとの昼食会やディナー面談などで勧誘を繰り返し、“青田買い”合戦を繰り広げている。

激変する3大士業の仕事と稼ぎ方
豊富なデータと共に最前線をレポート

『週刊ダイヤモンド』3月23日号は「激変!仕事&稼ぎ方 弁護士 会計士 税理士」です。難関試験を突破した弁護士、会計士、税理士は、その専門知識と能力を駆使して働く士業の代表格として、社会に不可欠な存在となっています。

 そんな3大士業は企業との接点も多く、活躍の場は拡大中。ここ数年は産業界で頻発する不祥事、市場から要請されているガバナンスの向上、生成AIなどの最新デジタル技術の発展など、さまざまな要因がきっかけとなって、仕事や稼ぎ方が大きく変わっています。

 本特集ではそれぞれの士業が置かれた環境を解説するとともに、業界注目の仕事や稼ぎ方の最新トレンドをレポートします。