『週刊ダイヤモンド』10月7日・14日号の第1特集は『創価学会・神社・旧統一教会 巨大宗教「連鎖没落」』です。金銭トラブルが問題化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡り、政府が10月中旬にも解散命令請求を行う検討に入りました。宗教界で今、何が起きているのか。ダイヤモンド編集部が選定した「主要10教団」の今を追いました。

旧統一教会へ解散命令秒読み!
政治・経済・布教の「逆回転」が始まる

 安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に、自民党との癒着や高額献金被害で注目を集めた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が、大きな節目を迎えようとしている。

金銭トラブルが問題化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡り、政府が10月中旬にも解散命令請求を行う検討に入った Photo:Tannenbaum Allan/gettyimages

 文部科学省が旧統一教会への解散命令を東京地方裁判所に請求する最終調整に入ったのだ。その時期は「10月中」とみられ、宗教界に動揺が広がっている。

 行政機関の請求を受けて裁判所が「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する」として宗教法人に解散命令を出したのは過去に2件しかない。地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と、詐欺事件が発覚した明覚寺だ。いずれも教団幹部らが刑事事件で逮捕され、有罪判決を受けた。

 だが旧統一教会は幹部が逮捕されたわけではない。岸田文雄首相は「民法の不法行為も入り得る」とし、行為の組織性や悪質性、継続性などが認められれば解散命令の要件になると説明する。

 これについて「信教の自由が脅かされる」「過剰反応だ」といった指摘がある。その半面「解散命令は当然」(ワールドメイトの深見東州代表)といった声も上がり(本特集インタビュー参照)、旧統一教会と一線を画したい宗教界の思惑が透ける。

 一方、解散命令の発動にかかわらず、巨大宗教の地盤沈下は続いている。多くの教団で信者数が下げ止まらず、政治力や経済力が縮小傾向にあるのだ。

宗教系政党の支持広がらず
収入は過去20年間で半分以下に

 下図が示すように、宗教団体を支持母体とする公明党と幸福実現党の比例票は減少傾向が続く。これについて創価学会元理事長の正木正明氏を父に持つ伸城氏は「子や孫、ひ孫の世代になるにつれて、学会員の母数が減り、かつ活動家率も下がっている」と証言する(本特集インタビュー参照)。

 大規模宗教法人の1法人当たりの収入も過去20年間で半分以下に減った。若年層の新規獲得はままならず、信者数の減少→活動の鈍化→集金力の低下……という「負の連鎖」が多くの教団の足元を揺るがしている。

 伸城氏らのような「宗教2世」以降へ世代交代が進み、人々の価値観が変わる中で、旧来型の政治活動や布教スタイルから抜け出せない巨大宗教の姿がそこから浮かび上がる。

真如苑、幸福の科学、立正佼成会、天理教…
教祖も登場!巨大宗教の「今」を徹底取材

『週刊ダイヤモンド』10月7日・14日合併特大号の第1特集は『創価学会・神社・旧統一教会 巨大宗教「連鎖没落」』です。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求が裁判所に認められれば、宗教法人が初めて民法の不法行為のみで法人格を剝奪されることになります。

 ダイヤモンド編集部は本特集で、信者数の多さや社会的認知度の高さなどを総合的に判断し、「主要10教団」を選定。それが、創価学会、神社、旧統一教会、幸福の科学、真如苑、ワールドメイト、立正佼成会、生長の家、天理教、PL教団です。

 彼らのような巨大宗教に、解散命令はどのような影響を及ぼすのでしょうか。そして、足元で進行する「連鎖没落」の正体とは、一体何なのでしょうか。その詳報を本特集でお届けします