2024年に相続税の二大節税術が大激変!
生前贈与とマンション節税のルールが変わる
生前贈与とマンション節税。相続税対策の“王道”として使われている二つの節税術のルールが、2024年に大きく変わる。
親の死はいつか必ずやって来る。相続は誰しも直面する問題だ。そして、相続税も人ごとではない。
国税庁の発表によれば、21年に亡くなった人は約144万人。このうち相続税の課税対象となったのは約13.4万人だ。死亡者全体の9.3%と、実に11人に1人は相続税が課されている。
マンションなど不動産価格の高騰が続く東京国税局管内では、その比率は14・7%とさらに高まり、実に7人に1人が相続税を課される時代になった。
そして、相続税を支払うのは、亡くなった人ではなく、遺産を受け取った残された家族である。21年の相続税の納税者数は前年比11・2%増の約29・4万人。そして亡くなった人1人当たりの相続税額の平均は1819万円と、その負担は無視できるものではない。
相続する財産が多ければ多いほど税率が高くなる相続税対策の基本は、財産を減らすことだ。子供に生前贈与して財産を減らす。現金をマンションへと換え、相続財産としての評価価値を下げる。
広く使われているこの二つの節税術を封じるべく、国は23年度の税制改正大綱でメスを入れた。
ついに明らかになったマンション節税潰しの全貌
市場価格の6割まで評価を引き上げる大増税
生前贈与については、相続財産へと加算して相続税を課税する期間を、従来の相続3年前以降から7年前以降へと延長する。
80歳の日本人の平均余命は男性が約9年で、女性は約12年だ(21年簡易生命表)。もしも80歳から毎年生前贈与して平均余命まで生きた場合、新ルールでは男性は2年分、女性は5年分の贈与しか節税につながらない。
また国税庁は6月30日、マンションの市場価格と相続税の評価額の差を是正する、新たな算定方式を公表。これまでは市場価格の4分の1以下の場合もあったマンションの評価額を、最低でも市場価格の6割の水準まで引き上げる方針を示した。
どちらも相続税の増税につながるルール改正だ。
2024年は贈与とマンション節税のルール激変
対策と改正前のラストチャンスの生かし方を徹底解説
『週刊ダイヤモンド』7月15・22日合併号の第1特集は「やってはいけない 相続&生前贈与」です。23年度の税制改正大綱で、マンション節税と生前贈与という相続税の二大節税術に、国がメスを入れることを決めました。いずれも新ルール開始は24年からで、今しかできない対策もあります。
特集では、65年ぶりとなる生前贈与と相続のルール改正について、4大ポイントを総力解説。23年中に生前贈与する「駆け込み贈与」や、24年から110万円の基礎控除が新設される相続時精算課税の活用など、6つの家庭を例にして、お得な節税術を相続税のプロたちに徹底検証してもらいまいました。さらに、駆け込み贈与の「節税早見表」や、払い過ぎた相続税を取り戻すテクニックなど、プロが活用するノウハウを分かりやすく解説します。
また、マンション節税については国税庁が6月下旬に新たなルールを公表しました。マンションの市場価格と相続税における評価額の差を埋めるもので、特に影響を受けそうなのが高層・築浅の物件。国税庁によれば影響を受けそうなマンションは75%以上と、他人事ではありません。
そこで、国税庁の新計算式を紐解き、豊洲や武蔵小杉など主要5エリアのタワマンを例に、新ルールで見直されることになる評価額を独自に検証。武蔵小杉のあるタワマンでは、見直し後の評価額が3100万円増の6280万円になるなど、ほぼ倍増です。
さらに、増税候補の筆頭となりそうな首都圏・関西のタワマン100棟をランキングにしたほか、タワマン節税「危険度」判定ツールも用意。マンション節税封じに備えるための最新情報を網羅しました。
相続と生前贈与で得をするには、知識とノウハウが必須です。知らずにやってしまうと損をする、生前贈与や相続、税務署対策で落とし穴となる典型的な10大ポイントとその対策や、相続や死後の手続きで申請しないと貰えない・戻ってこないお金10選、駆け込み相続・贈与の書込み式チェックシートなど、お役立ち情報をお届けします。
大増税時代が迫る相続。新ルールに徹底対応した一冊です。ぜひご一読ください。