『週刊ダイヤモンド』6月26日号の第1特集は「決算書100本ノック!2021夏」です。課長や部長など管理職になりたい。あるいは、さらに役員にまで上り詰めたい。もしあなたが、そう考えるのなら、決算書の理解は必須だ。ダイヤモンド編集部の調査では、それがデータで裏付けられている。しかし、安心して欲しい人気企画「決算書100本ノック!」なら、企業の実例を読むだけで、簡単に決算書の勘所を押さえることができるのだ。(ダイヤモンド編集部副編集長 清水量介)

企業が課長&部長に求める
財務知識は驚くべき結果に!

 決算書がよくわからない。決算書を理解しようとして失敗した。そんな人は多いかもしれない。

 しかし、それではこれからは出世ができないだろう。役員に上り詰める可能性も、かなり低くなる。

 ここに驚くべきデータがある。ダイヤモンド編集部では「社員には会計・ファイナンスの知識をどれくらい理解していてほしいですか?」というアンケートを日本を代表する企業100社以上に送った。企業には、社員に求める知識のレベルを「一般の従業員」「課長」「部長」「役員」に分けて答えてもらった。(回答企業やアンケート詳細は記事最後参照)

 すると、一般の従業員でも29%の企業が「財務3表」の理解をして欲しいと答えている。財務3表とは、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)のことだ。

 とはいっても、44%の企業が一般の従業員に対しては、「売上高と利益」の理解、と答えている。つまり、いわゆる“ヒラ社員”はその程度の理解でよい、という判断だ。

 ところが、これが課長や部長になると、企業側の求めるレベルが一気に跳ね上がる。

 なんと、課長に対しては「財務3表」の理解が24%、さらに、41%の企業がより高度な「ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)など財務3表上の数値を組み合わせた指標」の理解を求めているのだ。「売上高と利益」の理解だけでよい、とする企業は一気に5%にまで激減している。

 そして、部長にもなれば、最も高度な回答である「ファイナンスの概念や投資の評価方法」を54%の企業が求め、役員ならそれが84%にも高まる。この回答を選ぶ場合は「財務3表」と「ROEやROAなど財務3表上の数値を組み合わせた指標の理解が前提」と設問には表記したから、部長や役員は決算書、財務の達人レベルを求められているということになるのだ。

 この企業側の姿勢は当然といえば当然だろう。売上高さえ拡大すれば利益は後からついてくるなどという時代は、とっくの昔に終わっている。キャッシュ重視の経営は当たり前になっているし、最近では部門ごとにROEなどの目標を設定する企業もある。

 そして財務部だけが数字を理解していればよい、ということでは決してなく、財務が理解できていなければ、自分に課された目標を理解することすらできない時代なのだ。

 課長、部長になりたい。役員に上り詰めて、社長に…。出世を考えている人は、今すぐ決算書を学んだ方がよいだろう。

アンケートはダイヤモンド編集部が日本を代表する企業100社以上に送付して2018年3月に集計。回答企業は以下となる。回答企業の名称は2018年3月時点のもの。ダイヤモンド編集部への回答企業はIHI、アサヒグループHD、アルプス電気、伊藤忠商事、AGC旭硝子、SMBC日興証券、NEC、NTTドコモ、大阪ガス、オリックス、キヤノン、花王、鹿島、川崎重工業、関西電力、京セラ、キリンHD、コマツ、サントリーHD、スズキ、スリーエム ジャパン、JFEHD、東海旅客鉄道、清水建設、新日鐵住金、住友化学、住友商事、住友生命保険、西日本旅客鉄道、大成建設、大和証券グループ本社、中部電力、髙島屋、TDK、TOTO、トヨタ自動車、東レ、東京海上HD、東芝、野村HD、日本たばこ産業、日本マイクロソフト、日本マクドナルドHD、日本航空、日本通運、日本電産、日本郵船、パナソニック、東日本旅客鉄道、日立製作所、ホンダ、丸紅、みずほFG、三井化学、三井住友FG、三井住友トラスト・HD、三井不動産、三井物産、三菱UFJFG、三菱商事、三菱地所、三菱電機、明治安田生命保険、ヤマトHD、ユニー・ファミリーマートHD、楽天、LIXIL、リクルートHD、りそなHD、ローソン、ローム(順不同)。*HDはホールディングス、FGはフィナンシャルグループの略

決算書100本ノック!で
楽ちんに理解しよう!

 ここまで読んで不安になった方!安心してください!決算書は楽ちんに理解できます!

 『週刊ダイヤモンド』6月26日号の第1特集は「決算書100本ノック!2021夏」。週刊ダイヤモンドの決算書関連の企画は累計で117万部を発行していますが、なかでも人気なのは「決算書100本ノック!」です。

 企業の事例が超豊富で、ライバル対決、歴史、ニュースを読めば、自然と決算書の勘所が身に付く設計になっています。また、簿記や仕訳など難しい知識や暗記は不要で、財務3表を超大きな図で簡単に理解ができます。ランキング、独自試算など、100社以上が登場。是非、手にとっていただければ幸いです。