『週刊ダイヤモンド』9月22日号の第一特集は「新・価格の支配者 メルカリ」です。本誌はこの度、メルカリの取引価格データを独占入手。総取引件数2.8億件を超すメルカリで形成される相場は、消費者のリアルなニーズを反映した現代の価値の指標です。iPhoneを例に、ここでしか見ることのできない新しい価格の世界を探ります。

 メルカリには、日々100万品以上が出品され、あらゆるものに値段が付く。「週刊ダイヤモンド」はこの度、メルカリの取引2.8億件のうち、各カテゴリー内で月に100件以上取引したブランド・商品の平均価格のデータを独占入手した。

 メルカリで扱われるのは中古品で、ひと口に同じブランドのアイテムといっても、定価や販売時期の違いによって、個々の取引価格にばらつきは生じるだろう。それでも、一定規模の取引から生まれる相場は、メルカリユーザー約1000万人のニーズの集大成といえる。消費者のリアルの価値判断を反映した、ブランド力を測る新たな指標となりえる。ここではiPhoneを例にとってみよう。

 9月は携帯電話業界が1年で最も盛り上がる時期である。もちろん、米アップルのスマートフォン「iPhone」の最新機種が発売されるからだ。

 9月12日(日本時間13日)のアップルの製品発表会で、今年も「iPhone XR」「iPhone XS」「iPhone XS Max」の3機種が発表された。とりわけ、画面サイズが過去最大の6.5インチとなったXS Maxは、12万4800円~16万4800円と強気の値付けだ。

 アップルの国内のスマホシェアは約5割。日本人は圧倒的に“iPhone好き”だ。中古品でもいいから手に入れたい場合、いったいいつ買うのがお得なのか。過去のメルカリ相場の推移は、その格好の手引きとなる。

 メルカリ上でも、発売直後の9月はお祭りムード。新機種をすぐに手に入れたいユーザーを狙った“転売ヤー”たちが群がり、場合によっては定価よりも高く売れることもある。

 その後は一般的な中古品市場と同様、時間とともに相場は下がっていくのだが、今年の3~4月は様子が違った。新機種の発売直後並みに相場が上昇したのである。

 もともと年度替わりのこの時期は、新しく大学生活や社会人生活を始める人に向けた、端末の購入ニーズが高まる時期である。秋のiPhone商戦が活況になる前は、1年で最大の商戦期だった。

 今年3~4月の相場に関しては、年明け話題になった「Xは不人気」説も影響していそうだ。この時期、Xの出荷台数の伸びがいまひとつというアナリストらの分析から、初の10万円超え端末のXについて、「高過ぎて販売不振」という報道が国内外で相次いだ。

 ところが、2月のアップルの決算発表でアナリストらの予想外ともいえるXの好調ぶりが明らかになると一転、「Xは人気機種」と手のひら返しの評価となった。この反動が、Xの価格急騰を後押ししたのかもしれない。

 いずれにせよ、最新機種を安く入手したいならば、3~4月は購入を避けるべきだろう。

廉価版のSEは6sよりも高く売れる!?

 さて、機種別に相場を見ていくと興味深い値動きをしているのは廉価版のSEである。アップルのオンラインストアでは、SEは3万9800円と、その半年前に発売された6sの5万0800円(いずれも容量32~バイト)よりも安い。

 ところが、メルカリ上ではSEの方が、6sよりも高値で取引されている。SEは画面が4~と小さく(6sは4.7~)、小型端末を好むユーザーにとって「価値が高い」のだ。メルカリ相場に消費者の潜在ニーズが反映されたケースといえるだろう。

 端末の下取りは通信大手3社も実施している。ただ、良品でなければ値下げされるなど制約が多く、ほとんどの場合は出品や配送の手間はかかるものの、メルカリで売った方がお得だ。

「メルカリ相場」は現代の価値のバロメーター
ロレックス、エルメスからユニクロまでデータ満載!

『週刊ダイヤモンド』9月22日号の第一特集は「新・価格の支配者 メルカリ」です。

 これまで消費者は、メーカーや小売業が提示する価格で商品を買うしかありませんでした。しかし、誕生から5年で急成長したメルカリには、日々100万品以上が出品され、あらゆるものに値段が付きます。ユーザー1075万人のリアルな価値判断が反映された「メルカリ相場」は、現代の価値のバロメーター。そして、そのデータを一手に握り、あらゆるモノの価値を把握できるメルカリは、新たな「価格の支配者」として君臨し始めました。

 今回の特集で、週刊ダイヤモンドはメルカリの取引価格データを独占入手しました。取引2.8億件のうち、メルカリのカテゴリー内で月に100件以上取引した商品・ブランドの平均価格です。

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