『週刊ダイヤモンド』6月10号の第1特集は「これからの必須スキル 会計&ファイナンス 超理解」です。これまで、財務諸表を理解しようと会計の勉強を進めたが、挫折したことはないでしょうか。しかし、それはやり方が間違っていた可能性が高いのです。実は、コツさえつかめば財務3表を読むことも、ファイナンスを知ることも簡単。本特集を読めば、これからの必須スキル会計とファイナンスを、楽チンに理解することができるはずです。84ページの超特大特集ですので、ぜひ、保存番としてご活用ください。

 企業の1年間の業績を示す決算。5月にはその発表が集中する。2017年5月、そこには対照的な2社があった。共に純利益1兆円超えを達成したトヨタ自動車とソフトバンクグループだ。

 純利益や売上高という言葉は次の章で易しく解説するが、分からなければ、「1年間頑張った成果」くらいに受け止めてほしい。

 日本企業で純利益1兆円超えを達成したのは、収益構造が大きく異なる銀行を除けば、トヨタとソフトバンクの2社だけだ。

 それだけのことを成し遂げたのなら、誇らしげであってもよさそうなものだが、豊田章男・トヨタ社長の表情は冴えない。

 5月10日に発表されたトヨタの決算によると、売上高は28兆円で、純利益は1兆8000億円だった。他社がうらやむような規模だが、実は、5年ぶりの減収減益(売上高も利益も前年より減ったという意味)。次の年の決算でも、減収減益を予想した。会見で豊田社長は「スポーツの世界でいえば連敗。負け嫌いは私だけじゃない」と、悔しさを隠さなかった。

 一方、同日に発表されたソフトバンクの純利益は前期の3倍となる1兆4000億円だった。

 孫正義社長は「トヨタが純利益1兆円を超すのに設立から67年かかった。われわれは36年で到達できた」と、トヨタを引き合いに出し胸を張った。

 さて、社長が対照的な反応を見せた2社だが、純利益が1兆円を超えていること以外にも、共通項がある。会計とファイナンスのスキルが社員に強く求められることだ。

 会計とは純利益や売上高など企業の成績を示すもので、ファイナンスとはおカネをどのように使うか判断するための物差しのようなものだ。

 例えば、豊田社長は決算会見で反省の弁として「『適正販価』-『適正利益』=『あるべき原価』という基本原則を突き詰める仕事ができているか」と指摘。決算発表でわざわざ社長が販売価格と利益と原価の関係という会計の基本のキを強調したのである。トヨタ生産方式では、現場の社員が原価のカイゼン(改善)に励むことは有名だ。

 一方のソフトバンクでは、孫社長が社員の必須スキルとして挙げる四つのうちにファイナンスが入っている。

 さらに、三菱商事や三井物産、住友商事、伊藤忠商事などの大手総合商社では、社員にかなり高いファイナンスのスキルが求められるのだ。

 ファイナンスに関する著作が多く企業での研修も手掛ける石野雄一氏によると、商社に入ってくる新入社員の中には最初からファイナンスの基礎を知っているタイプが増えているという。

「就職活動では英語ができるのは当たり前のため、ファイナンスを勉強してくるようです」

 こうした会計やファイナンスのスキルを必須とするような風潮が、今後ますます日本企業に広がっていくことは確実だ。

 

『週刊ダイヤモンド』6月10号の第1特集は「これからの必須スキル 会計&ファイナンス 超理解」です。

 トヨタとソフトバンク、大手商社の例で紹介したように、会計とファイナンスのスキルはこれから必須となります。

 しかし、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)の財務三表を理解しようとして勉強を進めたけど、挫折した経験はないでしょうか。本特集では、とにかく超簡単にわかりやすく、しかも、大きな図と豊富な事例とランキングなどで、財務3表の見方を解説しています。また、上級編として企業買収やプロジェクト評価に必須のスキル「ファイナンス」についても取り扱っています。

 強調したいのは財務3表でもファイナンスも、ざっくりの理解でいいということ。最低限、ざっくりと理解すれば業務で使いこなせるように本特集は構成されています。さらに、レベルごとに章を分け、5つの種類のコラムのシリーズも配置し、難しい部分は読み飛ばしも可能とするなど、楽しく理解できるようにしました。

 また、身につけたノウハウを投資にも活用すべく、三期先までの増益率を予測した伸びる企業420銘柄も掲載しています。

 まるごと1冊、84ページの超特大の保存版の特集となっています。スキルアップの一助になれたら幸いです。