疲労を放置し続ければ
生活習慣病や心筋梗塞のリスクも

 疲労を放置し続けると、その先には恐ろしい現実が待っている。

 詳しくは『週刊ダイヤモンド』11月12日号で述べるが、疲労とは自律神経の疲れが原因。従って、疲労が蓄積して自律神経が損傷すれば、免疫系や内分泌系の機能がダメージを受け、代謝が悪くなって糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病にかかりやすくなる。

 また、自律神経は血液の循環などもつかさどっているため、心筋梗塞など重い病気にもかかりやすくなり、ひいては海外でも「KAROSHI」とそのまま呼ばれている過労死のリスクも高まる。

 こうした事態まで含め、疲労によって引き起こされる経済損失は、文部科学省疲労研究班の試算によれば、1.2兆円にも上るとみられており、大きな社会問題ともいえる。

 にもかかわらず、「病気ではないから」といって根本的な対策も講じず、我慢し続けている人は少なくない。一方、前出の精神科の医師も「疲労だと病名が付かないから、病院に来てもらっても正直言って困る」と打ち明ける。いずれも「病気ではないという」認識がベースにある。

 これまで、そもそも疲労というものの本質が科学的にはほとんど分かっていなかった。というのも、研究が本格化したのはここ10年程度の話だからだ。

 後のパートで触れる慢性疲労症候群という病気に関する研究の過程で、「疲労そのものをもっと研究すべきではないか」という機運が高まり本格化したのだ。

 中でも日本は先進国。2005年に日本疲労学会が立ち上がり、それ以降、大阪市立大学や理化学研究所などが中心となって研究が進められ、徐々に実態が解明されている。

メカニズムを知った上で 正しく解消しよう

『週刊ダイヤモンド』11月12日号の第1特集は「疲労の正体〜最高の睡眠と栄養があなたを変える!」。「疲労」は、痛みや発熱と並び、人間の3大アラームと言われています。しかし、多くの人が感じているのに、疲労というものの本質は意外に知られていません。そのため巷には嘘や迷信があふれ、いい加減な回復法がはびこっています。そこで、この特集では、最新の研究から疲労の正体を明らかにし、正しい回復法を紹介します。

 まず、3000人のビジネスマンに、国も実態把握のために実施している「疲労度自己判断チェックリスト」を受けてもらい皆さんの「疲労度」を調べました。その結果を役職、職業別に分析、併せて疲労の原因や回復法、そのための支出額などについてもまとました。まさに最新版「疲労の実態」です。

 続いて、疲労の正体について科学的に解説します。じつは、疲労に関する研究が本格化したのはこの10年で、最近になって分かってきたことも多いのです。そこで、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター長で日本疲労学会の渡辺恭良理事長に解説していただきました。

 その上で、うそや迷信がまかり通っている疲労の回復法について「睡眠」と「栄養」の観点から、そして原因となっているストレスの正しい解消法についてお伝えします。

 日頃、やっている疲労回復法は間違っているものが多く、目から鱗の情報が盛りだくさんです。この特集を読めば「疲れたぁ」から解放されます。是非、ご覧ください。