『週刊ダイヤモンド』11月5日号の第1特集は「こんなに簡単! 格安スマホ 最終決断」です。ここ1年で格安スマートフォンに乗り換える人が急増しています。大手の半額以下という料金の安さもさることながら、料金プランや端末の豊富さも大手と比べて遜色ありません。それならば乗り換えないと損。そこで、格安スマホの料金プランと端末の選び方、乗り換えの方法をわかりやすく解説します。

 「安かろう悪かろう」。ほんの1年前まで、多くの人が格安スマートフォンをそんなふうに見ていたのではないだろうか。

 翻って現在、格安スマホは大手通信事業者(キャリア)に代わる新たな選択肢として、完全に市民権を得ている。家電量販店には専用の売り場があり訪れる客も多い。格安スマホ端末の販売台数比率は増加傾向にあり、今年2月以降は17〜18%で推移。キャリア3社がシェアを落としているのとは対照的だ。市場規模は今後2年で倍増するとみられている。

 いくら格安スマホが普及段階に入ったとはいえ、まだよく分からないという人もいるだろう。そこであらためて、格安スマホの基本について説明しよう。

 そもそも格安スマホとは、格安な通信サービスそのものを指す。これは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が、NTTドコモなどのキャリアから通信網を借りて提供している。自社による通信設備への投資が必要なく、全国的な店舗網も持たないため、運営コストを大幅に抑えることができる。それ故に格安な料金でサービスを提供できるのだ。

 なぜこの1年で格安スマホの普及が急速に進んでいるのか。背景には大きく5つの理由がある。

 第1に、何といっても圧倒的に料金が安いこと。大手キャリアと比べると半額から3分の1くらいの水準だ。あまりの安さに当初は疑心暗鬼だったユーザーも、実際に使ってみてほとんど不便を感じないことが分かってきたようだ。

 第2に、サービスが充実してきたこと。新規参入が増え料金プランの選択肢が広がった。弱点といわれてきた通話サービスも改善されており、格安とはいえ、〝実力〟も備えるようになっている。

 第3に、端末の種類が豊富になってきたこと。3万〜4万円台のミドルレンジを中心に、高性能で高品質な新製品が続々投入されている。

 第4に、格安スマホとしてiPhoneも使えるようになったこと。大手キャリアで購入したiPhoneは、購入後6カ月以上経過すれば、SIMロック(自社のSIMカードしか使えないように端末にロックをかけること)を解除できる(6s以降の機種)。

 第5は、行政が格安スマホ普及による携帯電話料金の引き下げを後押ししていることだ。

 格安スマホ普及の条件はそろった。乗り換えてお金を浮かせるか、高い料金をそのまま支払い続けるか、決めるのはあなただ。

乗り換えないと損!2年で9万円弱もお得に

 携帯電話料金が高いと感じている人が83%──。本誌のアンケート調査で判明したように、大多数の人が携帯電話に掛かる費用を安くしたいと考えている。

 一方で、MM総研の調査によれば格安スマホの月額料金は大手の3分の1。料金を安くしたい人がいて、安くする手段があるのだから、使わない手はない。そこで、典型的な乗り換えのケースを5つに分けて試算した。

 その一つを紹介しよう。ケース1は大手キャリアのスマホを使っている人のための試算だ(下図参照)。いわゆる“2年縛り”が解けるタイミングで、端末を新たに購入して格安スマホに乗り換える場合を想定している。なんと、月々3627円、2年で約8万7000円も安くなる。

 特集では、大手キャリアのスマホを使っている人、iPhoneを使っている人、ガラケーの人、2台目がほしい人、家族割引を受けている人の5つのケース別に乗り換えの損得をまとめている。家族3人まるごと乗り換えた場合、2年で約32万円もお金が浮く。格安スマホへの乗り換えを検討してみる価値はあるだろう。

安いだけじゃない!実力も備えた格安スマホ

『週刊ダイヤモンド』11月5日号の第1特集は「こんなに簡単! 格安スマホ 最終決断」です。実は、本誌では1年半前の2015年5月16日号で格安スマホの特集をやっています。

 当時は、大手通信事業者にSIMロック解除が義務付けられて、格安スマホが世の中に認知され始めたばかりで、格安スマホのあまりの安さに不安を抱く人が多く、そうした不安を払拭する特集としてまとめました。

 それから1年余り、状況は大きく変わりました。テレビで毎日のように格安スマホのCMが流れ、家電量販店には専用の売り場もできました。新規参入が相次ぎ、料金プランも端末も、大手と遜色ないほど豊富になったのです。

 そこで今回の特集では、もはや市民権を獲得した格安スマホの選び方、乗り換え方法をまとめました。

 選択肢が豊富になったのはいいのですが、逆にどれにしたらいいのかわからないという人もいるでしょう。そこで、本誌独自の評価基準によるおすすめの料金プランを一挙掲載しました。月間通信量別にプランをまとめてあるので、自分の利用状況に合わせて選んでいただけると思います。

 合わせて、スマホに詳しいプロにおすすめの格安スマホ端末を厳選してもらいました。“格安”だからと侮るなかれ。台湾ASUSの9万円超の端末は、予約殺到で一時受注停止になるほどの人気です。そのほかにも、高性能でお手頃価格の端末がそろっています。

 まだ格安スマホに疑心暗鬼な人や、もっと知りたいという人のために、素朴な疑問をQ&A形式でまとめてあるので、ぜひ参考にしてください。

 本誌編集部でも、格安スマホに乗り換える人が増えてきました。乗り換える前は不安を抱えていた人も、実際に使ってみると満足している人がほとんどです。“食わず嫌い”はもったいない。ぜひ本特集を手にとって格安スマホの実力のほどをご覧ください。