まず注目すべきが、今年4月に金融事業からの実質撤退と、製造業への回帰を発表したこと。GEは先代のジャック・ウェルチCEO時代から、金融やメディア事業なども抱えるコングロマリットとして成長してきたが、ここにきて、インフラの製造業に一気にシフトしている。

 だが、製造業〝回帰〟といっても、以前のようなアナログな工場に戻るのではない。冒頭の発言のように、ソフトウエアに徹底注力することで、製造業を次のレベルに「進化」させるのが狙いだ。

 背景には、モノとモノ、工場と工場が全てインターネットでつながるIoT時代に、大きくビジネスが変わるとの危機感がある。

 事実、この10月には設立してわずか4年のソフトウエア部門を「GEデジタル」として統括部門に昇格させ、しかもイメルト氏は「2020年までに世界トップ10のソフトウエア会社を目指す」とまで踏み込んでいる。

 一体、125年もの歴史を持つ巨大企業の内部で、どんな変化が起きているのか。ならば、直接見てみるしかない──、と一路米国西海岸にまで足を運んだ。

 サンフランシスコ国際空港から車を走らせること約40分、GEのIoT戦略「インダストリアル・インターネット」をつかさどるソフトウエアセンターに着いた。内部に入ると、IT企業さながらの自由な空間と、社員が話し合うための共有スペースの多さに気付く。

 1200人が働くGEのIoT総本山で、われわれは何を目撃したのか。IoT部門トップで、10月からGEの最高デジタル責任者に昇任するビル・ルー氏ら5人の主要幹部が、同社のIoT戦略を余すところなく語ってくれました。詳細は特集本編をご覧ください。

GE、SAP、シーメンス、コマツ・・・
先進企業のIoT戦略を一挙紹介

『週刊ダイヤモンド』10月3日号の巻頭特集は「いまさら聞けない IoTの全貌」です。

 ここ半年ほどの間に、身の回りで「IoT」や「インダストリー4.0」という言葉を目にしたり耳にしたりする機会が増えてきました。スマートフォンの普及によって、センサーの小型化、低コスト化、低消費電力化が一気に進み、さらに無線通信技術が進歩したことで、IoTが実現する条件が整ったことが背景にあります。

 「それって、ただのバズワードじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。答えはYESでありNOでもあります。

 IoTは確かにバズワードです。今のところ、明確な定義や具体性に欠けています。だからこそ、44ページの巻頭特集でIoTの全貌をまとめました。

 そして、IoTはただのバズワードでは終わりません。私たちの暮らしを変え、ビジネスを根本から変えていくでしょう。そのことを理解している先進企業は、すでに動き始めています。米GE、ドイツのSAPやシーメンス、日本のコマツやクボタなど、IoTを積極活用して大きな成果を出しつつある企業の具体例を網羅しました。

 IoTは良くも悪くも産業や企業の競争条件を変えていきます。製造プロセスのデジタル化で生産性を飛躍的に高めるインダストリー4.0の登場で、日本のモノづくりは大きな試練に直面しています。特集では、IoT時代に日本が進むべき道を模索しました。

 IoTは間違いなく世界を変えていく力を持っています。本特集でその「衝撃」を実感してください!

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10月3日号「いまさら聞けない IoTの全貌」

Part1 ゼロから分かる!
IoTの「基本のき」

Part2 あなたの暮らしは
こう変わる!

Part3 ビジネスモデル大変革
先行する米国とドイツ

Part4 建設・農業分野が先行
日本版IoTの実力

Part5 日本のモノづくりに
忍び寄る危機

 

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