また、最近のセミナーには、ある特徴がある。「受講者の半数近くを小売りと外食企業の担当者が占めることが多い」(同)というのだ。後述するように、これらの業界はとりわけ制度対応が大変だからである。
企業の制度対応の作業は、業種によってかなり違う。番号を集める対象者が多ければ多いほど、作業は煩雑になる。
アルバイトが多く、収集する番号が膨大な数に上るのが、小売りや外食業界だ。
例えば、コンビニエンスストア大手のローソンは、全国に約1万2000の店舗を構えている。仮に1店舗当たり20人分の番号を集めるとすると、24万件という膨大な数の収集を迫られる。
また、これらの業界は、フランチャイズでの店舗展開も多く、誰が番号を収集すべきなのか、という問題も生じている。フランチャイズ店は、本来はアルバイトの雇用者であるオーナーが収集するのが筋だ。
しかし、本部には、店舗に任せておけない事情がある。「オーナーの管理が甘く、番号が流出してしまうと、本部も責任を問われる。どうやって番号を集めるのかを早急に検討しないといけない」(小売業界関係者)。
加えて、小売りや外食業界は、アルバイトが多いため従業員の流動性が高く、番号収集・破棄の頻度も高い。それだけに、番号管理には厳重な対応が求められる。
今回の番号制度では、情報漏えいの罰則が厳しく、企業は戦々恐々の状態なのだ。
個人も企業担当者も必読
マイナンバーの全てが分かる!
週刊ダイヤモンド7月18日号の第1特集は、「徴税強化か、魔法の番号か マイナンバーの正体」です。
5月末に発覚した100万件を超える年金の個人情報流出。日本年金機構のずさんな情報管理に不安を感じた人も多いでしょう。図らずも、これがマイナンバーを世に知らしめるきっかけとなりました。
マイナンバーとは、生まれたばかりの赤ん坊からお年寄りまで、すべての国民に割り振られる「背番号」です。全国民・全事業所が関わる重要な制度なのですが、その内容を理解している人は少ないでしょう。
そこで本特集では、「ナンバちゃんがズバリ答える!マイナンバーの質問・疑問」など、制度の概要をわかりやすく解説しています。
さらに、国民の関心が高まっている情報漏えいのリスクについても、年金の情報漏れを事例に挙げながら検証しました。
また、マイナンバー制度への対応でお困りの日本全国の担当者のために、「マイナンバー制度導入ガイド」も作りました。導入を4段階・9ステップに分けて、どんなことに注意して進めればいいのかというツボをまとめてあります。ぜひお役立てください。
10月、マイナンバーがあなたのところにやって来ます。果たしてあなたの背番号は何番でしょうか?
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週刊ダイヤモンド2015年7月18日号 「徴税強化か 魔法の番号か マイナンバーの正体」
◆Prologue マイナンバーがやって来る!
◆Part1 たった20分で分かる!マイナンバーのイロハ
◆Part2 あなたの資産を丸裸に!個人番号制度の脅威
◆Part3 番号制度導入で泣く企業・笑う企業