長く続いた総合商社の
業界序列が大激変中

 記者が以前、上海出張の際に転がり込んだ大手商社に勤務する友人の住まいも、外資系ホテルの一角を占めるサービスアパートメントでした。間取りは広々とした1LDK。高級家具が備え付けられた空間で、映画に出てくるかのような優雅な生活を送っていた友人をうらやみ、彼我の差に暗たんたる気持ちになったことを思い出します。

 『週刊ダイヤモンド』7月4日号の第1特集は「商社の勝者 伊藤忠が三菱、三井に仕掛ける下克上」です。

 総合商社の業界勢力図が激変中です。長らく商社業界に存在した序列。三菱商事を筆頭に、三井物産、住友商事と財閥系の3商社が上位を占めて、その後を伊藤忠商事や丸紅といった非財閥系商社が追うという序列が今、崩壊しつつあります。

 台風の目は、タイの巨大財閥と共に中国最大の国有企業への出資に踏み切った伊藤忠です。今まさに非財閥系の下位商社だった伊藤忠が、三菱商事や三井物産といった財閥系の上位商社に「下克上」を仕掛けているのです。

 2010年4月に伊藤忠のトップに立った岡藤正広社長がまず設定した目標は「業界3位を目指す」ことでした。伊藤忠は当時、純利益で業界4位に甘んじていましたが、3位の住友商事を事実上名指しし、挑戦状をたたき付けました。公約通り、11年度には住商を追い抜きました。

 さらに昨年度の純利益は、三井物産が3065億円、伊藤忠が3006億円と、2位の三井物産にわずか59億円差まで迫る大躍進。今期は計画通りに利益を積み増せば、三井物産を追い抜く可能性が高そうです。しかも今期はトップにも手が届きそうな勢いです。10年以上にわたって業界トップを走り続ける王者、三菱商事との純利益計画の差がわずかに300億円で、射程圏内に捉えました。

 業界の"暴れん坊"は、商社業界の勝者になり得るのか、あるいは風車に突進するドン・キホーテで終わるのか。その答えをライバルたちの思惑を絡めながら、徹底解明しました。総合商社の入門講座なども織り交ぜながら、分かりやすく解説しているので、業界関係の方だけでなく、就活中の学生の方にも手に取ってもらえると幸いです。

週刊ダイヤモンド2015年7月4日号
「商社の勝者 伊藤忠が三菱、三井に仕掛ける下克上」

◆Part1 伊藤忠商事社長 岡藤の野望

Part2 5大商社の本当の実力

◆Part3 人気ナンバーワン業界の秘密
    カネと出世の最新裏事情

 

 

 

 

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