『週刊ダイヤモンド』4月25日号は、「あなたの情報いくら? 個人データに群がるビジネスの裏側」。スマートフォンやインターネットから吸い上げられる個人データの実態に迫りました。

あなたの行動を追い掛け回す
ネット広告もうけのカラクリ

 新居に引っ越すことになり、新たにウォシュレットを買うことにした30代の男性。使っていたパソコンやスマートフォンの検索サイトから、インターネットショッピングのサイトに入り、お目当ての商品を探していた。

 結局、近くの店で購入したのだが、そのころからショッピングサイト、ニュースサイト、ブログにまでウォシュレットの広告が。「トイレのフタ」に追い回される羽目になってしまった。

 男性は「いまさら広告が出ても意味がないのに、本当に迷惑だ」と憤慨。しかし、相手が見えないだけに怒りのぶつけ先がなかった。

 なぜ、このようなことになるのか。その裏には、最近、主流となっているネット広告が存在する。

 上図はその仕組みをまとめたもの。まず、利用者がウェブサイトにアクセスすると、そのサイトの種類や利用者を識別するIDなどの情報が広告を配信するサーバに自動的に送られる。

 広告サーバ側は、事前に特定の相手に広告を打つよう設定されているのに加え、利用者が初めて訪問したサイトであっても、同じサーバにつながってさえいれば、その人の興味を引くような広告の配信ができるようになっている。

 そのため、例えば旅行サイトでハワイの情報を見た人に、初めて訪れた別のサイトでもハワイ旅行の広告を出すということが可能なのだ。

 このような相手の行動を追跡する「行動ターゲティング型」のネット広告は、一般的なマス広告に対して費用対効果が高いため一気に主流となり、結果、2014年の国内のネット広告費が初めて1兆円を超えるほど、莫大なカネを生むようになった(電通調べ)。

 だが、こうしたターゲティング広告は、その〝原料〟として、大量の個人データを必要とする。

行動追跡型からSNSへ
広告で起きるパラダイムシフト

 もともと、ネット広告は新聞やテレビと同じように「広告枠」を売るというビジネスモデルからスタート。国内では1996年から「バナー広告」の取り扱いが始まった。

 それが、グーグルが検索ワードに連動した「検索連動型広告」を始めた02年に大きな転換点を迎えることになる。