この男性のようにうまく相場に乗れることはレアケースかもしれない。相場が下がるまで賃貸に住むなどまっぴらごめんという人もいるだろう。
しかし今、不動産に対する考え方を改める時代が来ているのかもしれない。
というのも、今後も不動産相場の上下、景気の循環がなくなることは、まずないだろう。一方で、人口減により人気がなくなる地域が出てくるはずだ。
うっかりしていると、将来、空き家となって迷惑を掛けてしまう可能性もある。底値でつかみ、高値で売るという機を見て敏に動くことが求められる。
前出の櫻井氏は「これからはライフステージに合わせて売買を考えるだけでなく、相場を横目で見ながら判断することも重要になる」と説く。
例えば、子どもが社会人になり、夫婦2人では使う部屋も少ないから小さな賃貸マンションに引っ越す、つまり、ダウンサイジングを選択するケースは今でも多い。しかし、「実際には高校生や大学生でも家にいる時間は減るわけだから、今住んでいる広さは必要ない場合もあるだろう」(櫻井氏)。
数年先に予定していたマンションの売却とダウンサイジングを、相場を見つつ、あえて前倒しする──。そんな選択も大いにあり得る。不動産を所有しているなら「相場は自分とは関係ない」とは言い切れない時代なのだ。
不動産業界のカラクリを知って
賢く家を売る!
『週刊ダイヤモンド』3月7日号の巻頭特集は「マンション・戸建て 高く売れる家 売れない家」 です。
多くの人にとって、人生で最大の買い物は不動産だと思います。そのため、購入する物件選びには心血を注ぎ、何度も現地を見に行くのが通常ですが、一方で売ることは軽く考えている人が多いのです。
かくいう、週刊ダイヤモンドでも、過去の不動産の特集はほぼ全て「買う」ことにフォーカスして、物件紹介などをしてきました。
ところがです。実は、さまざまなノウハウを知ることで、売却額が数百万単位で変わってくるほど、実は、「売る」ことに関する情報は非常に重要なのです。
特に知っておきたいのが、日本の不動産業界が抱える独特なカラクリ、慣習です。海外では禁止されている「両手仲介」が起こす弊害を知っておくことで、あなたが不動産を売る際に、営業マンとは緊張感を持った関係を築くことができるはずです。他にも、「干す」、わざと売らない「囲い込み」など、不動産仲介の裏側にある、あまり知られていない構造もたくさん紹介しています。
さらには、チラシの見方、査定、契約、営業マン選びのチェックリスト、高く売れる内覧術、販売開始後の不動産会社管理術、税金の注意点など、不動産売却の流れに沿っての、テクニックが満載です。
また、特集の冒頭では、今、日本中で急増している「空き家」の問題についても現地ルポとともに触れています。相続した不動産などをぼんやりと所有していると、負担が一気に増える可能性もあります。それだけに、今、不動産を売る予定のない人にとっても、本特集を読んでいただき、高く売るノウハウを知り、査定をし、市場価値を探っておくということをしておいて、損はないはずです。
今、不動産価格が高騰しているだけに、売却を考えている人も多いと思います。ぜひ、本誌を読んでいただければ幸いです。
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週刊ダイヤモンド2015年3月7日号
「マンション・戸建て 高く売れる家、売れない家」
◆序章 家を売りたい
◆第1章 不動産が「負」動産に
中古住宅暴落の危機
◆第2章 家は今が売り時!?
バブル期並みに高騰中
◆第3章 業界のカラクリを知って
家を高く売ろう!!