東京の都心各所で進む再開発には別の側面がある。吸引力を競う地域間のつばぜり合いであり、街ごとに地盤を築くデベロッパーの勢力争いでもある。

 東京大改造──。そういう言葉でしか言い表せないほど、東京の街は大変貌を遂げようとしている。

 大きく七つのエリアがある。大まかにエリアごとの特徴を押さえいこう。

 まずは、金融機関や重厚長大産業など〝オールドエコノミー〟が集積する「大手町・丸の内」地区。さらに東京駅を挟んで隣接する「日本橋・八重洲」もひとくくりと見ることができるだろう。

 ここでは超大型の再開発が相次いでいるが、メインプレーヤーは三菱地所と三井不動産だ。ただし、そこに割って入ろうとする住友不動産の姿もあり、仁義なき戦いの真っ最中。また、公共工事や再開発案件を多数受注して活況に沸くゼネコン各社も、何とかして自社の〝旗〟を建てようと、しのぎを削っている。

 次に、ニッポンの顔といわれる「銀座」。

 そして、古い街並みの中に高さ約250㍍の虎ノ門ヒルズが建った「虎ノ門・六本木」地区。環状2号線からのアクセスも抜群で、東京メトロ日比谷線の新駅ができることも決まり、〝グローバル新都心〟を目指している。メインプレーヤーは森ビルを筆頭に、森トラストなどが挙げられる。

 その虎ノ門・六本木を脅かす存在になりそうなのが、「渋谷駅周辺」地区だ。というのも、JR渋谷駅の真上には、2012年に竣工して話題となった渋谷ヒカリエよりも50㍍ほど高い230㍍の超高層ビルや商業施設が立ち並び、東京を代表する新たなランドマークとなる可能性があるからだ。

 さらにヒカリエに代表されるように、ディー・エヌ・エーやLINEといった新興IT企業がこぞって渋谷に集結しており、六本木とのテナント争奪戦が加速しそうだ。ここで活躍するのは、渋谷がお膝元の東京急行電鉄と東急不動産だ。

 そして、〝最後の巨人〟と呼ばれる「品川駅周辺」。車両基地跡を再開発する計画で、新たに山手線新駅ができるのに加え、27年にはリニア中央新幹線の発着駅にもなるエリアだ。

 最後に、東京五輪によって大きく変貌を遂げるのが「湾岸」地区。さらに、新国立競技場が建設される「神宮外苑」だ。こちらはゼネコン各社が色めき立っている。

全国主要都市を
足で拾った情報基に
開発マップ作成

 『週刊ダイヤモンド』12月6日号の第1特集は「ゼネコン不動産 開発バブル」です。

 未曾有の大改造が進む東京――。2020年の東京五輪開催で、その勢いは加速しています。競技場の建設だけでなく、交通インフラ整備の前倒し計画なども矢継ぎ早に発表され、ここに落とされる巨額の金をめぐって、ゼネコン各社も受注合戦を繰り広げています。

 開発バブルは東京だけにとどまりません。名古屋や福岡など地方の中核都市にも、その匂いが漂っています。

 一方で光が強ければ強いほど、影も濃くなるというもの。建設労働者の不足により人件費が高騰、資材価格も跳ね上がり、工事がスムーズに進まなくなる現象も散見されています。

 また、バブルの及ばない地方の中には、さびれていってしまうケースも少なくありません。

 本特集では、東京だけでなく全国主要地域をカバーした開発マップを、足で拾った情報を基に作り上げました。今、日本の不動産・ゼネコン業界に何が起こっているのか、ひと目で分かる自信作です。

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本誌2014年12月6日号

ゼネコン不動産 開発バブル


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