その際に、最もこだわったのは〝価値〟の向上だ。

 例えば「炭火焼き牛カルビ弁当」は、肉の質や量、そしてタレに至るまで全てを見直した。その結果、税抜きで増税前より価格は上がったが、価格よりも品質のグレードアップを優先させた。

 一方で、「これだけの品質のものをこの値段で売るからこそ意味がある」といった商品については、価格を据え置いた。
 例えば「セブンカフェ」がその一つ。レギュラーサイズで100円など、増税前と同じ価格で販売している。

 さらに、パッケージの見直しも進めた。これまで白や黒が混在していた弁当の容器を、家庭の食卓に並べても違和感のない白で統一したのだ。

 シンプルな白の容器は、具材の量や質、盛り付け方がしっかりしていないと商品が貧弱に見えてしまう。それでも白に統一したのは、セブン-イレブンの商品に対する自信と価値向上の決意の表れともいえる。

 王者の進化するスピードはとてつもなく速いが、その差を縮めようと中食のレベルアップに励んでいるのはローソンも同じだ。
 最大の特徴は、商社出身者などで構成される仕入れのプロ集団、「原材料仕入部」が調達してきた原材料を起点に中核商品を開発しているところにある。うまい商品は、質のいい原材料から──。そうしたポリシーの下で、〝川上〟の品質から徹底して追求していく構えなのだ。

 また、働きながら子育てをしている女性を集めて商品モニターになってもらい、「自分だったら子供にこんなものを食べさせたい」など、かんかんがくがく議論をする場も設けている。男性中心の商品部だけで開発すると見落としがちな「主婦の目」を確実に取り入れることが狙いだ。

 たばこやジュースのように、どこで買っても変わらない商品と違い、弁当に代表される中食に対する消費者の目は厳しく、しかも移り気。少しでも「おいしくない」と感じれば、すぐさま別のコンビニに浮気してしまう。
 だからこそコンビニ各社は、試行錯誤を繰り返しながらゴールなき中食の進化に取り組んでいるのである。

全国に5万店、市場規模は10兆円!
過去最高出店の陰に潜む明暗

『週刊ダイヤモンド』9月6日号は「10兆円市場争奪戦 コンビニ超進化」。誕生から40年が経過、今や全国に5万店、市場規模は10兆円にまで成長しました。その進化は目を見張るものがあります。紹介した弁当(中食)のみならず、コーヒーやPB商品、情報端末、ついには宅配サービスまで。そこで今回の特集では、コンビニの進化を図解で分かりやすく解説、コンビニの今の姿を描きました。

 合わせて、過去最高ペースで出店しているコンビニですが、その陰でさまざまな〝ひずみ〟も生じているようです。コンビニ大手を中心に過去最高ペースで出店していますが、その陰に潜む明暗についても詳しくレポートしました。

 普段、身近にあり親しみ深いコンビニですが、特集を読めばまた違った姿に見え、買い物も楽しめると思います。

 是非ご一読ください。