最も興味深いのは、「経営者」の評価。スズキについては、鈴木修会長・俊宏社長の双方を評価対象とするよう依頼したのだが、それでも、4人そろって『カリスマ的統治』と回答。日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長も同様だが、「カリスマというよりも独裁的」と評する声も。

 意外なことに、「ホンダイズム」「スカイアクティブ」に代表されるように、唯我独尊の企業イメージがあるホンダ、マツダは『民主的統治』となった。創業家出身の豊田章男・トヨタ自動車社長や、米国躍進の礎を築いた吉永泰之・富士重工業社長の評価は割れた。

 自動車メーカーの肝である「商品」「技術」については、『芸術性が高い』『イノベーティブ』となったのはマツダや富士重くらい。世界的にスモールカーが主流となる中、各社のオリジナリティは埋没しているといえるだろう。

 国内市場の縮小、環境規制の高まり、異業種参入──。自動車業界が激動期に入った今、8社体制が終焉を迎えることは間違いない。その〝生存確率〟を予想する上で目安になるのが、「将来性」に対する評価だ。ここではトヨタの評価が抜きんでており、「ヒト、モノ、カネ、技術といった豊かな経営資源を持っている」(バークレイズ証券の吉田氏)。圧倒的シェアを持つインドでの存在感、節約精神が買われてスズキも好評価だった。

 業績絶好調の富士重に対して、複数のアナリストが「未開領域が減り、伸びしろがない」と、ピリリと辛口評価も相次いだ。三菱自動車、ダイハツ工業に至っては、「将来性」のみならず、総合的に見て渋い評価が並び、黄色信号がともる結果になった。

欧州の王者VWが自滅
米ITも巻き込む国家間戦争

「週刊ダイヤモンド」10月10日号の第1特集は「トヨタvsフォルクスワーゲン 最強の自動車メーカー」です。

 この半年間を眺めると、自動車業界の勢力図が大きく動き始めていることが分かります。円安効果は一巡し、国内軽自動車市場も頭打ちの兆しを見せつつある中、スズキと独フォルクスワーゲン(VW)の離婚調停も決着し、トヨタはマツダと電撃提携。さらにトヨタは新設計手法TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)に基づく第1弾、新型「プリウス」を初披露し、着実な足腰固めのフェーズに入りました。

 そして何より、2015年、目標を3年前倒ししてトヨタを追い抜き、初の世界販売台数首位に躍り出ることが濃厚だったVWに、最大の“誤算”が襲いかかりました。一連の排ガス不正スキャンダルは深刻化の一途をたどっており、先は全く読めない事態となっています。

 ただでさえ2020〜25年にかけて、世界の環境規制のハードルが一気に上がる上、VW問題を受けて燃費・排ガス規制の測定方法や基準が一気に厳格化されそうな方向にあります。各自動車メーカーがそれらをクリアするために要するコストは跳ね上がる一方です。

 米Googleや米Appleまで自動車開発に乗り出す中、本特集では、王者不在の大乱戦時代に突入した自動車業界の現場を追いました。チーム欧州や現代自動車などの韓国勢、さらには巨大IT企業を相手に、“チームジャパン”は勝利を収めることができるのでしょうか。

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10月10日号「トヨタvsフォルクスワーゲン 最強の自動車メーカー」

Part1:動き始めたトヨタ
     世界再制覇の全貌

Part2:ホンダ、日産の命運
    日系メーカーの深い憂鬱

Part3:VW自爆が引き金
    王者不在の世界大乱戦

 

 

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