3億人の仕事が消滅!?
全業界“激変”AIブーム
ChatGPTは法律や医療などで人間をも上回る知識と説明力を持つ「モンスターAI」だ。これをいかに使いこなすかで企業やビジネスパーソンの競争力は劇的に変わる。
今度の第4次AIブームは、過去のブームとは全く“別もの”である。ChatGPTに具体的な質問をしてみればすぐに実感できるだろう。
拡大する
ChatGPTを使うのに、プログラミングや統計解析などの専門知識は必要ない。
有効な回答を得るための質問や指示の出し方さえ心得れば、有能な「助手」や「トレーナー」を無料で手に入れられるようなものだ。
そのメリットを実感した人が多かったからこそ、ChatGPTは無料公開後2カ月で1億人超のアクティブユーザーを獲得できたのだ。この普及のペースは、ウェブアプリ史上最速だった。
米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏はChatGPTについて、インターネットや携帯電話と同レベルの発明であると高く評価しており、それを使うことで、「企業は差別化を図ることができる」と明言している。
実際、企業は競合他社より早くChatGPTを事業に生かそうと血眼になっている。
医師に8対2圧勝する
進化したAIの「共感力」のすごみ
ChatGPTの真価を示す研究成果を、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のジョン・エアーズ博士らが発表した。
約200件の患者の質問に、人間の医師とChatGPTが答え、その回答を専門家に評価させたところ、79%は後者の方が質が高く正確だと判定。回答内容が「共感的」かどうかでもChatGPTに軍配が上がった。
ChatGPTは、「AIの言葉は無味乾燥」という常識を覆したのだ。実際、悩みを相談してみると、質問者の感情に寄り添った返事をするし、その説明は、仕事に追われている医師やカウンセラーより丁寧で分かりやすい。
健康情報サイトや
弁護士の法律相談が激減!?
こうしたChatGPTの能力によって、地位を脅かされる企業や労働者も出てくる。
例えば、ユーザーの満足度が高い、健康の悩み相談がChatGPTで可能になれば、インターネット上にあふれるヘルスケア関連のウェブサイトへのアクセス数は減るだろう。知りたいことをピンポイントで聞くことができ、追加の質問もしやすいチャットの方が、記事を読むより効率的だからだ。
同様に、1時間5000円程度で弁護士が行ってきた法律相談も需要が激減するかもしれない。
そうなれば当然、雇用にも深刻な影響が出る。
ChatGPTなどのAIが雇用に与える影響について米ゴールドマン・サックスは3月、「現在の仕事の4分の1を代替でき、世界で3億人のフルタイムの仕事を自動化し得る」との推計を発表した。“生成AI大淘汰時代”がやって来るのだ。
下図は、ChatGPTを使いこなせるかどうかで、どんな違いが出るかを、ChatGPT自身に聞いた回答を示している。その回答の通り、「使えた人は競争力を高め、使いこなせない人はチャンスを逃す」。
東京大学の松尾豊教授は、第4次AIブームは「もはやブームではない」と言い切る。インターネットのように社会を変革し続け、個人の人生さえも変えてしまう。ChatGPTは、それぐらい強大なツールなのだ。
個人のChatGPT活用のみならず
法人利用の最先端や注意点も公開
『週刊ダイヤモンド』6月10・17日号の第1特集は「ChatGPT完全攻略 最新決定版」です。
使い方マニュアルの初級編では、「ChatGPTがどんなものかよく分からない」「自分でも使ってみたい」という人に向けて、アカウント登録から実際の使い方まで一から解説します。
中級編では、ここでは達人たち直伝の使えるプロンプト(AIへの指示・質問)や、ChatGPTがさらに便利になるChrome拡張機能を紹介します。
上級編では、ChatGPTと Excelなど他のソフトと組み合わせて「生産性100倍」の実現に挑戦します。
本特集は、企業によるChatGPTの活用にもフォーカス。大和証券や五代法律事務所、大成建設など、AIによる仕事が減るといわれている業界の大手企業が、どのようにAIを使っているかをレポートします。
ChatGPTを使いこなせるかどうかで、個人や企業の競争力には大きな差が生まれます。ChatGPTを成長の起爆剤にするための価値ある情報が満載の特集をお届けします。