『週刊ダイヤモンド』7月28日号の第1特集は、「さらば旧型金融エリート」です。エリートの代名詞だった銀行員の社会的地位の凋落が止まりません。国内の人口減少に超低金利時代の長期化、さらには異業種からの“領空侵犯”――。業界が直面している“産業革命”によって、保守的な業界の代表である銀行もついに時流にあらがえなくなり、高学歴・高年収の金融エリートたちは荒波に翻弄されています。ただ、時代に取り残される「旧型金融エリート」が仕事を奪われかねない危機に陥る一方で、新時代の寵児である「新型金融エリート」が台頭してきている側面もあります。今回の特集では、そんな残酷なコントラストを描く新旧交代の実態に迫りました。

 大リストラ時代──。昨年11月、3メガバンクグループが合計で3・2万人分の業務量を削減することを打ち出すと、銀行業界の苦境がいよいよ世間全体に知れ渡った。

 国内の人口減少という構造問題に、日本銀行の異次元金融緩和政策による超低金利環境の長期化が重なり、銀行業界は構造不況に陥っている。その上、金融とITを掛け合わせたフィンテックの分野を足掛かりに、異業種の企業が銀行に対して次々に“領空侵犯”を仕掛けてきており、今のコスト構造では生き残れるかどうか分からない。そんな状況が背景にある。

 そこで銀行は、業務量削減のために人工知能(AI)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるソフトウエアロボットの導入を進めている。すると、「銀行員vsAI・ロボット」という対立軸が注目を浴びる。金融エリートである銀行員が機械に仕事を奪われるという構図は刺激的で、耳目を集めた。

 こうした影響が端的に表れたのが、就職活動生の銀行離れだった。「銀行に入れば一生安泰」「高年収」「社会的地位が高い」。そんな「銀行員=エリート」というイメージがもろくも崩れ去った今、就活人気ランキングの上位から転げ落ちてしまったのだ。

 ただ、こうした事象は、銀行業界で現在進行形のパラダイムシフトにおける氷山の一角でしかない。

 ずっと前から国際舞台で真剣勝負を繰り広げてきた自動車や電機などの他業界は、とっくの昔に大リストラを経験し、生き残りを懸けた変革に何度も挑んでいる。

 一方、規制業種として規制に縛られると同時に守られてもきた銀行業界は、他業界と比べて事業を存続できなくなるリスクが段違いに低く、変わらないままでも生き残ることができた。

 ところが、前述した業界の構造転換の中で、銀行も存亡の機が迫っていることを自覚。若手から中堅やベテラン、さらには支店長や銀行の役員、頭取に至るまで、銀行というピラミッド型組織のあらゆる層において、遅ればせながら変革が起き始めている。

 その変革は、新しい時代が求める「新型金融エリート」と、時代に取り残される「旧型金融エリート」を同時に生み出すという、残酷なコントラストを描いている。

 そこでこの特集では、上図のような、金融業界で本格化している5パターンの「新旧交代」をご覧に入れよう。

 一つ目は、「純国産」から「逆輸入」への新旧交代。

 銀行の頭取といえば、経営企画畑で国内純粋培養というのが昔からの王道で、その伝統は数年前まで、金融ピラミッドの頂点に位置するメガバンクのトップも同様だった。ところが、海外経験がトップの必要条件という機運が近年急速に高まっている。

 二つ目は、「平時の殿様」から「戦国武将」への新旧交代。

 寝ている間も貸出金が金利で稼ぎ続けてくれる銀行の頭取は危機感に乏しく、現状維持に流れがち。地元の上流階級としての余生が約束された地方銀行の頭取はなおさらだった。しかし、構造不況業種と化した今は、戦場で改革の陣頭指揮を執る頭取が求められている。

 三つ目は、「金利商売」から「手数料商売」への新旧交代。

 預金を企業や個人に貸し出して利ざやを稼ぐという伝統的な銀行の金利商売は、超低金利環境が続いて崩壊寸前。それに伴い、銀行の花形だった法人営業担当者の立場も揺らいでいる。考え方や働き方を手数料商売にシフトできない銀行員は、営業現場であっても経営会議の場であっても、生き残れなくなりつつある。

 四つ目は、「紙・アナログ」から「デジタル」への新旧交代。

 書類や印鑑など紙の文化が根強く残る銀行だが、3メガバンクをはじめとして、IT活用による業務のデジタル化を相次いで打ち出した。ITに代替される仕事しかできない行員の未来は暗く、ITを使いこなす側に回らなければ生き残れない時代が来た。

 最後の五つ目は、「文系・画一」から「理系・多様」への新旧交代。

 頭が良くて協調性も高いが、創造性や変革志向に欠ける。銀行員を目指す就職活動生は、入行前からそんな世間の銀行員像と合致していた。変革期を迎えた銀行はこれに危機感を覚え、今までとは違った理系分野や海外からの人材獲得をもくろんでいる。

全国111銀行対象のランキング3連発
258信金・135信組のランキングも

『週刊ダイヤモンド』7月28日号の第1特集は、「さらば旧型金融エリート」です。

 新卒採用や営業の現場からメガバンク・地銀の経営トップを選ぶシーンまで、あらゆる局面で旧型の人材が新型の人材に取って代わられる「金融エリートの新旧交代」が起きています。今回の特集では、それをつぶさに描きました。

 また、銀行の監督官庁である金融庁も長官が交代となりました。ここでは「新旧ねじれ」とも呼べる状況が起きている現状をお伝えしています。

 さらに、「昔ながら」が強みを残す信用金庫と信用組合もボリュームを割いています。地域の要として重要な役割を果たしている「メガ信金」や、信用組合業界で「東西の横綱」と呼ばれる名物理事長についてもご紹介しました。

 そして、『週刊ダイヤモンド』独自のランキングもお見逃しなく。

 全国111銀行を対象にした、収益性にフォーカスを当てたランキングを3連発でお届けします。さらに、258信金・135信組の全国&地域別ランキングも盛り込んだボリューム満点の特集に仕上げました。

 ぜひご一読ください。

2018年7月28日号[ 710円 ]

表紙
特集

さらば旧型金融エリート

Prologue
大変遅ればせながら銀行が変わります
金融エリート新旧交代の波に乗り遅れるのは誰か?

Part1
頂点から崩れ始めた
10年遅れの金融ヒエラルキー

Part2
思考停止の地銀
"殿様"に退場の時が訪れた

Part3
エリートコースの"分水嶺"
銀行に残るもの離れるもの

Part4
「昔ながら」が強み残すも
格差広がる信金・信組

Part5
新旧ねじれる金融庁
ポスト「史上最強長官」時代