『週刊ダイヤモンド』12月23日号の第1特集は「大増税&マイナンバー時代の節税術」です。今年の税制改正では、高額所得層の給与所得控除を縮小することになったり、新たに森林環境税や出国税などを設けるなど大増税の様相を呈しています。加えて、来年1月から配偶者(特別)控除も、夫が高額所得層ならば、減額もしくはゼロになります。個人のおサイフがどんどん厳しくなる中、家計を守るためには節税術を駆使していくしか手はありません。その方法をお届けします。

 年末調整の書類を書きながら、「配偶者控除について長い説明が付いている」と思った方も少なくないだろう。

 最近、注目されている高額所得者の給与所得控除の縮小よりも一足先に、年収の高いサラリーマンの懐を直撃するのが配偶者控除・配偶者特別控除の改正だ。

 これまで夫の収入に関係なく、妻の収入に応じて控除枠は決まっていたが、2018年からは夫の年収の多寡によって控除枠の上限が変わることになるのだ。

 17年までの控除枠の上限は一律38万円。18年からは、夫の年収1120万円以下の世帯はこれまで通り38万円となるものの、同1120万円超1170万円以下は26万円、同1170万円超1220万円以下は13万円と、夫の年収が上がるにつれて控除枠の上限が下がっていき、同1220万円超となれば控除枠自体がなくなる。

 その一方で、配偶者特別控除が適用される妻の年収の上限は、141万円から201万円に引き上げられることになる。

 これまで妻の年収が103万円以下ならば、配偶者控除は38万円。103万円を超えると、配偶者控除がなくなる代わりに105万円未満までは同額の配偶者特別控除が適用され、105万円以上の控除枠は36万円となり、その後は収入が増えるにつれて枠が縮小、141万円以上は控除枠がなくなるという仕組みだった。

 これが18年からは、150万円以下なら夫の年収の多寡によって設定された控除枠の上限が変わる。そして201万円まではこれまで同様に段階的に縮小し、201万円超でゼロとなる。

 つまり、改正後は夫の年収と妻の年収の組み合わせで控除枠が決まることになる。

配偶者控除の改正で
得する世帯、損する世帯

 では、改正の前後で手取り額はどう変化するのか。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏の協力を得て、損する世帯、変わらない世帯、得する世帯の三つの世帯をシミュレーションした。扶養控除が適用される子供、親はいない前提である。

 夫の年収1250万円、妻の年収100万円の世帯は配偶者控除38万円がなくなり、手取り額は984万5678円から974万2613円に減る。10万3065円もの大幅なマイナスだ。

 次に、夫の年収1150万円、妻の年収115万円の世帯は、控除枠が26万円で変わらず、手取り額は915万円台でほぼ同じ。

 改正による恩恵が大きい典型が、夫の年収が600万円、妻の年収が150万円の世帯。夫の年収は改正による控除枠の上限の頭打ちの影響を受けない水準で、妻の年収は、改正前は控除枠がなかった水準だが、改正後は38万円の控除を受けることができる。手取り額は580万9875円から584万5150円に増加し、3万5275円のプラスとなる。

 妻の働き方を左右するのは、税金だけではない。社会保険への加入の有無も大きく影響する。

 妻が社員501人以上の会社に勤めている場合は、年収が106万円超(加えて勤務時間が週20時間以上)になると、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入することになる。年14万円前後の負担が一気に発生することから、「106万円の壁」と呼ばれている。

 年収が106万円を超える形で働くつもりなら、124万円を超えるようにすれば、加入前の手取りを回復できる。加えて、夫の年収が1220万円以下の場合は、年収が150万円を超えると配偶者特別控除が縮小していくことにも留意しておきたい。

 一方、妻が社員500人以下の会社に勤務している場合は、年収が130万円以上になると国民健康保険、国民年金に加入しなければならないので、手取り額が減少する。いわゆる「130万円の壁」である。

 会社によって上下するが、目安として年収が156万円以上になるように働くと社会保険に加入でき、保険料負担(社会保険料は会社と折半)が減るので手取りが増える。夫の年収が1220万円以下の場合に配偶者特別控除の縮小に目配りが必要な点は、社員501人以上の会社の場合と同じだ。

 共通する注意点は、所得税の発生する境目である103万円超と国民健康保険、国民年金加入の130万円以上。会社によっては配偶者手当の支給基準になっている場合もあるからだ。

サラリーマンでもできる
「節税術」がめじろ押し

『週刊ダイヤモンド』12月23日号の第1特集は「大増税&マイナンバー時代の節税術」です。

 あまねく広く影響のある消費増税がほぼ決まりとなったことで、今年の税制改正の議論は公平感を期すために、高額所得者層を狙い撃つかのような給与所得控除と公的年金控除の縮小など、増税メニューがめじろ押しです。

 取りやすいところから取る――。そうした国の施策に手をこまねいていては、家計の負担は増すばかり。そこで、でき得る限りの節税術を駆使し、家族の生活を守ろうというのが本特集の趣旨となっています。

 たとえサラリーマンの家計であっても、市販薬で節税できるセルフメディケーション税制や、3つの税制優遇がある個人型確定拠出年金「iDeCo」、2018年からスタートする「つみたてNISA」などがあります。

 配偶者控除の改正も18年に行われるため、制度の仕組みをしっかり理解して、働き方を工夫する必要があるでしょう。

 また、高齢化の進展に伴い相続や贈与への関心が高まっていますが、高齢者から子育て世代に資産の移転を促す政策に則った有効な節税術も見逃せません。

 こうして見ていくと、やれることはたくさんあります。本特集を参考にしていただき、家計の防衛を図っていただければ幸いです。

2017年12月23日号[ 710円 ]

表紙
特集

大増税&マイナンバー時代の節税術

Prologue 迫る個人大増税の足音

サラリーマン・家計編

不動産・相続・贈与編

生命・損害保険編

富裕層編

中小・大企業編