この度は弊誌11月4日号「ベストホテル&エアライン」特集の誌面作りにご協力を頂きまして、誠にありがとうございました。ご協力を頂いた御礼に、「特別編集版」をお届けします。今回の特集に加えて、2012年8月25日号「もう一度泊まりたい!日本のベストホテル」から一部を抜粋し、過去と現在を比較した特別編集記事を作成しました。

 ホテル業界は訪日外国人の増加や日本人のビジネス・観光利用も堅調なこともあり、この5年間で様変わりしました。2020年には東京オリンピックの開催が予定され、ホテル建設が活発化しています。そうした状況は東京だけではなく、地方にも波及し、さまざまな勢力が入り乱れてシェア争いを繰り広げています。

 不動産サービス大手CBREがまとめた調査によると、ホテル客室数は主要8都市(東京・大阪・京都・名古屋・福岡・札幌・広島・仙台)で2017年から2020年ごろまでに、16年時点よりも約6万5000室、26%増える見込みです。

 こうした環境において、ユーザーの支持を集めようと、各ホテルはさまざまな努力を行っています。その結果は、弊誌が継続的に行っている満足度ランキングに反映されてきました。

 それでは、まず2017年9月の調査結果を踏まえた今回の特集をご覧ください。

──1万人が選んだ!ベストホテル100 2017年版──
1位は帝国、新御三家は失速
ランキングから見る栄枯盛衰

 1万人はどのホテルを選んだのだろうか。本誌は2017年9月、ホテルのユーザー1万人に対してアンケート調査を行った。

 最近1年以内に国内のホテルを利用した人を対象に、「自腹で宿泊して満足したホテル」「出張で宿泊して満足したホテル」をそれぞれ最大三つ挙げてもらい、併せて最も不満だったホテルも聞き、総合点でランキングした(詳細は「ランキング作成について」参照)。まずは「自腹」について見ていこう。

 前提として、泊まったことのあるホテルの中から選ぶ方式を取っているため、客室数の多いホテルが有利になる。

 それを割り引いても、帝国ホテル東京が圧倒的な強さをみせた。理由については「客室が快適」「雰囲気がいい」という点を、6割近くの人が挙げている。

 特にスタッフへの支持が高い。どのように人を育てているのだろうか。金尾幸生・帝国ホテル東京総支配人(帝国ホテル取締役)に秘訣を聞くと、胸ポケットから小さな紙を取り出し説明してくれた。

 そこには帝国ホテルの「理念と行動基準」が書かれている。理念は「客の全てが起点になる」と「国際的なベストホテルを目指す」の2点に集約されており、あいさつ、清潔、身だしなみ、感謝、謙虚など九つの行動規範が示されている。それを各職場で分かりやすい言葉で言い直すそうだ。お辞儀一つ取っても、「1、2、3で頭を下げ、1、2、3、4と数えてから頭を上げる」など具体的だ。

 目立たないところでも、その成果は見られる。例えばフロント。他に団体客がいると、待たされてしまうものだが、帝国ホテルでは持ち場を決めずに全体を見ているベテランスタッフがいて、フロントやコンシェルジュなどが団体客の誘導を機敏にこなしている。

 満足度の高かったビュッフェについても、ビュッフェ専門のコンシェルジュが料理の周りをさりげなく回っている。

 客に話し掛けた方がいいのか見守るのがいいのかは、長年の経験で分かるらしい。迷っている客には「ローストビーフがお薦めですよ」などと話し掛け、「ありがとう」の言葉を引き出していた。

 目を洗い場に転じると、そこには15分ごとに鳴るタイマーが付いており、スタッフがビュッフェの料理がきれいに盛り付けられているかをチェックしたり、トングなどの交換をしたりしていた。客がこぼした料理もすぐに拭き取る。

 マニュアルに、ベテランのノウハウを組み合わせているのだ。

 もっとも、「サービスに完成はない」と金尾総支配人は気を引き締める。例えば、外資系ホテルがワンストップで客の要望に対応するバトラーを導入しており、客の利便性から見れば帝国ホテルは後れを取っている。だが、リピート客にとっては、サービスが変わるのは不親切になるため、そのまま導入するのは難しい。帝国ホテル流の進化が期待される。