“免疫力アップ”の真偽にメス
上がりすぎると死の危険も
冬になると、メディアに頻出する“免疫力アップ”というキーワード。
そのようなタイトルが付いている記事や書籍を見ると、特定の食べ物が良いというものから、体温を上げる、筋トレやエクササイズをする、はたまたよく笑うなどといったさまざまな“免疫力アップ”の方法があるようだ。
しかし、それらの記事や書籍には、風邪をひきにくくなった、体がスッキリしたなどといった個人的な感想は書かれているが、“免疫力アップ”の根拠となる、肝心の免疫力を定量的に評価する方法が提示されていない。
「昨年は何回風邪をひいたが今年はこれだけ減った」などの情報くらいあってもよさそうであるが、そのような類いの記述もない。
そこで、医師を始め、免疫に詳しい専門家たちに免疫力の評価方法を聞いてみたところ、学問の世界ではそもそも“免疫力”という概念自体が存在しないという。
それどころか、一般にイメージされている“免疫力アップ”、つまり免疫の機能が強くなりすぎると、さまざまな疾患の原因となり、時には死に至ることもあるというのだ。
免疫が暴走し、いたるところに炎症が起こる「サイトカインストーム」という現象が、新型コロナウイルス感染症の患者の命を脅かすこともある。
仮に“免疫”の力というものがあったとしても、ちまたに溢れる記事や書籍に書かれているような「上がれば上がるほど良い」という、単純なものではなさそうだ。
健康に関する商品やサービスには高額なものも多い。いま一度、免疫について理解を深めておいて損はないはずだ。
免疫とは何か、そしてその“力”の正体を明らかにする。
コロナ時代の健康を守る情報武装術
風邪&花粉症対策、怪しい専門家の見抜き方も完全網羅
『週刊ダイヤモンド』3月6日号の第一特集は「免疫力の嘘ホント」です。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で、改めて“免疫”というキーワードに注目が集まっています。
この特集では、われわれが抱く免疫についての素朴な疑問を専門家が優しく解説。ちまたに溢れる“免疫力アップ”の矛盾が見えてきます。
そのほか、コロナ&風邪&花粉症などすべてのリスクに備える感染対策、気になるワクチン&治療薬の最新知見、玉石混交の医療・健康情報・専門家の見抜き方など、コロナ時代の健康を守る情報武装術を詰め込みました。
特集最後には、作家・瀬名秀明氏とウイルスの権威で医師・西村秀一氏という旧知の2人が、混沌のパンデミックを生き抜く“知”について語り尽くした対談を6ページにわたって収録。
まだまだ続くコロナ時代の羅針盤として、一家に必携の一冊です。
(ダイヤモンド編集部 野村聖子)