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●改革派知事たちの戦い

高知県知事の出直し選挙だけど、橋本大二郎がなんとか五選を果たしたね。
橋本が過去の一三年間で如何なる変化をもたらしたか、それは彼も又、脱物質主義的改革だから見えにくい部分はある。とは言え、政党の支援や支持を受けずに誕生し、今や日本有数の抵抗勢力である自治労を敵に回し、街のオバさん、オジさんの支持のみを頼りに務めてきた。改革派を任じながらも、与野党相乗り推薦の下で当選している、予定調和の官僚出身の改革派とは対極。改革派のさきがけであり、市民に支えられた知事だから僕は応援してきた。だいたい地元の高知新聞なんて、連日、橋本を叩くわけよ。で、田中康夫が応援演説に行くとなると、五回くらい長野に関する連載をやって、公共事業の関連業者はみんな仕事がなくて怒ってるといったデタラメな記事を載せるんだよね。
そういうのはどこにでもあるんだな。
高知と長野と宮城の知事は政党支援という後ろ盾のない候補者だからメディアは安心して叩くわけよ。高知県知事選の翌日も、同じ改革派でも鳥取や岩手は議会とうまくやっているのに田中と橋本は似た者同士だ、なぁんて讀賣が書いてた。それは立脚点が違うわけだよ。鳥取の片山や岩手の増田は政党相乗りのもとで出てきた元官僚なんだからさ。その意味でいうと、橋本が当選翌日に筋を通すべきことは通す、通さなきゃ自分の改革はできないと言っていたのは大したもの。とても龍太郎の弟とは思えない面白いやつだよね(笑)。
田中さんが言ったように、「いいカッコしい」の面があるのが玉に瑕だけどね。
たしかに(苦笑)。だけど、女性陣は相変わらず彼を支持してるんだ。僕とその点でも似てるかな。
そういえば、宮城の浅野知事と二人で橋本の選挙応援に行ったんでしょ。
そう。浅野は三位一体改革に関しては僕と意見が異なるけど、警察の情報公開をやったりとか、とても官僚出身とは思えない洒脱な部分があって面白い。厚生省で課長をやってたときに橋本大二郎の最初の選挙を見てド肝を抜かれたらしいね。初当選のときは小沢一郎たちに押されて出たとはいえ、やっぱり橋本を手本にしてるところがあるんだよ。二期目の選挙では本当に孤立無援だった。でも、規制の利権とは無縁のオバさんたちに支えられて再選を果たす。彼は組合とも対抗してるし、議会とも対抗してる。その点では僕も認めてるよ。
●住民票問題と山口村
田中さんが長野市と泰阜村で選挙人名簿に二重登録されてた問題だけど、最高裁が田中さん側の上告を棄却して、「泰阜村に生活の本拠はなく登録は違法」とした長野地裁の判決が確定したね。

そうなんだ。でも最高裁の決定は不可思議で、地裁の判決に事実誤認や法令違反はある、だけど高裁と違ってうちは事実審理をする場所じゃないから、しかも違憲に関するものだから却下するって。
ものすごい逃げだよね。
でしょ。とんでも判決なんだよね。
だって、それじゃどこにも持っていきようがない。
去年の九月に僕は泰阜村に住民票を移したんだけど、結局、マンションを引き払った今年の五月一三日までは長野市、一四日からは泰阜村ってことに両自治体間で決まったわけ。だけど一方で長野市は、田中康夫の住所を泰阜村と認定した県の決定はおかしいっていう訴えも起こしてる。こうした中、両親が暮らす軽井沢に住民票を移したんだ。泰阜村の人たちに無用の心労や迷惑をかけるのも本意じゃないしね。
なるほどね。あと長野に関連しては山口村の越県合併問題もあるけど、あちらはどうなってるの。
その問題に関しては正直いろいろ考えたけど、結局は一二月県議会に合併の関連議案を提出しなかった。たとえ相対的には少数者であっても、長野県民であり続けたいと願う人たちを守るのが僕の責務だと思ってね。しかも、村民だけでなく県民全体の意思に基づくべき。だから、この件では、僕が九月の議会で、一万人規模の世論調査を県民を対象にして行ないたいと言ってたのに、議会がそのための予算を否決しちゃった。北方領土を取り戻せ、と叫んでた自民党も、社会的弱者を切り捨てるな、と叫んでた共産党も、山口村は出て行って構いません、と唱和する不可思議さ。矢張り、何れの政党も信州から溶解していくらしい(苦笑)。
大分県の湯布院町なんかでも、あれだけ住民が反対しても合併を強行しようとしてる。合併特例債狙いの、とんでもないことだと思うよ。
答えを出すのは年明けだね。
●秋篠宮の問題発言
秋篠宮が記者会見で、兄である皇太子が今年五月に「雅子のキャリアや人格を否定する動きがあった」と発言したことに苦言を呈したね。
「発言前に、せめて陛下と内容について話をし、その上での話であるべきではないかと思っております」だって。でも、二〇歳を疾うに過ぎた大人が、いちいち親に相談しなきゃいけないってもんでもないでしょ。
相談が必要というなら、今回の秋篠宮自身の発言は兄と相談した上でのものなのか。
仰るとおり。紀子スマイルとやらに秋篠宮だけでなく天皇・皇后夫妻も“なびいてしまっている”のは、いやはや、何ともだ。皇太子妃のキャリアを活かして海外に出掛けるのは、それまでの田中康夫のキャリアやネットワークを活用して、ワインの原産地呼称管理を始めとする信州ブランドの構築を図るのと同じ日本のソフトパワーだよ。なのに、皇太子妃のキャリア活用は罷りならぬと批判する連中は、地元の新聞社系列の代理店を使わずに観光のイヴェントを東京で打つな、と怒ってる地元メディアの嫉妬と同レヴェルだね(苦笑)。
皇太子と皇太子妃を励ますネットワークを作るべきだと真剣に考えてるよ。だって、皇太子妃の古巣である外務省なんかじゃ、父親が事務次官だったことも含めて、いまだに嫉妬が渦巻いているみたいだしさ。しかも、宮内庁記者クラブも、怪しからん話だけど、皇太子夫妻に対して冷たい。気の毒だよね、ほんとうに。いっそ、皇太子夫妻も隠しホームページでもつくって、思ってることをガンガン書き込んじゃえばいいのに(笑)。僕が同じ立場だったら絶対やるなぁ。

まずは田中康夫とメル友になるところから始めればいい(笑)。
そうだよね。
そこで女性天皇の問題なんかも話せたらいいじゃない?
そういえば、今の天皇は女性天皇制には反対らしいね。非戦的な意味ではリベラルなんだけど、こうした点では意外と保守的でもある。家長制的な雰囲気はあるんだよね。
女性天皇になると、その夫(皇配)の子が天皇を継ぐことになる。天皇家の男系相続っていう原理が崩れるってわけだ。しかし、ここまでくればそんなことも言ってられないんじゃない?
勝谷誠彦がWEB日記で書いてるけど、皇太子批判の急先鋒は「朝日」だよ(http://www.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=31174&log=20041225)。岩井克己という皇室番記者の編集委員がね、「気になるのは、憶測が広がり、様々な人が傷つきつつあることに対して、皇太子ご夫妻からブレーキをかける強い意志が感じられないことだ。両陛下が心を痛めていることや、自分たちが務めを充分に果たしていないことについて率直にわびる言葉も聞こえてこない」と言い切ってるの。雅子妃の心の痛みを増大させているのは誰なんだ(苦笑)。
●フランスのソロス?

フランスでジャック・シラク大統領の与党である国民運動連合(UMP)の新党首にニコラ・サルコジが選ばれた。これで二〇〇七年の次期大統領選挙の与党候補指名に向け、大きく前進したってことだろうね。
現職のシラクは次は出られないんじゃないかな。本人はまだまだやる気はあるみたいだけど(笑)。
そうらしいね。もう七二歳だっていうのに。
シラクとしては腹心のアラン・ジュペ元首相が不正政治資金疑惑で起訴されて政治生命を絶たれたのが痛かった。シラクがパリ市長、ジュペが助役だったときの話で、ほとんどシラクの罪をかぶったに等しいんだと思う。大統領職にある限りは捜査を免れられるけど、辞めた途端に捜査対象になっちゃうからね。
でもサルコジってどうなの? 欧州強化を目指す自立外交派のシラクと違って、米英協調派ってことらしいけど。
サルコジってのはハンガリー移民の子だから、「社会主義はいけない、市場経済はすばらしい」って体に叩き込まれてるんじゃないかな。同じハンガリー移民だったジョージ・ソロスの一昔前の立場に近いかも(笑)。そのくせ、内相のときに、治安を徹底させて大衆の人気を得た。その意味ではニューヨークのジュリアーニ前市長なんかにも近いかも。とにかく叩き上げの魅力で人気があるんだよね。
となると、前回の大統領選挙で極右のルペンに入れたような人々も彼に入れるわけだろうね。だけど、アメリカとくっついて良いことなんぞあるのかね。
だから、フランスの独自性を強調してきたゴーリスト(ド・ゴール派)のシラクからすると、サルコジみたいなアメリカびいきにフランスを牛耳られたくないんだろうな。他方、社会党も冴えない。ローラン・ファビウス元首相なんかがEU憲法反対を表明したんだけど、党員の投票ではEU憲法支持が大勢だった。これでフランソワ・オランド書記長が有利になったっていうけど、党官僚そのもので面白みのない人物だからね。
そういや余談だけど、最近シラクがリビアに行って、カダフィがモンテスキューを読んでるって言うから『法の精神』の一八世紀の版本を贈ったんだって。「これで法を勉強したまえ」とか言ったのかな(笑)。
カダフィってフィガロ紙のインタビューで「わが国の国際平和の貢献に十分な褒美がなく失望している」とか言ってるんだよね。「我々が十分報いられなければ、他国は後に続かないだろう」と。つまり大量破壊兵器の開発を断念させたければもっとご褒美をくれってことだ。
しかし、旅客機を爆破して墜落させたようなやつを許してることだけでも十分ご褒美なんだけどね(笑)。
八八年にパンナム機がスコットランドのロッカビー上空で爆破された事件ね。でも、イラクであんなひどいことしてるアメリカ大統領が許されてるんだから、どっちもどっちかな。
リビアはイラク戦争を見て核を放棄したと言われてて、確かにそれも少しは効いてるんだろうけど、ロッカビー事件なんかは何年も前から交渉して許してたわけでしょ。だから、外交プロセスでうまくエンゲージしていけば、あんなヤツですらおとなしくなるんだよ。となれば金正日だってならないとは限らない。というか、金正日がカダフィの例にならってくれればいいのに。大韓航空機爆破とか、とんでもないことをしてきたけど、カダフィが許されるんなら許されるんじゃないか。
とはいえ、北朝鮮では金正日の肖像画が外されているとかいう情報もある。さて、どうなっているのかな。
●大学改革の成果?
北野武が東京芸術大学の教授になったんだってね。
二〇〇五年四月に開設する大学院映像研究科の教授だって。もうひとりが黒沢清。
東京大学でもアニメやゲームのクリエーターやプロデューサーを養成するプログラムを立ち上げたけど、それと同じような学科なのかな。
そういう感じだろうね。で、かつて東大が安藤忠雄を建築学科の教授にしたように、北野武を招聘した、と。安藤はけっこう頑張って教えたんだけど、たけしは忙しいから大学なんかめったに行けないんじゃないの。
年に三、四回の授業で済む特任教授とかなの?
いや、映画専攻の専攻長まで務めるみたいだよ。
へぇ〜(苦笑)。
だから、これが本誌でも言った大学改革の成果ってやつなんだな。昔は設置審議会というのがうるさかったわけ。僕みたいないかがわしい教員はダメで、学会なんかで業績を認められた学者、いわゆる「マルゴウ教員」が一定数いないと設置させないとかね。
そういった基準を満たすために、これまでは年寄りの教授を引き抜いて連れてきたりしてたわけだ。
それが今や突如として何でもありになっちゃったわけ。つい最近も、大前研一がやってるビジネス・ブレークスルー大学院大学に文部科学省の設置認可が下りたしさ。
あれは構造改革特区で、株式会社による専門職大学院なんだよね。
あと、小柴昌俊のノーベル物理学賞受賞を支えた浜松ホトニクスも、光産業創成大学院大学とかいう博士課程のみの学校をつくる。入学後にベンチャー企業の設立が義務付けられてて、三年間で従業員の給与が払えるようになったら博士号を授与する、と(笑)。どうかと思うな、やっぱり学問とビジネスは別物なんだから。実は改革前の頑固な権威主義のほうがまだましだったのかも。
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