|
●年金と合計特殊出生率

大騒ぎの末に成立した年金改革関連法だけど、前提としてた合計特殊出生率が実際にはもっと低い1.29だってわかっちゃった。しかも、データは法案成立前に判明してたのに公表を成立後まで遅らせた疑いが濃厚。
合計特殊出生率については、実は僕は『なんとなく、クリスタル』の膨大な脚注の最後で、具体的な推移予測を列挙して、触れてるんだ。年金の負担率の推移の数値も含めてね。つまり、今後は少子高齢化になるからこんな生活は続かない、と当時24歳の田中少年は考えて、歴史の記録としての『なんクリ』を文藝賞に応募したら、江藤淳と野間宏に激賞されちゃった訳。それが今になって現実化したってことだね。
すごい予見力!
いやぁ、ボリボリ(笑)。しかしデータ発表を遅らせたというのも、本誌で語った話と同じで、役人がみんな関東軍になってるわけだよ。深く考えもせず、単に法案を通すためにはこれが出るとまずい、と。ところが、結果として自公にとってはマイナスになっちゃった。ホントに愚かだよね。選挙の勝敗を賭けて、1000円負けちゃった、と記者に述べた麻生太郎といい勝負(笑)。地方自治宝くじを所管する人間が、梅宮アンナの元旦那と同じ賭博もどきをやってちゃ、いけないでしょ。昔なら即、辞任ですよ。なのに、何も騒がない新聞社も、はっきり言ってどうしようもない。「朝日」を筆頭に翼賛的だねぇ。
厚労省でも、大臣は公明党出身だし、軽く見られてるんだろうね。普通に考えたら反乱に近いような意図的サボタージュだよ。まったく「改革」「改革」って言ってるわりには、すべて官僚の言いなり。
経政会のほうが、まだ官僚へのにらみは利いたよね。でも、これだけ出生率が下がると、やはり日本は明確な哲学と方針の下に、移民を入れていくしかないんじゃない?
それから、本当に大切なのは、ヨーロッパのように福祉を充実させ、女性が安心して出産・育児に取り組めるようにすること。むろん父親も十分に休暇をとれるようにする。さらに、既婚の母でも未婚の母でもいい、嫡出子でもいわゆる庶子でもいい、完全に差別なく扱おう、と。資本主義経済が回っていくためには出生率を上げなきゃいけないんで、そのためにもそういう改革を思い切ってやるべきだよ。フランスなんて、そういう方向で、出生率が1.8くらいまで回復してきてるんだから。ところが、保守派は教育基本法の改悪なんかでそれと正反対の古めかしい家父長制道徳復活の方向に進もうとしてるんだから、愚かとしか言いようがないね。
●皇太子夫妻に最適の相談役は?
まぁしかし、出生率がここまで下がってる件も、ある意味じゃ皇室の「お世継ぎ問題」が象徴してるわけだよね。
たしかにね。
ぼくは、原則的に天皇制廃止論者だけど、とりあえず女性天皇を認めりゃいいと思う。ただ、保守派に言わせれば、それだと女系になっちゃうからまずい、と。つまり、女性天皇が婿を迎えるとして、その子が天皇になると父方の血筋になっちゃうでしょ。
でも、昔は女性天皇が何人かいたでしょ。今の問題どうなってたのかね。
昔の女性天皇は、夫の死後、息子が成長するまでしばらく代理でやるとか、そういう感じで、形の上ではいちおうずっと男系で来たことになってるの。むろん万世一系なんてのはインチキで、古代の継体天皇なんてよそから引っ張ってきたって説も強いけどね。
ふーん。でも女系と言っても血はつながってるんだからいいように思うけどね。まぁ、男系、女系ってそういうことなのか。ならば、戸籍の概念も変えりゃいいんだよ。
そうそう、天皇なんて男性でも女性でもいいし、男系でも女系でもいいじゃない? そういう意味じゃ、この問題も、夫婦別姓を認めるとか、非嫡出子を差別しないとかいう話と通じる部分はあるんだよ。
そうか、じゃ女帝を容認すれば出生率も上がるかも(笑)。
ホント。少なくとも皇太子夫婦の悩みも解消するわけだしね。
そういや皇太子は「気軽にいろいろ相談できる人を探したい」って言ってるんでしょ。どう? 同世代のご相談役というので田中知事なんてのは(笑)。年齢から言っても地位から言ってもちょうどいいじゃない?

いやぁそのくらいの人選ができれば宮内庁も大したもんだと思うけど。浅田さんと一緒に立候補でもしようかな(笑)。皇太子も読書家だから、博覧強記な浅田彰の文章を愛読していたりして。
六月に急死した狂言師の野村万之丞は、舞台人としても旺盛な活動を展開してたけど、皇太子と学習院の幼稚園時代から同級生でかなり仲がよかったみたいだね。お互い不自由な家系に生まれて大変だな、と。
まぁ、大変さは皇室のほうがずっと上だろうけど。国中から常に注視されていて、長電話する友人すら許されないんだから。
前に雅子妃に田中さんが名刺を渡したとき、「メールが来るかな」とか言ってたじゃん(笑)。
いやぁ、やっぱり来なかったね(笑)。ダイアナ妃だったら来たかもしれないけど(笑)。
おそらく日本の皇室の場合は自分でメールさえ打てないんだろうな。
おそろしいね。電話も、宮内庁が取り次ぐんでしょ。
島田雅彦が皇太子と同い年みたいだけど、「無限カノン」シリーズの作者を相談役にするわけにもいかないだろう(笑)。やっぱり田中知事だよ。あと、これも急死した高円宮に代わる年上の相談役としては、細川護煕の“殿”なんかがいいんじゃない? “奥方”もコミで。
一緒に陶芸なんかやっちゃったりして(笑)。
とまぁ、絶対あり得ないような人選までしちゃったけど、宮内庁にはそのくらい柔軟な発想を持ってほしいね。そもそも、右翼的な尊皇思想の一パラダイムとして本居宣長の国学を取り上げるとすれば、天皇家をモデル・ファミリーとして堅苦しい道徳を押し付けるなんてのはまったくの間違いだってことになるんだよ。道徳的な善悪にこだわるのは中国から輸入された「漢意(からごころ)」なんで、欲望の赴くままやりたいようにやるのが「やまとごころ」だ、現に「源氏物語」で描かれた皇室なんて乱倫のきわみだけど、あの乱倫を平然と肯定するのが真の日本的精神なんだ、と。そういう立場からすれば、側室だってたくさんいていい、不倫だってどんどんしていい、それで子どもができればめでたいじゃないかってことになる。福田和也なんて、本居宣長の末流に連なる右翼イデオローグを気取りたいんなら、そこまで言わなくちゃ。そういえば、福田和也が「en-taxi」の前の号(No.05)で僕に対して「高貴という形容が似合う、数少ない現存日本人である。愛子内親王が立太子する場合には、教育掛に任命するべきだろう」なんて、皮肉たっぷりの褒め殺しをしてるんだけど(笑)、よく言うよ、あいつも。いずれにせよ、宮内庁から見れば、そんなの絶対にありえないっての。
逆に福田は自分にお声が掛かれば、嬉々としてお出掛けしちゃうんじゃないの。メンタリティが阿川弘之レヴェルなの。江藤淳にも到達出来ない。

●「韓流」の時代
「冬のソナタ」だの「ヨン様」だの、世は韓流ブームってことらしいね。
日本って、いわゆる美男美女の普通のロマンスなんかとっくになくなっちゃって、パロディにパロディを重ねたあげく、ジャニーズやモーニング娘。みたいなのばっかりになってるじゃん。そんなとき、久しぶりに昔なつかしい美男美女のドラマを見て、思わずハマっちゃったんじゃないの?
ノスタルジーってわけだ。
とくに、男性に関しては、韓国の場合、徴兵があるから、みんな大人の男の顔になるんだよ。俳優でもサッカー選手でも軍隊に行くんだもん。映画でも、朝鮮戦争を背景に家族愛を歌い上げる「ブラザーフッド」とか、金日成を暗殺するために養成された特殊部隊が緊張緩和で用なしになって抹殺された事件を描く「シルミド」とか、そりゃドラマとしては単純で、中国の本格的な映画なんかには比べるべくもないけど、戦争のリアリティを忘れた日本では撮れない映画には違いない。
映画のポスターを見ても、男優はみんないい顔してるよ。

たしかにあれは日本では無理。石原軍団とか言っても、もう今の世代じゃほとんどお笑い系だからさ(笑)。まあ日本は徹底的に去勢された「先進国」として「男は愛嬌」のジャニーズ路線で行くほうが平和でいいと思うけどね。
でも、北朝鮮をこれだけ認めて統一したいというのはなんなんだろうね。ドイツ人なんかとは全然違うメンタリティ。ドイツの場合は旧共産圏の国を救ってやるって感じでしょ。で、安い労働力を使ってやろうじゃないかみたいな話。でも朝鮮半島の場合は、統一に関する意識は違うよね。若いやつらまで含めてさ。
儒教的な家族意識が中国以上に強い国だし、けっこう民族で団結しちゃうんだね。僕は、北朝鮮を無理に追い詰めるより、「宥和政策」ならぬ「関与政策」でソフト・ランディングに導くのが理想だと思うけど、北朝鮮が核開発を続けてると思われる段階で韓国があんまり北にソフトに接するとしたら問題だし、うーん、難しいところだね。
●「長野県」調査委員会のドタバタ
長野オリンピックの会計帳簿紛失なんかを調べてる「長野県」調査委員会だけど、帳簿のコピーを見つけたんでしょ? それなのに委員が辞めたり、いろいろあるみたいだね。

まず、委員の一人だった東大教授の醍醐聡が、僕や県の関与が強すぎて独立性が保てないといって辞めちゃったわけ。僕と委員たちの懇親会の費用を僕の後援会が払ったことや、委員のうち大塚将司、松葉謙三の二人が県の非常勤特別職になって月額20万円の報酬をもらってることを理由にね。不思議なことに、ご馳走様と帰っていったのに、後出しジャンケン(笑)。その後、この問題に関連して大塚、松葉の両氏も辞任した。外郭団体の見直しの際には、小倉昌男委員長の下で自分が団体統廃合の主導権を握れた醍醐は恐らく、三浦和義や安部英、辻元清美の弁護人も務める喜田村洋一や、年金問題や記者クラブ問題を鋭くえぐる岩瀬達哉、元刑事で警察の不正問題に強い黒木昭雄といったジャーナリスト、更には行革110番を主宰する東京都議の後藤雄一と、今度の委員会は強者だらけで、自分の意見だけで進められないストレスが爆発したんじゃないかな。
で、元日経のスクープ記者だった大塚は、半ば辞任に追い込まれた。彼はこう言ってるの。普通の審議会や委員会では、役人が用意した資料を見て、今までの自分の知識や経験に基づいてその場で意見を言って答申をまとめる、と。ところが「長野県」調査委員会の場合は、実際に調査をしなきゃいけない。そのためには知識や経験だけではなく時間を使わなきゃいけない。だから、それに対して対価が払われるのは当然だ、と。つまり他の委員会とは違うと言っているわけ。さらに、調査して出てくるファクト(事実)やエヴィデンス(証拠)は、知事と自分たちが食事をしたからといって変えることなどできないものだ、と。そういう説明をマスコミの個々の記者にそれぞれ30分もしたけど、「信毎」や「朝日」に非常にバイアスのかかった意見を書かれてしまった。私も記者だから、そうした場合、発言の一部をフレームアップして書くことに理解を示さないわけではないが、しかしながら、そのことによって委員会の信頼性を欠くように言われるのでは残念だから、と言って辞めてるわけ。
つまり、長野駅東口のオリンピックに伴う再開発で建物をつくった朝日新聞や、長野県にオリンピックを招致しようと言った信濃毎日新聞が彼らを追い込んだともいえる。笑っちゃうのは、オリンピック帳簿と思しきコピーが見つかったとき信濃毎日新聞は第二社会面でベタ記事扱いなわけ。なのに、大塚が辞任をしたときは一面の右肩でドーンと出す。いやぁ、信濃毎日は東スポ以上の大変に勇気のある「飛ばし」をやる新聞ってことかな(笑)。
いずれにせよ、「長野県」調査委員会というのは、旧来の体制の人にとっては実に不安なものなんだろうね。まぁ、三人の辞任後に新たに委員になったのは磯村元史といって、元東洋信託銀行の副社長だった人。なかなかの人物で、この人が会長になったから今後さらに面白い展開になると思うよ。
まあ、今後のさらなる展開に期待するってことで。
もちろんだよ。ミズスマシ県政時代の深い闇が明かされていくんだ。過去のバブル期の融資も明らかになってくる外郭団体の見直しも含めて、心中穏やかじゃない人も、長野県の本庁舎周辺でピラミッドを構成していた人々の中には少なくないんでしょうね。そうした面々が、反田中の合唱をしている訳さ(笑)。
「続・憂国呆談」をまとめた『憂国呆談リターンズ──長野が動く、日本が動く』が絶賛発売中!
|