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●金融庁のUFJいじめ

金融庁によるUFJ銀行への通常検査の立ち入りがようやく終了した。去年の8月から9か月にわたった検査は過去最長記録だと胸を張ってるけど、さてさて。
で、5月終わりに発表したUFJホールディングスのほうの連結決算は、たった一か月前までの黒字予想から一転して4028億円の大赤字。金融庁の意を汲んだ監査法人が、不良債権処理用の引当金を大幅に積み増すよう強く求めたのが大きかったみたい。UFJ銀行頭取の寺西正司を含むグループ・トップもほぼ全員が引責辞任のうえ退職金も返上した。その後も金融庁はUFJに業務改善命令を出したり、刑事告発を検討したりと容赦ない。
なんで竹中平蔵チェンチェイはこんなむちゃくちゃに頑張っちゃうわけ(笑)? UFJをトヨタ銀行にでもしたいのかね。

あるいはアメリカのファンドに売って甘い汁を吸わせたいとか? もちろん僕もこれまで銀行が問題を先送りにしてきたことが最大の問題だとは思うよ。だけど、かつて税効果会計のルール見直しが発表されたときも「サッカーをしていたつもりが、突然アメフトになったようだ」って寺西が言ったのはよくわかるんで、今回もギリギリになって急に大口融資先の管理体制をチェックする新検査導入を発表した、これはそれこそルール違反じゃない? 裁量的な行政はいかん、ルール的な行政でいくと言ってるけど、そのルールを恣意的な裁量でどんどん変えるんじゃ同じことだよ。
ある意味、これぐらい裁量的行政はない(笑)。
別にUFJに対して同情は感じないし、たしかに大手取引先にひどいのをいくつも抱えてて他より問題は深い。でも、この金融庁のやり方はどうみても問題だと思うな。
で、その竹中は参院選に立候補。大臣になったら、講演料も些少になって、優雅な佃島での生活を維持していけないから、議員と大臣のダブルインカムになる道を選んだというけど、少し愚かだと思う。150万票を獲得して大いに貢献したにも拘らず、「あの人は今」状態な舛添要一の哀れな姿を見れば、判る筈なのにね(笑)。詰まり、民間人で大臣を務めている方が、イニシアチヴを握れるんだよ、小泉に対して。そんなに党側が苛めるんだったら、僕、辞めてもいいんだよ、タレント学者に戻って論評している方が気は楽だし、実入りも良いし、と居直れる。議員になったら、仮に大臣であろうと、党内では1回生議員という新参者の陣笠だよ。これで完璧に彼も自民党というヌエに取り込まれちゃったね(苦笑)。思い起こせば、さきがけも社民党も、自民党の甘い囁きに誘われて、ヌエにしゃぶり取られて捨て去られちゃった。まあ、そうならないのは公明党だけか(笑)。或いは、レイプ疑惑報道が週刊誌で本格化し始め、とある「朝日新聞」幹部に拠れば“小泉Xデー”の予定稿も各社、用意しつつある情報を察知して、「私が棄てた女」なあんて遠藤周作の作品パート2に冥土でモデルで登場しないようにと、小泉がムチだけは捨てて、平蔵ちゃん、これからも可愛がって上げるから信用して、と言ったのかも知れないが。
●ゆるやかな連帯
インドで総選挙があって、なんとか国民会議派が第一党になり8年ぶりに復権したね。
ところが総裁のソニア・ガンジーは首相就任を辞退。彼女がイタリア生まれってことで野党が猛烈に反対したみたい。
でも、彼女が辞退したのは賢かったと思うよ。代わって首相になったマンモハン・シンは、シーク教徒初の首相ってことでも話題になってるけど、なんといってもエコノミストだから、国民会議派に戻ったからといって従来の市場開放路線を変えることはないだろうって安心感があるし、経済がうまくいってれば社会もそこそこ安定するだろうし。そうやって政教分離でうまくいってくれるといいと思うな。いずれにせよ、中国とインドが本格的にテイク・オフしはじめたってのは、世界史的に見てもすごいことだと思うよ。ちなみに、短期的視点からデフレ脱出策ばかり議論されてきたけれど、中国の需要だけを考えても潜在的には相当なインフレ圧力があるわけで、中東情勢の不安定化を契機に石油価格が上昇してるのを見ても、長期的にはやっぱりインフレのほうが問題だと思う。
我々は20年近く前から、インドとの関係をもっと戦略的に考えるべきだって言ってきた。発展途上の大国がBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)なんて言われる前からね。BRICsのCをKにすりゃ韓国だし、sは南アフリカだともいえる。そう考えれば日本はどこに対しても遅れを取ってる。日本は、米欧以外の第三極の盟主ならぬ番頭として尽くしてこそ、信頼を勝ち取り、未来も拓けるはずなのに。アジア圏とかユーラシア圏という発想でいかなきゃ。
世界はそういう流れだよね。長期的には、EUに対応するAU(アジア連合)みたいなのをつくって、中国なんかの覇権主義を牽制し、台湾なんかもその中で独立してやっていければ理想的だと思う。旧ユーゴスラヴィアも、統一が崩壊して小国が分立したからあれほどまでの流血の10年になったとも言えるけど、じゃあもとのまま無理やりまとめとけたかっていうと、とてもそうはいかなかった。やっぱり、各国が独立し、EUに入りたいところは入るって形になったのは、当然の帰結じゃないかな。

日本だって同じ。一つの国であっても、もっと地方に権限を移譲すればいい。長野県もそうで、やっぱり長野市が支配してちゃいけないんだ。
EUの場合は、前から言っているようにトルコ加盟が最大の分水嶺だね。アメリカが「文明の衝突」と称してイスラム圏との泥沼の戦いにのめりこむ一方で、EUがトルコをうまく取り込めれば大変なものだよ。今回は、キプロス再統一にも失敗して、結局、ギリシア系の南キプロスだけがEUに入っちゃったけど、近い将来トルコや北キプロスをEUに入れられれば、地中海圏に広がっていく展望が開けるからね。
●デジタル時代の抵抗勢力

ファイル共有ソフト「ウィニー(Winny)」を使った著作権法違反事件で、ソフトを開発した東大大学院助手の金子勇が同法違反の幇助容疑で逮捕されたね。浅田さんはこの事件どう見てるの?
原理的・長期的に言えば、複製可能性を原理とするデジタル情報の時代に、著作権といったようなものに最後まで固執するのは無理だと思うよ。だから、情報を作り出した人がそれなりの対価を得られるシステムを別につくって、悪貨が良貨を駆逐しないようにさえできれば、あとは原則的に自由化するほかないし、それでいいんじゃない? 暗号やなんかでどれだけガードをかけたっていつかは解読されるんだから。
ウィニー開発者に関していえば、「2ちゃんねる」なんかで著作権法に対する挑戦的な書き込みを繰り返してたようで、かなり確信犯的ではあるし、自分専用のプログラムをつくってたところも問題なんだけど、法律的に言うとこれはものすごく強引な逮捕でしょう。極端に言えば、コピー機をつくった人を著作権法違反幇助で逮捕するようなものだから。
そうだよね。
そういえば、河合隼雄の甥で京都大学国際融合創造センター研究員だった河合一穂も、公的機関のセキュリティはこんなに手薄で欠陥があるって言ってどんどん情報を引き出して公開してたら、去年の2月に逮捕されちゃった。この2人はやっぱり見せしめとしてやられたって感じだよね。
それと金子の逮捕は京都府警がやったでしょ。そのおひざ元である下鴨署の巡査が、ウィニーを介してコンピューター・ウイルスに感染し、そのために捜査書類がネット上に流出する不祥事が3月に発生しちゃった。そういうのが記事に出たから、メンツ上やってるところもあるんじゃないの(笑)。
なるほど。いずれにせよ、マイクロソフトかリナックスか、あるいは集中的ネットワークかPtoP(ピア・トゥ・ピア)の分散ネットワークかと言えば、そりゃやっぱり後者に未来があるわけでしょ。そういう危機感の裏返しと言うべきか、マイクロソフト型で徹底的にガードをかけて著作権や知的所有権を守り抜こうとする勢力が、すごい攻勢に出てる感じがする。
なんだか脱ダムに反対する抵抗勢力みたいだね(笑)。
国内盤とバッティングするCD等の輸入禁止だってそうだよ。むろん、実際的・短期的に言えば、これまで音楽やなんかの著作権があまりに軽んじられてきたことは事実だし、中国みたいに最近まで海賊版だらけだったところもあるわけだから、一方ではあらためて著作権を強調する必要がある。しかし、他方ではむしろレコードやCDよりネットでの配信や交換が主になる状況でどうするかってことを考えなきゃ。いまさらCD輸入禁止って、鎖国じゃないんだから(笑)。
●凄惨な画像が及ぼす影響

本誌でも触れたアブグレイブ刑務所の写真の件だけど、あんな写真に加害者として出ちゃった人たちは一生まともに生きていけないような気がするな。同情はしないけど、悲惨だよね。
上からどういう指示があったのか。
だいたい写真に出てる女性が自ら思いついて人間ピラミッドをやらせたわけじゃないでしょ。だけど、彼女なんかもう一種のシンボルになっちゃったから。
結局、浅田さんが前から言っていたキューバのグアンタナモでの非人道的なやり方をモロに導入してたわけだ。
実際、グアンタナモの拘置所の責任者がイラクの拘置所の責任者になってるからね。しかし、コントロール(監視/管理)の社会っていうくらいだったら、カメラ付き携帯電話なんて看守でも絶対持ち込めないよう、それこそ金属探知機とかで調べるとか、もっと徹底してコントロールすりゃいいのに(笑)。
ホントだよね。
実のところ、そうやって撮った写真を、死体写真なんかを扱う怪しげなウェッブ・サイトなんかに売ってたみたい。もちろん戦場という異常な環境で暴走した面はあるだろうけど、あの写真は売り物でもあるんだよ。貧しい人たちがおカネを稼ぐために下っ端の兵隊としてイラクに来てるわけで、写真とかは一種の副業としてのバイトだね。だから実際にはもっとひどい映像があるんじゃない?
首を切られたアメリカ人の動画も同じことなのかな。
ただ、あの被害者のニック・バーグって人は、かねてからテロへの荷担を疑われ、イラクの米軍当局に拘束されてたこともあるっていう、ちょっと変わった人物なんだね。首を切った連中も、どうも素性が怪しい……。
うーん、アメリカ黒幕説も下手するとあり得るね。
そういう根拠はないし、彼が首を切られて殺されたことは事実だけどね。ただ、アメリカ側のアブグレイブでの虐待映像がバーッと出て非常にまずい雰囲気になったところで、ある種タイミングよくテロリスト側の首切り画像が出たとは言える。とはいえ、それがあまり話題にならなかったくらい、虐待映像の衝撃が大きかったってことなんだね。テロリストが何をやっても驚かないけど、イラクをサダム・フセイン独裁から解放して民主化するっていう大義を掲げたアメリカがこんなことをしてるとは何事か、と。
いずれにせよ、こういう映像の氾濫は、世界中、とくにアメリカの若い世代にものすごい悪影響を及ぼすと思うよ。マイケル・ムーアは、『ボウリング・フォー・コロンバイン』で、コソヴォ紛争に関連してNATOが最大規模の空爆を行った日に、コロンバイン高校で乱射事件があったってことに注目してる。むろん直接の因果関係はないけれど、ある種の構造的な連関がある、と。日本でも佐世保でイヤな事件があったし、つい連想しちゃうね。
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