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●やっぱり危険な住基ネット

長野県の「本人確認情報保護審議会」が、県として住基ネットから一時的に離脱すべきだっていう中間報告をまとめたね。住基ネットとインターネットがシステム上つながってる自治体があることも明らかになった。当面は、市町村が自主的に決定すべき問題なんで、県として束ねて離脱するとかしないとかいう問題じゃないってことだろうけど。
この問題は総務省がすごくビビッてるんだ。長野が県として離脱したらどうしようと。あの報告は単に審議会が出してきたものであって、僕はまだ何も判断してないのにさ(笑)。で、このあいだ総務大臣の片山虎之助に会った時、この問題で公開討論をやろうと言ったの。そしたらOKだと彼が公言しちゃって、総務省の事務方は頭を抱えているらしい。こちらには、本誌連載でもお馴染みの櫻井よしこ嬢に加えて、弁護士の清水勉、その他、県内外の専門的技術者が委員を務めている。他方、国の審議会には、専門的知識をもった委員が殆ど居ない。どころか、軍事評論の小川和久のように、こんな住基ネットは安全を保てない、と審議会の場で発言した記録がアップされていたりね。
おもしろいね。
インターネットに接続している自治体も、長野県内だけで30自治体に近かった。未だに20を超える自治体が接続したまま。これだけでも、恐ろしい話でね。ところが松本市長なんぞは、「国の言うことに従うのが県だ」とか言ってる。おいおい、そっちこそ県が言うことには何時でも反発して、従ってないだろうって(笑)。
そういえば、少し前、防衛庁が自衛官募集のために適齢者名簿の提出を各自治体に求めてたことがバレたでしょ。
法律で許されている四情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外の健康状態や家族に関する情報まで防衛庁に提供されてたんだよね。
その管理のいい加減さを見れば、住基ネットだって危険と言わざるを得ない。

情報漏洩ってことでいえば、京都の宇治市の事例がすごいよね。99年の事件なんだけど、市が乳幼児健診システムの開発をある会社に外注したら、そこのアルバイト学生が市民21万人分の個人情報を名簿業者に売っちゃった。で、3人の市会議員が宇治市の管理に落ち度があったとして損害賠償を求める訴訟を起こしたら、原告1人あたりに1万5000円を支払えという判決が出たわけ。これって、仮に21万人の市民全員から訴えられたら総額で31億円払えってことだよ(笑)。こういうことが今後もあり得るわけで、全国の首長たちはビビってると思うよ。
住基ネットなんかに関して我々の立場は以前からはっきりしてて、情報社会になった以上そういう方向は必然だろうし、別に田中さんや僕は個人情報を全面開示してるんだからいまさら怖くない、いざとなればフーリエ主義でいけばいい、だけど、一般の人も本当にそれでいいのか、と。
そう。僕個人なんかは全部ストリップ状態だからさ(笑)。
それが嫌だっていうんなら、最低限出したくない情報を守れる状況だけはつくらなきゃいけない。でも、今のままの住基ネットでは絶対に漏れるってことは100%確信できるね。
そもそも、住基ネットが稼働すると、住民票の手数料収入が日本全体で300億円くらい減収になる。平均で1年に0.8人が1枚、住民票を取るらしいから。で、住基ネットの維持費が市町村全体で300億円と言われている。総務省の見解では、市町村の側から構築して欲しいと言われたから、これは自治事務であり、交付税の対象ではない、と。すると、ダブルで600億円の痛みな訳。で、どのくらい便利になるかというと、霧の摩周湖へと旅した時に、オイラは何処の住民だったかな、少し不安になってきたぞ、と近くの役場に駆け込むと、開いてて良かった、と住民票を片手に安心できるという大変に便利な代物なの(笑)。でも、その為の住基カードの発行枚数は、どこの自治体も住民の1.5%程度だろうと見積もってるんだよ。1.5%! 既に片山大臣は、警察情報を組み込むことは法律的にも問題なしと述べている訳で、ってことは、交通違反や、そのうちには中絶情報も、アップされちゃう可能性は高い。ジョージ・オーウェルだね。コンピュータ社会は、だからこそ、リスクを分散化させるべきで、市町村合併と同じで大きくする一元化は逆ベクトルだと述べているんだね、櫻井嬢らは。

●早く訴えてくれ!
生命保険の予定利率引き下げを認める保険業法改正案が国会を通過するね。
これはホントにひどい話だよ。信じられない。
引き下げないと払い切れないから合法的に契約違反するってことでしょ。1000万払うべきところを600万しか払えなかったりするけど、保険会社がつぶれてゼロになるよりマシだろう、と。ホントはゼロになんてならないんだけど。
そんなことを法律で決めていいのかよ。これじゃあ、保険どころか年金も税金も支払う気がなくなるね。自分のことは自分で護る、国家なんて信じられないという荒野のガンマン化現象が起きてくるよ。
資本主義の根幹をなす私有財産権の侵害でしょ。さすがに自民党ですら反対してた議員は多い。テレビで見てて笑っちゃったんだけど、渡辺喜美なんか、起立による採決のとき、一瞬ピョンと飛び上がっただけ。まあ党議拘束がかかってるから、自動的に賛成票に数えられちゃうんだけどさ。
渡辺喜美はいいよね。彼みたいなのを起用しない点に自民党のダメさがある。ところで、りそな銀行に2兆円って話もすごいよね。
そう。これまで2回も公的資金を注入したあげくだよ。
そのりそな銀行がメインバンクをやってる長谷工が、いま軽井沢の駅前にある三笠の山の斜面にマンションを建てようとしてるんだ。二階建ての計画なんだけど、山肌を全部削っちゃうわけ。越後湯沢とか熱海と同じようにね。一つ建ったら、モラルハザードを起こしちゃう。しかも、土砂の掘削量が長野県庁舎の半分にも上るらしい。で、群馬側の北軽井沢にトラックで運び出すという非現実的な計画。軽井沢の町長も議会も反対していて、止めさせて欲しいと僕のところに来た。でも条例的には違反してないから、その意味では何ら規制はできない。でもね、法律は、社会は誰の為にあるんだ、ということだよ。それで僕は体を張ってでもこれは阻止すると言ってるわけ。
その長谷工は3500億もの債権放棄を銀行にさせてるわけだよね。いまのりそな、みずほ、中央三井信託なんかに。
そう。だからマンション建設を妨害したと訴えられても怖くはない。社会的に糾弾されるべきは向こうだもの。そうすりゃ、これは問題提起になるからさ。いかに公的資金を入れてる連中、債権放棄をさせた連中が国土を荒らしているかについてね。そのうえ長谷工の社長は元国交省の役人なんだよね。
いかにもって感じだね。
それでこのマンション問題については、ソニーの出井伸之、伊勢丹の小菅国安、出光興産の出光昭介、軽井沢在住の川勝平太あたりが反対の署名をしている。なんと森トラストの森章までもね。最高でしょ(笑)。だから、これをどんどん前に出してやってやろうと思ってね。まあ、カーメルでクリント・イーストウッドが市長を務めた時みたいなもんだね。
ちゃんと訴えられるように頑張らないとね(笑)。

●迷走するロードマップ
アメリカ、イスラエル、パレスチナの首脳会談で中東和平への「ロードマップ」が合意されたわけだけど、その途端にイスラエルがパレスチナ自治区をミサイル攻撃、パレスチナ側も自爆テロで応酬して、むちゃくちゃになっちゃった。
しかし、イスラエルの論理はとんでもない。パレスチナ自治政府には治安を維持する能力がないから我々が護ると称して、ハマスの幹部を殺すためにヘリコプターからミサイルをぶち込んじゃう。
あそこまでやったらもう戦争だよ。さすがに、世論調査をみると、イスラエル国民の7割近くはミサイル攻撃による暗殺作戦は中止すべきだって考えているらしい。

当たり前だよ。そりゃ自分らもやられるんだから。
前から言ってるように、ラビンやバラクこそが、いわば右翼の現実主義なんだよ。こんな報復合戦を続けてても悪循環に陥るだけだから、ギリギリまで抑えつけたうえで講和して、経済も建て直そう、と。ごく当たり前の考え方でしょ。それをいまのシャロンみたいなやり方で安定させようと思ったらホロコーストしかないよ。イスラエルがナチス・ドイツのようになり、アメリカがイスラエルのようになる。もうイラクもむちゃくちゃ、パレスチナもむちゃくちゃで、いったいどうするんだか。そんななか、「日本もグラウンドに出てプレーしろ、投手や捕手じゃなくてもいいから」とかアメリカに言われて、外野をあたふた走ってるって感じ。最低だよね。
●アート界の恐るべき権威
先月のWeb版でも触れたプラダの表参道のビルが完成したね。
あれ、近所のマンション住民から苦情がすごいらしい。日が当たって反射して大変なんだって。オフィス街とかに建つならともかく、住宅地じゃねぇ。
そもそも、悪趣味なことをやって目立ったらいいだろうっていうデザインだしね。ミウッチャ・プラダ自身、「批判がある」って言ってたらしい。あれだったら、六本木ヒルズのISSEY MIYAKEを手がけた妹島和世と西沢立衛の「SANAA」のほうが害が少ないんじゃないかな。まぁ、ああいうチープなミニマリズムもそろそろ限界だとは思うけど。
妹島和世って僕は全然評価しないんだけどな。

よかれあしかれミニマルなんだよ。軽くて、透明で、フレキシブルならいい、と。
妹島和世にはなんというかノーブルさとか、そういうのが感じられないんだよね。伊東豊雄なんかが評価されるのもわかんない。
情報社会にふさわしい軽く透明な建築っていうのは、だいたい伊東豊雄系列で、妹島和世とかもそこから出てきてるわけ。あれが日本の建築の新しいブランドになっちゃったんだよね。だけど、伊東豊雄の「せんだいメディアテーク」なんて、最低だよ。情報の自由な流れっていうけど、それをガラスでできた鼓の胴みたいなもので「表現」しちゃったもんだから、自由な流れどころか、掃除も簡単にはできないような不自由な建築になってる(笑)。それだったらシンプルなロフトでいいじゃないか、と。そういう意味で言うと、安藤忠雄はやっぱり一応ちゃんとしてるわけ。
たしかに安藤はワールドトレードセンター跡に球形の丘をつくる案とかはいいんだけど、直島とかでやってるのはどうなの? いったん全部山を削ってから自然再生だっていうのもねぇ。
いや、あそこはもともと塩田があった場所なの。半島の上から下まで池が並んでて、だんだん塩分濃度を上げていく仕組み。だから、国立公園内なんだけれども、もともと人工的な構築物があったってことで、その下を掘ることが許可された。特に、今つくってる第三期の部分は、ほとんどすべて地下に埋め込まれてて、かなりいいんじゃないかと思うよ。
ただ、逆に言うと、安藤忠雄は上から見えるプランがないというか、それをあえて否定するというか、だから、最近は単に長方形を並べるだけなの。たとえば神戸にある兵庫県立美術館も細長い直方体が三つ並んでる。そうすると、出たり入ったり、動線がややこしくなるわけね。
東京ステーションギャラリーでやっていた安藤の建築展なんて、小泉は来るわ、扇は来るわ、塩爺も来るわで、ちょっと権威化しちゃってるよね。東京都の現代美術館で安藤がプロデュースした田中一光回顧展は、そのアイディアは認めるけど。
安藤忠雄は司馬遼太郎記念館を建てたけど、彼自身がいまや建築の司馬遼太郎って感じなんだな。ボクサー上がりのたたき上げっていう物語がまたポピュリズムに訴えるわけよ。しかし、権威化ってことで言うと、画家の絹谷幸二チェンチェイが世田谷美術館で展覧会を開いて、「アートと経世済民」っていうタイトルで日本IBM会長の北城恪太郎や日銀副総裁(前財務次官)の武藤敏郎とトーク・イヴェントをやってるんだよ。美術館でこんなメンバーのシンポジウムって考えられる?(笑)。やっぱり日本美術界において平山郁夫の次に来るのは絹谷幸二だね(笑)。
おっと、絹谷って帳簿焼き捨てで世界に知られてしまった長野オリンピックの公式ポスター描いてるんだよね。
口から「ファイト、ファイト」とか出てる驚くべきポンチ絵ね。片仮名で書いてあるから日本人以外には読めない(笑)。恐るべし絹谷。
だいたい、横山大観にせよ安田靫彦にせよ、たしかに一定以上の技術のある画家が権威になってきたんで、それに反抗してアヴァンギャルドもあったわけだよね。ところが、東山魁夷あたりからおかしくなって、平山郁夫にせよ絹谷幸二にせよ、下手なのになぜか権威になってる。どういうわけだか理解不能だし、これじゃ反抗する気も起きない。っていうか、技術的には村上隆なんかのほうが小器用なんで、むしろ絹谷幸二のほうが大胆と言うべきかもしれないね(笑)。
そういえば、平山郁夫って今年北朝鮮にまで行ってるんだよ。ユネスコのドンとして北朝鮮の遺跡群を世界遺産に認めるか認めないか審査する、と。しかも小泉に言われて何やら裏交渉までしてるらしい。恐るべし平山(笑)。
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