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●映画「セプテンバー11」
9・11をテーマにした「セプテンバー11」っていうオムニバス映画があって、世界の11人の監督が各々11分9秒の映画を競作したものなんだけど、なかなかよかった。日本ではTBSが地上波でも放映したんだけどね。

高く評価されているね。全体をプロデュースしたのはフランスの会社だ。あの発想はすごい。さすが腐ってもフランス人。今やカリフォルニア州のバークレイ周辺以外はご都合主義の「一国平和主義」の熱病に浮かれるアメリカでは考えられない。ビデオで売らないのかな。
世界中で9月11日に上映あるいはTV放映したのに、アメリカはしなかったんだ。アメリカのショーン・ペンの監督作品も入ってて、さすがアメリカ映画の実力はすごいと思わせたのに。
そのショーン・ペンの作品のストーリーを紹介しておこうか。
西部劇のヒーローだったアーネスト・ボーグナインの演じる老人が、日の当たらないアパートに住んでるの。彼は、奥さんが死んだことが受け入れられなくて、奥さんの服と並んでダブルベッドで寝たりしてるわけ。ところが、寝てる間に突然日が射してきて、奥さんの遺した鉢植えも緑に戻る。それで、「ああ、おまえ、おまえの鉢植えが」って喜ぶんだけど、その瞬間に妻が死んでるという事実がわかるんだよね。
ところで、なぜ突然日が射したかというと、世界貿易センターが崩れて、その陰にあったらしい老人のアパートに日が当たったからなの。
それにしても、何でアメリカで放映しなかったのかな。

この作品だって愛国心の鼓舞からは程遠いし、全体に反米的な作品が多いと思ったんでしょ。
どうしようもないね。他の作品は?
冒頭がイランのサミラ・マフマルバフの作品なの。イランに逃げてきたアフガン難民が、アメリカが攻めてくるから防空壕を作らなきゃって言って、子どもたちが泥をこねてレンガをつくってるわけ。その子どもたちに、女性教師が、高層ビルに飛行機が突っ込むってことを何とか想像させようとするんだけれど、彼らにはそれが理解できず、レンガ工場の煙突からバーッと煙が出ているのを見上げて呆然と立ちつくすのみ、と。悪くないよ。
他方、イスラエルのアモス・ギタイの作品は、テル・アヴィヴで爆弾テロがあった場面で始まり、警官が来て、救急車が来て、TVが中継を始めるんだけど、途中で中継が打ち切られちゃう、というのも、アメリカで同時多発テロが起こったからそれどころじゃない、と。それをワン・ショットで撮りきってて、なかなかのものだよ。そういうのを集めて一本のオムニバスにしたっていうのは、大したものだと思う。アメリカにそれを放映する器量がないってのは情けない。
考えられないね。そういえば、世界貿易センタービルの跡地に安藤忠雄が緑の丘みたいなのをつくろうと提案したんだね。
地下に巨大な球が埋まってると想定して、その一端が露呈した形になってる。そこで地球のことを考えてもらおう、と。
ローマのパンテオンの発想だね。ああいうのは大事なことなんだよ。あそこの再開発案は決まったのかな。
最初に提案されたのが商業的なオフィス・ビル群の計画ばっかりだったんで、反対の声が強くて撤回された。今度わりと前衛的な建築家も入れた6チームでコンペをやることになってる。むろん、採算の問題があるから、安藤案みたいに丘にしちゃうなんてのは無理だけどね。

●ブッシュに救われた欧州社民?
景気は悪いし負けると思われていたドイツのシュレーダーが選挙に勝ったじゃない?
イラク攻撃に反対したのが効いて驚異の逆転勝利。ブッシュのおかげだよ(笑)。
それとね、ドイツではこの夏に400年に1度の確率の大雨が降ったでしょ。実はそれでシュレーダーが伸びたんだ。なぜなら、迅速な対応をしたのと同時に、脱原発を主張しているシュレーダーの環境政策の方が望ましいと市民が考えたんだ。400年確率の大雨があってもダムをつくろうとはだれも言わないんだよ。なぜなら、そんなものに耐えられるわけがない。自然を征服するのは不可能だと市民は考えているんだ。原発だって同じなんだよ。人間には制御できないことがある。これまでレイチェル・カーソン(『沈黙の春』)を読んでいた人は、批判を恐れず申し上げれば、思いこみの激しい環境保護派に近かったとも言える。ところが、今はそうではない普通の市民にも理解されるようになったんだね。そういう意味では大転換だよ。
ヨーロッパには国境を越えて流れる大河が多い。何百年に一度の気象変動に対してもそれらをすべてコントロールするなんて不可能なんで、むしろ洪水のときに最小限の被害でやり過ごせるようなシステムにしておこう、と。原発も、完全にコントロールできる保障はないんだから、2020年までにやめよう、と。そういう線を打ち出してた社民党のシュレーダーと緑の党のフィッシャーの連立政権がブッシュのおかげで維持されるんだら、皮肉な話ではある。ヨーロッパでは社民から保守へと総入れ替えかと思ってたら、結構踏みとどまったね、スウェーデンなんかも含めて。
そう。共産主義勢力の脅威のもとで保守が強かったのと構図的には似ている。
とは言え欧州社民勢力の退潮は、日本の社民党や連合、旧民社党の残党らがうごめく民主党のダメさと通じる状況。移民問題の中で雇用不安を感じている市民のためではなく、自分たちの組織維持のために動いてきたことが、本来は彼らの支持者であったはずの階層をハイダーやルペンに向かわせてしまったんだ。まあ、さすがに行き過ぎだ、と揺り返しがあって、でもそうした層は中道左派ではなく穏健保守の側へといってしまいつつある、むしろドイツやスウェーデンは例外に近い状況ではないか、という論考が、なんと岩波の『世界』11月号に載ってるよ。藤村信というパリ在住の人物だけど、鋭いよ。
●民主党の子どものけんか
そういえば9月には民主党の代表選があったね。後の人事抗争は、まさに子供のけんかだった。あれが野党第一党だってんだからホントにお粗末(笑)。
信じられないよね。民主党の若手だってアホだよ。マキャヴェリズムに徹すればいいのにさ。市民の支持を得て政権交代を目指していくのなら菅直人しかいないんだから。

そうだよ。
だからこそ議員や公認候補の票が菅に流れたんだよ。逆にサポーターの投票率は五割だったわけでしょ。民主党の本来の支持者は冷めちゃってる。
菅は党内基盤が弱いんだから、かついでおけば自分たちで適当に操作できると考えるのがマキャヴェリズムでしょ。しかし、菅に勝つために旧民社党に頼り、論功行賞で中野寛成を幹事長にした鳩山由紀夫もひどいけど、いつまでもウダウダ不平を言ってた若手もひどい。
文句のある若手は民主党なんか飛び出しゃいいんだよ。10月の統一補選で惨敗したら党を割ろうとか言ってるわけでしょ。なんだか腰が引けちゃってどうしようもないね。
松下政経塾→日本新党→民主党っていう連中が最悪。しかし、社民党も北朝鮮問題で田嶋陽子が離党してもはや死に体だし、野党はどうしようもないね。むろん自民党だってひどい体たらくだけど、三役もすっと再任されちゃったし、もしいま解散でもしたら大勝しちゃうよ。
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