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トップ ■ 連載 第三回「続・憂国呆談」番外編Webスペシャル
 2002年9月号

憂国放談    ............... ■ 長野知事選を戦い抜いた田中康夫が、ダブルスコアの圧勝で帰ってきた! ますます冴え渡る舌鋒で、盟友・浅田彰とともに崩れゆく旧体制を斬りまくる!
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旧体制が総崩れ


田中康夫  東京都知事の石原慎太郎が、愛媛県の歴史教科書の採択に関する発言を共同通信が誤配信したことに怒って、もう一度間違えたら同社の社団法人としての認可を取り消すなんて言った。これを強権的だと誰も言わないって、どういうこと? とんでもない話だよ!

浅田 彰  いや、あれは本当にファシズム一歩手前。
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田中康夫  藤原帰一が八月二九日の「朝日」の論壇時評で書いてたよね。田中をファシスト呼ばわりする人がいる一方、中西輝政のように石原をディズレーリになぞらえる人がいて薄気味悪い、と。ホントだよ。

浅田 彰  フランスにはルペンが、オーストリアにはハイダーがいるとか言うけど、向こうから日本を見たら石原はまったくそのレベルだよ。「三国人」発言に見られるような排外主義的な極右であって、それが何かの間違いで都知事になってる、その日本の異常さを意識しなきゃ。だいたい、ルペンは移民排斥なんかの点で日本の法制は我々の理想に近いって言ってるんだから(笑)。

田中康夫  いやあ本当に石原のオツムの中身を覗いてみたい。

浅田 彰  でも、今度の選挙では旧体制を支えてきた面々もみんな馬脚をあらわしちゃったね。

田中康夫  そう。長野で醜態をさらした宮下創平や羽田孜だって、きちんと総括の会見をすべきだよ。特に自民党県連の会長である宮下やその一派は、責任を持って独自候補を出すと言っておきながら、長谷川敬子に乗っかった。なのに彼女の開票速報の場に来たのは県議会議員一人だけ。長野市長も後から密かに楽屋に顔を出しただけ。冷たいもんだねぇ。

浅田 彰  彼女に同情はしないけど、負けたとたんにぼろくずのように捨てるってのは仁義に欠けるよね。

田中康夫   そう。そんな人たちが人間を語れるのかということ。

浅田 彰  だいたい政治家って敗北宣言ってのが重要なポイントで、そこで格好よく言えるかどうかが次を決めるのに。

田中康夫  そういう意味で羽田も苦しい。お膝元の上田市での県議補選で、子飼いの候補が共産党の女性に一万票もの大差で負けちゃった。県知事選でも、もう少し戦略的に立ち回れば良かったのに。一時的に配下の県議と対立してでも「田中だ」と言えば、今度の民主党代表選でも混迷の中、彼にもう一回お鉢が回ってくる可能性だって……

浅田 彰  そう、羽田は絶好のチャンスを逃したと思うよ。ある意味で自民党の敵失だったわけじゃない?

田中康夫  そう、自民党との対立を作り出せた訳だよ。そういう意味では県政会の下崎保の方が一応の総括はしているね。真摯に反省してお詫びするとまで言っている訳だから。ただし、不信任は間違いではなかった、説明が足りなかった、という居直りはマイナスだと思うけど。

浅田 彰  あと、連合とかああいうところも、組織としてちゃんと総括してもらいたいな。自民党の担ぎ出した候補に相乗りして負けてるんだから、いったいどうなってるんだっての。

田中康夫  相乗りどころか、連合長野の会長を務める市川隆司は、一番の旗頭だったんだから。
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★小泉訪朝から東電問題まで

浅田 彰 突然、政府が小泉首相の訪朝を発表したけど、あれはよくわからないな。

田中康夫  いやあ、僕にも皆目、検討も付かない。野中広務人脈での話? どうして出てきたんだろうね。

浅田 彰 常識的に考えて、アメリカの同意なしに日本の首相が北朝鮮に行けるとは思えないから、そういう意味で条件が整ってるのかとも思うけど、他の面で改革が進まないから外交でヒットを飛ばしたい小泉と外務省のスタンドプレーっていう可能性もある。

田中康夫 結局は何も引き出せないんじゃないかな。財産請求権は相互に放棄するにせよ、コメを送るにせよ金を渡すにせよ、拉致問題が解決しないと、弱腰だと小泉は叩かれる。保守派のみならず、今や風前の灯火の「革新」の皆さんだって、納得しないよ。拉致されたとされる横田めぐみさんでも現れればいいんだけど。難しいだろうなぁ。

浅田 彰 以前、森喜朗が言ってたように、第三国で突然あらわれるという手はあるけど。

田中康夫  パリかどこかで訪朝の直前にね。

浅田 彰 他に最近のトピックで言うと東京電力の原発事故隠しはひどいと思う。

田中康夫  ひどいね、あれは。

浅田 彰 もちろん雪印食品や日本ハムの偽装牛肉問題や証拠隠滅工作だってとんでもないよ。でも東電の場合は、経団連でいちばん威張りくさって企業倫理綱領とか何とかつくっていたような会社が、もっともリスクの高い原子力の問題について組織的な隠蔽工作をやってたわけでしょ。

田中康夫  電力の場合、消費者が購入企業を選べないだけにたちが悪い。

浅田 彰 アメリカでもエンロンからワールドコムまで企業の不正が次々に明るみに出たけど、日本でも食肉から原発まで何ひとつ安心できないという、まさにボロボロの状態になってしまった。我々の「憂国」はまだまだ続く(笑)。

(了)
次回更新は10月中旬の予定です!

「続・憂国呆談」は、9月末に『憂国呆談リターンズ──長野が動く、日本が動く』として単行本化されます。