記事一覧:数字は語る352

  • 設備稼働率は低いのに過剰感は低下の“謎”背景に生産の国内回帰

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    設備稼働率は低いのに 過剰感は低下の“謎” 背景に生産の国内回帰

    2016年1月16日号  

    設備投資の先行きをみる上で有用な指標に設備稼働率がある。設備稼働率とは、生産能力に対する生産数量の割合である。製品への需要が大きく稼働率が高まると、企業は生産能力を増強するため設備投資を行おうとする。逆に稼働率が低ければ、既存事業の資本収益率が低くなるため、投資は難しくなる。

  • 有識者会議は的外れ携帯料金を下げるにはMVNOの育成が必要

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    有識者会議は的外れ 携帯料金を下げるにはMVNOの育成が必要

    2016年1月9日号  

    総務省の家計調査によると、2014年に2人以上の勤労者世帯が支払った「移動電話通信料」は、月平均1万2279円に上った。10年前から約4割の上昇となる。家計の負担を減らすべく、安倍晋三首相の肝いりで誕生した有識者会議は、15年10月から携帯電話料金の引き下げ策の検討を行ってきた。

  • 百寿者数の急増から分かる長寿化・高齢化のスピード社会保障の抜本改革が急務

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    百寿者数の急増から分かる 長寿化・高齢化のスピード 社会保障の抜本改革が急務

    2015年12月26日号  

    2016年は参議院選挙の年だが、財政再建に向けて、17年4月に消費税率の引き上げが予定されている。だが、財政再建には増税だけでなく、急増する社会保障費の抑制も重要な課題となってくる。周知の通り、社会保障費が急増する背景には、長寿化や高齢化がある。

  • 設備投資は先行き不透明も将来の収益源確保を狙う企業の積極姿勢は健在

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    設備投資は先行き不透明も 将来の収益源確保を狙う 企業の積極姿勢は健在

    2015年12月19日号  

    7~9月期の設備投資は、前年同期比11.2%増と、10四半期連続の増加となった。前期比でも、5.4%増となり、4~6月期の減速から持ち直している。これらは、日本銀行「短観」(9月調査)で示された、設備投資計画が過去5年間で最も強いという結果と整合的だ。

  • 終わりの見えぬQEに高まる懸念の払拭には出口の見通し公表が必要

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    終わりの見えぬQEに 高まる懸念の払拭には 出口の見通し公表が必要

    2015年12月12日号  

    米国の金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)は、2011年6月に出口戦略の原則を検討・公表した後、12年1月から政策金利の引き上げ開始時期について、メンバー全員の予測を公表してきた。最初の調査ではその時期は12年から16年まで分散していたが、多くは15年までには引き締め開始としていた。

  • 骨太方針2015の最初の試金石となる2016年度予算案

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    骨太方針2015の 最初の試金石となる 2016年度予算案

    2015年12月5日号  

    政府は今年6月末、「骨太方針2015」を閣議決定したが、その最初の試金石に位置づけられる2016年度の予算案が12月に固まる。骨太方針2015では、20年度までに国・地方の基礎的財政収支(以下PB)を黒字化する従来の目標のほか、18年度のPBの赤字幅を対GDPで1%程度にする目安を盛り込んでいる。このため、16年度予算案を含め、当面は歳出改革および17年4月の消費税率引き上げ(8%→10%)の判断が大きな政治的争点となる。

  • 労働需給逼迫でも正社員は“買い手市場”伸び悩む所定内給与

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    労働需給逼迫でも 正社員は“買い手市場” 伸び悩む所定内給与

    2015年11月28日号  

    第2次安倍内閣の発足から間もなく3年がたつ。その間の政策運営を通じて明らかになったのは、デフレ脱却や内需拡大には名目賃金の十分な上昇がやはり重要であり、金融政策だけで実現することは容易でないということだ。

  • 超高齢社会に不可欠な中高年の賃金制度改革と定年年齢の引き上げ

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    超高齢社会に不可欠な 中高年の賃金制度改革と 定年年齢の引き上げ

    2015年11月21日号  

    人口ピラミッドという図がある。年齢別の人口を男女別に示したグラフだが、かつてはグラフの下に位置する若年人口が大きく、グラフの上に位置する高齢者人口が小さいピラミッド形であったことからこのように呼ばれる。しかし、日本では、2050年には80歳前後になる団塊ジュニア世代が最も人口が大きい世代となり、人口ピラミッドは逆三角形になると予想されている。

  • 軽減税率導入に壁 対象品目と減収額はトレードオフの関係

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    軽減税率導入に壁 対象品目と減収額はトレードオフの関係

    2015年11月14日号  

    安倍晋三首相は10月上旬、2017年4月の消費税率の引き上げと同時に軽減税率の導入を検討するよう指示し、政府・与党は11月中の決着に向けて詰めの作業を行う予定だ。

  • 世界経済減速リスクで慎重姿勢を強める企業冬ボーナスへの期待は禁物

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    世界経済減速リスクで 慎重姿勢を強める企業 冬ボーナスへの期待は禁物

    2015年11月7日号  

    今夏のボーナスは、期待外れに終わった。ボーナスに相当する特別に支払われた給与は、8月に前年同月比1.9%増にとどまっている。今夏ボーナスへの期待は大きかった。理由の一つは、企業の経常利益がリーマンショック以前のピークを上回るほど好調であったことだ。また、消費税率引き上げ後に低迷していた消費の反転のきっかけとしての期待もあった。

  • 収益は高水準でも依然として強い企業の賃金抑制姿勢

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    収益は高水準でも 依然として強い 企業の賃金抑制姿勢

    2015年10月31日号  

    日本銀行は4月の展望レポートで、労働分配率が過去20年の平均(51.9%)の近傍にある中、先行き労働分配率が横ばい圏内で推移するとした。しかし今年前半は金融危機前の数年間の平均(50.1%)に近づき、第2四半期は50.7%だ。背景には企業の賃金抑制姿勢があるが、企業収益が高水準で人手不足のもと、賃金上昇、特に来年のベースアップへの政府・日銀の期待は大きい。他方で、低い資本収益率の引き上げが投資家などから求められている。

  • 解禁日の繰り下げがもたらした副作用学生も企業も大混乱

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    解禁日の繰り下げが もたらした副作用 学生も企業も大混乱

    2015年10月24日号  

    新卒学生の就職活動に関して、今年は大きなルール変更があった。日本経済団体連合会(経団連)が、学業優先を掲げる政府の要請を受ける形で、加盟企業の採用選考の解禁日を昨年までの4月1日から8月1日へと4カ月繰り下げる指針を出したのだ。果たして、採用活動の早期化是正を目指したこのルール変更は奏功したのだろうか。

  • 機会費用を含めれば養育費が最もかかるのは子どもが乳幼児のとき

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    機会費用を含めれば 養育費が最もかかるのは 子どもが乳幼児のとき

    2015年10月17日号  

    子どもの養育費が一番かかるのはどの時期か、と聞かれたら、多くの人は教育費のかかる大学だと答えるだろう。私立大学の授業料は平均して年100万円程度であり、国公立大学でも年50万円程度は必要である。自宅外から通う場合には、これに加えて下宿代等も必要になる。子どもを私立校に進学させる場合は、中学・高校、あるいは小学校から、多額の教育費がかかる。

  • 約1900万世帯が国勢調査をネット回答果たしてその効果は?

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    約1900万世帯が 国勢調査をネット回答 果たしてその効果は?

    2015年10月10日号  

    国勢調査が行われているところである。日本国内に普段住んでいる全ての人(外国人を含む)および世帯が調査対象だ。総務省のウェブページに紹介されているように、国勢調査は居住実態を反映した地域の人口や産業別就業者数などのさまざまな統計を作成することを目的の一つに掲げている。調査で判明した地域の人口は、衆議院小選挙区の画定や、地方交付税の交付額の算定など、多くの法令に利用が規定されており、「法定人口」と呼ばれている。

  • 政府の甘い成長率予測実績より高めの傾向政策決定に影響の懸念

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    政府の甘い成長率予測 実績より高めの傾向 政策決定に影響の懸念

    2015年10月3日号  

    成長戦略や経済対策をはじめ、多くの政策決定において、政府や官庁などが参考とする経済指標は「国内総生産(GDP)」、特にその成長率である。また、その延長として、成長率の予測も政策決定での一つの重要な基盤となる。例えば、内閣府は2015年7月、経済財政諮問会議において、財政再建計画の検討に利用する「中長期の経済財政に関する試算」を公表した。試算では、23年度までの成長率について二つのシナリオを置いているが、このうち15年度と16年度の成長率(各1.5%、1.7%)はシナリオでなく、内閣府の予測である。

  • 過去最高益でも暗雲中国発・世界同時株安の実体経済への悪影響

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    過去最高益でも暗雲 中国発・世界同時株安の 実体経済への悪影響

    2015年9月26日号  

    4~6月期の日本企業の経常利益は、前年同期比23.8%増え、20.3兆円と過去最高を更新した。同時期の経済成長率が前期比で3四半期ぶりにマイナスとなった中で、日本企業は好調さを保ったようだ。これまで、円安によって海外利益の円建て評価額が膨れたり、原油価格の低下などによって原材料コストが抑えられたりしたことで、収益が改善してきた。また、一連のコーポレートガバナンス改革が、投資家・企業経営者の収益性への関心を高め、利益押し上げの一助になったのだろう。

  • 日銀が「新指数」を公表物価目標の未達は原油下落のせいなのか

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    日銀が「新指数」を公表 物価目標の未達は 原油下落のせいなのか

    2015年9月19日号  

    日本銀行の物価目標は消費者物価総合指数で2%だが、政策判断の際には、総合指数を相対的によくトレースしているコア指数──総合から生鮮食品を除いた指数──を用いている。ただ、原油価格の動きが総合指数、コア指数に影響を与え、物価の基調判断を難しくしている。民間のコア物価見通しは、来年度前半ごろに2%とする日銀よりもかなり低い。また、足元はほぼゼロのコア物価上昇率がインフレ予想を下げる可能性もある。

  • 動画の主役はテレビからインターネットへシフト急拡大するネット広告

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    動画の主役はテレビから インターネットへシフト 急拡大するネット広告

    2015年9月12日号  

    スマートフォンを器用に使いこなし、お気に入りの動画を観賞する3歳の息子を見ていると、動画の主役がテレビからインターネットに移りつつあると実感させられる。ネットでの動画視聴が加速すれば、それに応じて広告市場も拡大していく。2015年の動画広告市場は全世界で162億ドルと前年比で約3割拡大し、17年には237億ドルに達する見込みだ。

  • 日本に富裕層は何人いる?「全国一斉調査」がいよいよスタート

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    日本に富裕層は何人いる? 「全国一斉調査」が いよいよスタート

    2015年9月5日号  

    2016年3月15日──。この日が来ることを富裕層は恐れているかもしれない。この日は、今年度の税制改正で導入が決まった「財産債務調書」の初回提出期限。年間所得2000万円超かつ「総資産3億円以上または保有する有価証券等が1億円以上」の条件に該当する「富裕層」は、この日までに保有する資産と負債を洗いざらい時価で記入して税務署に提出しなければならない。土地、建物、預貯金、株式、保険、自家用車、貴金属、骨とう品など、あらゆるものが対象だ。

  • 財政再建に不可欠な女性就業率の向上と雇用慣行の見直し

    数字は語る
    財政再建に不可欠な 女性就業率の向上と 雇用慣行の見直し

    2015年8月29日号  

    高齢化の進行と人口減少に伴う労働力確保の重要性は随所で指摘されているが、数字で見てみると衝撃的だ。65歳以上人口の15~64歳人口に対する比率である高齢者従属率は、日本は2000年に25%であったものが50年には74%になると推定されている(国際連合による08年の推定)。

定期購読キャンペーン

記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…