記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く376件
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
「米雇用創出に貢献」は 貿易の利益の否定で危険
2017年3月4日号安倍晋三首相は、2月10日、全米商工会議所での演説で、「脅威が現れている」「ある国の鉄鋼の過剰生産は止まらず、その結果、世界的な安値を招いている」と述べ、名指しを避けながらも中国の鉄鋼過剰生産を批判した。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
日本は言うべきことを主張していない
2017年2月25日号日本は、ドナルド・トランプ米大統領のご機嫌取りをする半面で、言うべきことを主張していない。日本はトランプ氏の手下になったのだろうか?安倍晋三総理大臣は、トランプ氏の大統領選挙勝利直後に、世界の首脳に先駆けて同氏の元に駆け付けた。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
トランプ政策に対応し経済政策の見直しを
2017年2月18日号ドナルド・トランプ米大統領が、これまでの常識を覆す政策を次々に打ち出している。就任直後には、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱する大統領令を出した。1月27日には、テロ懸念国などからの入国制限を強化して、世界中の大きな反発を呼んだ。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
保護主義的な日本はトランプ以上に内向き
2017年2月11日号ドナルド・トランプ米大統領の政策は、アメリカ第一主義、保護主義であり、グローバリズムでなく、内向きだ。これは、世界のためにならないだけでなく、アメリカのためにもならない。新聞の社説や識者などによって、このように指摘されている。その通りである。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
トランプに翻弄されず 経済成長を続けるには
2017年2月4日号トランプ米大統領の経済政策がどうなるか? これが、世の中のもっぱらの関心事だ。アメリカの政策によって日本経済が甚大な影響を受けるのは事実だから、その予測に関心が集まるのはもっともだ。ただし、もっと重要なのは、日本経済をどう運営するかを考えることだ。なぜなら、トランプ政策には不合理な要素が多く、そして不合理な政策体系は予測不可能だからだ。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
不合理な強国アメリカ 日本はどう対処するか
2017年1月28日号ドナルド・トランプ米大統領が、就任前にトヨタ自動車のメキシコ工場建設を批判した。しかも、ツイッターという非公式の手段によって。一国の次期大統領が外国私企業の決定にこうした形で介入するなど、言語道断である。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
長時間労働の底にある 日本企業の基本問題
2017年1月21日号電通の長時間労働問題が波紋を広げている。昨年の12月には、労働基準法違反の疑いで、法人としての電通と幹部社員1人が書類送検された。これを受けて、石井直社長が辞任する意向を示した。労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間だ。労使協定(いわゆる「36協定」)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、これを超えて労働させることも可能だ。しかし、過重労働による健康障害を防止するため、いくらでも超過勤務させられるわけではない。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
成長率が高かったのは円安期でなく円高期
2017年1月14日号アメリカ大統領選挙以降、為替レートが円安に進んだことで、日本経済の雰囲気は大きく変わった。株価が上昇し、安心感が見られる。そして、円安に安住する空気が広まっている。しかし、円安は日本経済にとって決して望ましいことではない。それを確認するため、2012年秋ごろからの円安によって日本経済がどのような影響を受けたかをまとめておこう。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
国債残高の3分の1はもはや国の負担でない
2016年12月24日号日本銀行の異次元金融緩和政策は、マクロ経済への影響という点では、効果がなかった。日銀当座預金が増えただけで、経済に流通するマネーストックがほとんど増えなかったからだ。しかし、全く無意味だったかといえば、そうではない。国の負担を軽減するという点では、大きな意味があった。そのメカニズムについて、以下に説明しよう。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
若年者の減少で増える 高齢者の社会保険負担
2016年12月17日号今社会保障の問題が議論されている。年金の支給を圧縮し、医療保険の自己負担を強化する方向のものだ。年金については、支給額の新たな改定ルールを盛り込んだ年金制度改革関連法案が国会に提出されている。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
トランプの外国人排除で ローマの轍を踏むか?
2016年12月10日号アメリカ大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の勝利を見ていると、アメリカがローマ帝国の轍を踏むのではないかという懸念に襲われる。ローマ帝国が長期にわたって繁栄を続けられたのは、異質性や多様性を尊重したからだ。共和制の時代からすでに、征服して属州化した地域の人々にローマ市民権を与えてきた。この結果、ある時期から、ローマ出身ではないローマ皇帝が増えた。エドワード・ギボンが『ローマ帝国衰亡史』の中で「人類史上最も幸せな時代をつくった」とした五賢帝には、属州出身者が多い。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
トランプの経済政策 孤立も復古も不可能
2016年12月3日号アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が選ばれたことで、世界にショックが走った。しかし、市場の回復は非常に早かった。それは、結果判明直後のスピーチで、ごく普通のことを、ごく普通の調子で述べたからだろう。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
異次元緩和の失敗は方法を間違えたから
2016年11月26日号日本銀行は2013年に開始した異次元緩和政策で、銀行から国債を購入し、当座預金を増やした。その結果、13年3月から16年3月の3年間で、マネタリーベースは約228兆円増えた。しかし、マネーストック(M2)は約89兆円しか増加しなかった。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
銀行が出す仮想通貨のあるべき姿を考える
2016年11月19日号中央銀行が仮想通貨を発行すると、さまざまな問題が生ずる。本連載の第831回でこのように述べた。とりわけ危険なのは、政府と中央銀行がマネーストックを思うままに動かせることだ。ただし、これは民間の銀行が仮想通貨を発行しない場合のことである。日本では、民間の仮想通貨が先行する可能性が強い。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
日銀発行の仮想通貨で銀行は要らなくなる?
2016年11月12日号本連載の第830回で述べたように、日本銀行は、異次元金融緩和によって、マネーストックをマネタリーベースほどには増加させることができなかった。その理由は、マネーストックの大部分は、日銀が発行している日銀券ではなく、銀行の預金であることだ。2016年9月の数字を見ると、マネーストック(M1)667.8兆円のうち、日銀券などの現金は91.8兆円でしかなく、残り576.0兆円は預金通貨だ。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
総括検証で瓦解した 日銀に対する信頼
2016年11月5日号中央銀行にとって最も重要な課題は、信頼を獲得することだ。ところが、9月に行われた総括検証によって、これまでも揺らぎつつあった日本銀行に対する信頼は、完全に失われた。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
大組織が抱える問題に 新しい仕組みで対処
2016年10月29日号東京・築地市場の豊洲への移転問題が混迷を極めている。当事者はいるわけだから、その中にはおかしいと感じていた人もいるだろう。しかし、大組織の中では、自分一人だけが声を上げたところで無力である。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
公平で分散自律型の 予測市場が誕生した
2016年10月22日号アメリカ大統領選が11月8日に迫っている。日本では「接戦」と報じられているが、Augurという予測市場では、100%の確率でヒラリー・クリントン勝利だ(数字は私が見た日のもの。以下同様)。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
長期金利の操作が難しいのはなぜか
2016年10月15日号日本銀行は、9月21日の金融政策決定会合で、金融政策の枠組みの変更を決めた。これまでは国債購入量という「量」を決めてきたが、これを変更し、「金利」を目標にする。量的政策から金利政策への転換という意味では、非伝統的な金融政策から伝統的な金融政策への回帰である。ただし、伝統的な金利政策での操作対象は、短期金利と将来への期待である。
-
野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
未来を変える金融商品の取引が成功した
2016年10月8日号今年4月、シンガポールの企業DigixGlobalは、金(きん)の所有権をEthereum(イーサリアム)上でデジタル化した。そして、DigixDAOという分散型自律組織を用いて、分散型取引所OpenLedger(オープンレッジャー)でのクラウドセールを実施し、わずか12時間で、ゴールドトークンDGXを完売した。