記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く344

  • 実体経済から見れば株価は2割程度割高

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    実体経済から見れば 株価は2割程度割高

    2013年03月30日号  

    株価が上昇を続けているが、実体経済面では厳しい状況が続いている。最大の問題は、輸出数量が伸びないことだ。貿易統計によると、2月上中旬の輸出は、対前年比2.9%の減だ。2月中旬の為替レートは、この1年間に1ドル79.4円から93.4円にほぼ17.6%減価していることを考慮すると、輸出数量は、対前年比20%程度の減になっているはずである。1月には、輸出数量は5.9%の減、価格指数が13.1%の増で輸出額は6.4%の増になった。2月には、事態がそれより悪化しているわけだ。円安にもかかわらず、昨年秋以来の輸出の減に歯止めがかかっていないどころか、悪化している。 株価が上昇しているのは、「円安になれば日本の輸出が増えて国内生産が増える」という期待があるからだ。しかし、その期待は実現していない。輸出数量の減少を反映して、国内生産も低迷を続けている。1月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比13.1%の減少となった。これは、2005年以降で2番目に大きな落ち込みだ。前年同月比では9.7%の減少だ。また、2月の工作機械の受注は、前年同月比21.5%の減となった。対前年比減は、10カ月連続している。

  • 実体経済は厳しいが株価だけが上昇する

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    実体経済は厳しいが 株価だけが上昇する

    2013年03月23日号  

    2月上旬の輸出額は1兆6109億円で、昨年の1兆8626億円に比べて、実に13.5%の減となった。1月の輸出額は4兆7985億円で、対前年比6.4%増となったのだが、再び減少したわけだ。なお2月上中旬では3兆4270億円となっている。円安が進んでいるため、輸出の価格指数は上昇している。円ドルレートは、2012年2月初めの1ドル77.65円から13年3月初めの93.28円になっているから、仮にドル建て価格が一定なら、価格指数は20%程度の上昇になっているはずだ。したがって、輸出額が13.5%も落ち込んだのは、数量指数が30%以上落ち込んだことを意味する。これは、極めて深刻な事態である(実際には、ドル建て価格も下落しているのかもしれない。それでも、深刻な事態であることに変わりはない)。

  • 大震災後、円安は収益悪化要因に

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    大震災後、円安は収益悪化要因に

    2013年03月16日号  

    円安は、素材型産業の収益を悪化させる。前回は、このことを個別企業について見た。この結論は、マクロ的にも確かめることができる。以下では、素材型産業の輸出額と、その産業が原料等で輸入している額の比較を行うことによって、円安の収益悪化効果を示すこととしよう。

  • 円安で原料価格が上昇企業利益が減少する

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    円安で原料価格が上昇 企業利益が減少する

    2013年03月09日号  

    前々回、「円安は、輸入原材料の円建て価格を引き上げるという点で、輸出産業の利益を圧迫する」と述べた。そして、輸出額に対する輸入額の比率は、日本全体で平均すると半分程度であるが、素材装置産業ではもっと大きいだろうと述べた。つまり、こうした産業では、円安が収益圧迫要因になっている可能性がある。以下では、そのことを、個別企業について具体的に検証してみよう。まず、住友化学を取り上げる。同社は、日本経済団体連合会会長・米倉弘昌氏の出身企業であるが、そのために取り上げるのではない。日本の大企業を代表する存在であるからだ。

  • 円安下で激減する12年の製造業利益

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    円安下で激減する 12年の製造業利益

    2013年03月02日号  

    「円安が日本企業の利益を増加させ、このため株価が上昇している」と報道されている。しかし、この説明は誤りである。前回、このように述べた。自動車産業利益増の原因は、第1には2011年に東日本大震災で生産が大きく落ち込んだことからの回復であり、第2には12年4~9月のエコカー支援策によって売り上げが増加したことだ。円安が進んだ12年秋以降には、輸出、生産、売上高は落ち込んでいる。13年1~3月期の見通しについても、円安による売り上げ増大効果は認められない。前回は、このことを輸出や生産指数の動向を見て結論付けた。以下では、直接に利益の推移を見ることによって、同じ結論を導出しよう。

  • 12年利益増の原因は円安でなく震災要因

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    12年利益増の原因は 円安でなく震災要因

    2013年02月23日号  

    2012年12月期決算の利益が、対前期比で増加する企業が多いと報道されている。その原因は、円安であると説明されている。安倍晋三政権の金融緩和政策によって円安が進み、これが輸出関連企業の業績を好転させているというのだ。しかし、この説明は誤りだ。12年の利益が増加するのは、11年において東日本大震災による輸出減とタイ洪水による工場浸水という特殊事情があったからだ。

  • 日銀頼みの国債消化が行き詰まるとどうなる?

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    日銀頼みの国債消化が 行き詰まるとどうなる?

    2013年02月16日号  

    緊急経済対策で大型補正予算が組まれ、また2013年度予算の政府案が閣議決定された。公共事業は、補正予算から引き続いて増加している。民主党時代の「公共事業は全部駄目」という硬直的な政策からの転換は評価したい。

  • 日銀独立性の否定は戦時経済への逆戻り

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    日銀独立性の否定は 戦時経済への逆戻り

    2013年02月09日号  

    日本銀行総裁は、政府や市場とのコミュニケーションと対話を密にすべきだと言われる。その通りだ。ただし、「そして、政府と同じ目標を持ち、同じ政策を追求すべきである」という人が多いのだが、それは違う。政府との対話の結果、日銀が政府と異なる見解を持つことはあり得る。それが日銀の「独立性」である。

  • 製造業においても「減反政策」が必要

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    製造業においても 「減反政策」が必要

    2013年02月02日号  

    政府は11日、事業規模20.2兆円の緊急経済対策を決定し、大型補正予算を編成することとした。この政策の最大の問題点は、対症療法的な需要追加によっては、日本経済が抱える構造問題を解決できないことだ。それだけではない。需要追加方式は、持続可能性がないのだ。以下では、まずこの点について論じよう。そして、本来必要とされるのは、需要追加ではなく、供給能力削減であることを主張する。

  • 安倍内閣の政策は右傾化でなく左傾化

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    安倍内閣の政策は 右傾化でなく左傾化

    2013年01月26日号  

    メディアは移り気である。変化には多大の興味を示すが、底に横たわる不変の事態には関心を持たない。「状況は昨日と同じです」ではニュースにならないからだ。株価も為替レートも、昨日と比べての変化が最大のニュースだ。政権交代も大きな変化だから、報道の注目は集まる。それによって株価や為替レートが動けば、売買によって利益を上げられるから、さらに注目が集まる。総選挙前後からの経済報道は、こうした側面に終始した感がある。

  • 幻の輸出立国を追い円安を求め続ける愚

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    幻の輸出立国を追い 円安を求め続ける愚

    2013年01月19日号  

    日本の貿易収支は、東日本大震災以来、若干の例外を除き月ベースで赤字になっている。2012年1~10月は5.3兆円の赤字だ。これは、前年同期の赤字1.7兆円の3倍を超える。11年の貿易統計ベースの赤字は2.6兆円だった。年中の1~10月の比重が変わらないとすると、12年の貿易収支は8.2兆円という巨額の赤字になる。サービス収支の赤字を加えると、10兆円程度になる。所得収支の黒字は14兆円程度あると考えられるので、経常収支の黒字は維持できるだろう。しかし、震災前に比べて状況が大きく変化したことは間違いない。したがって、貿易赤字拡大の要因を把握することが重要である。

  • 金融緩和で日本経済は海図なき航海に出る

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    金融緩和で日本経済は 海図なき航海に出る

    2013年01月12日号  

    総選挙は、自由民主党の圧勝に終わった。安倍晋三総裁が選挙前に金融緩和を標榜していたこともあり、これから大幅な金融緩和に向けての政策が取られるだろう。株式市場はこれを好感し、大幅に上昇した。しかし、日本経済の実情は極めて厳しい。対中輸出の減少などを原因として、景気が落ち込んでいる。巨額の赤字に直面する家庭電器産業の問題も、なんら解決されていない。また、エコポイントやエコカー購入補助などの支援策を再開するのも困難だ。そして、製造業の海外移転も続く。これまでのような大企業だけでなく、部品メーカーをはじめとして中小企業も海外移転するだろう。このため、2013年においては、企業城下町での工場閉鎖が相次ぎ、失業率が高まる可能性が高い。

  • 閉塞感は強まるがチャンスはいくらでも

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    閉塞感は強まるが チャンスはいくらでも

    2013年01月05日号  

    2013年の経済環境は、これまでの事業を継続しようとする人や企業にとっては、ますます厳しいものになるだろう。しかし、それは、チャンスがないことを意味するものではない。新しい事業を始めようとする人や企業にとっては、これまでにも増してチャンスに溢れた年になるだろう。私は、講演で地方都市に行く機会が多い。そこで地元企業の方々と話す場合がある。業種は、圧倒的に製造業の方々が多い。伝統的な地場産業というよりは、何らかの形で大企業の系列と関連している企業である。「昔からの地場産業が強いはず」と想像される地域においてもそうだ。

  • 日本経済立て直し第一歩は教育拡充

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    日本経済立て直し 第一歩は教育拡充

    2012年12月22日号  

    総選挙の結果は本稿執筆時点ではわからないが、新政権がいかなる政治勢力になったとしても、経済政策面での最大の課題は、日本経済の立て直しである。憂慮されるのは、「金融緩和をすれば景気が回復する」という類いの安易な考えが広がることだ。日本経済の不調は、景気循環的なものではない。だから、金融政策で対処できるものではない。1999年のゼロ金利政策、2001年以降の量的緩和、そして10年以降の包括的緩和政策と、次々に金融緩和政策が行われたにもかかわらず、日本経済の不調は、90年代以降継続している。

  • 総選挙で社会保障の負担の全体像を示せ

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    総選挙で社会保障の負担の 全体像を示せ

    2012年12月15日号  

    今回の総選挙で、TPPや脱原発は重要な争点とされている。しかし、社会保障制度の改革は重要な争点とは見なされていない。こうなるのは、いくつかの理由がある。第1は、緊急の問題ではないことだ。TPPのようにここ数カ月の間に基本的な態度を決めなければならないような問題ではない。第2は、社会保障制度の改革を真面目に考えれば負担増や給付削減を提案せざるを得ないが、それは確実に不人気な政策となるからだ。どの党も負担増には口をつぐむ。昔からそうだったが、今の日本では特にそうだ。他党が口をつぐんでいるなら、わざわざ言いだして批判されることはない。第3の理由は、脱原発などに比べて、わかりにくい問題であることだ。脱原発の是非を判断するにはさまざまな情報が必要だが、論点自体は極めて明瞭だ。それに比べて社会保障の問題は、「どこに問題があり、なぜそれが問題か」が明確に理解されていないのである。

  • 年金問題が総選挙の最大争点であるべき

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    年金問題が総選挙の 最大争点であるべき

    2012年12月08日号  

    日本の公的年金制度は、約550兆円の債務超過状態に陥っている。しかし、これが緊急の対処を要する重大な問題だとは、認識されていない。財政検証は、「100年間は大丈夫だ」とした。その再検討資料は、「賦課方式だから対処する必要はない」とした。一体改革では、受給資格期間の短縮化、パートの年金加入要件緩和、厚生年金と共済年金の一体化など、現行制度の微調整が行われただけで、550兆円の処理という年金財政の基本問題は、まったく閑却された。

  • 年金積立金不足は将来を映す水晶玉

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    年金積立金不足は 将来を映す水晶玉

    2012年12月01日号  

    企業年金について、現在次の二つが、問題になっている。第1点は、厚生年金基金の廃止問題だ。厚生年金基金は、厚生年金の一部を代行運用するもので、中小企業の加入が多い。しかし、多くの基金が積立金不足に陥っている。国に返上するには不足分を埋める必要があり、そのためには、企業が重い負担を負わなければならない。それを避けるために高い運用利回りを求めたことが、AIJ問題の原因になったと指摘された。

  • 公的年金積立金は550兆円も不足

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    公的年金積立金は 550兆円も不足

    2012年11月24日号  

    厚生年金を清算して解散することは可能だろうか? これに関するデータは、厚生労働省年金局数理課「平成21年財政検証結果レポート 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(詳細版)2010年3月にある。それによると、厚生年金の場合、「過去期間に係る給付」が830兆円だ。これは、これまでの保険料負担に対応する給付だ。つまり、いま年金を受給しているか将来年金を受給できる人が、将来にわたって得る年金のうち、すでに支払った保険料に対応する分の割引現在値だ。給付に対しては、国庫負担金が一般会計から支出される。その現在値が「過去期間に係る国庫負担」であり、これは190兆円だ。

  • 巨額の積み立て不足を抱える厚生年金の惨状

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    巨額の積み立て不足を 抱える厚生年金の惨状

    2012年11月17日号  

    日本の公的年金は、将来どうなるのだろうか? 高齢化の進展に対応して、将来とも給付を続けることができるか?この問題に答えるため、政府は、少なくとも5年に1度は「財政の現況及び見通し(財政検証)」を作成し、公表することとされている。最新版は、2009年5月に発表された「平成21年財政検証結果」である。これによれば、厚生年金の場合、積立金が2105年まで持つ。このため、日本の年金は「100年安心年金」であるとされた。

  • 貿易赤字拡大をめぐるいくつかの誤った見方

    野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
    貿易赤字拡大をめぐる いくつかの誤った見方

    2012年11月10日号  

    財務省が10月22日に発表した貿易統計によると、2012年度上半期(4~9月)の貿易収支は、3兆2190億円の赤字となった。これは、11年度の上半期に比べて約9割の増加だ。半期ごとの金額では、過去最大だ。

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記者の目

  • 副編集長 清水量介

    お札にもなっているほどの人なのに…

     周囲の人たちに、『学問のすすめ』を読んだことがあるかと聞くと、「ある」と答えたのは1人だけ。他の福沢諭吉の書籍に至っては、ゼロでした。
     お札にもなっているほどの人なのに、「ぶっちゃけ、何がすごいのかよく分からない」という人がほとんど。
     素晴らしい現代語訳の本が多数出ていますので、もしこの特集で興味を持ってもらえたら、一読をお勧めします。
     ちなみに、福沢諭吉をここまで大々的に取り上げていると、慶應義塾大学の出身者と思われそうですが、私は、野球など、何かとライバル扱いされる方の大学の出身者です。決して、母校のためなどという思いで特集を企画したわけではありません。念のため。

  • 編集長 深澤 献

    引用して偉そうにしゃべったのを思い出しました

     2009年に「社会起業家全仕事」という特集を担当しました。若い世代中心に広がっている「事業として利益を上げつつ社会問題を解決する」という取り組みに焦点を当てたものです。
     発売後、縁あって慶應義塾大学の某ゼミ勉強会で、同特集についてお話しする機会に恵まれました。その際に話したのは、自分の社会人としての考え方は、ご存じ『学問のすすめ』の「アリのたとえ」に影響されているということ。
     家族を養うために働くのはアリでもやっている。大事なのは他者、社会のために働くという意識で、それは“いかにも”な社会活動でなくても、あらゆる仕事で可能だ、と。
     このたび、そう偉そうにしゃべったのを思い出し、改めて気を引き締めました。

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