記事一覧:采配【第二幕】32

  • レギュラー選手の脱落は人員のフル活用で乗り切る

    采配【第二幕】
    レギュラー選手の脱落は 人員のフル活用で乗り切る

    2013年8月3日号  

    攻守に安定したあるレギュラー選手が死球を受け、手の甲を骨折して戦列を離れた。優勝争いから脱落したくない監督は、ドラフト1位で入団した3年目の若手を抜擢。しかし、その選手は期待通りの結果を残せず、とうとう手痛い敗戦につながるエラーをしてしまった。 「あいつには大きな期待をかけていたのに使えない。全然、成長していないよ……」そう愚痴ってしまう監督の気持ちは理解できなくもない。期待の裏返しが失望や憤りになってしまうことは、ビジネスの世界でもよくあることだろう。ただ、これでは「私は指揮官として不適格です」と公言しているようなものだ。

  • オールスターで学んだ「器や舞台が人をつくる」

    采配【第二幕】
    オールスターで学んだ 「器や舞台が人をつくる」

    2013年7月27日号  

    この号の発売日が雨でなければ、福島県いわき市でオールスター第3戦が行われている。「真夏の球宴」の記憶をたどれば、真っ先に思い浮かぶのは1981年の初出場だろうか。私はロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)へ入団して3年目。セカンドのポジションをつかみ、ようやくプロの世界で生きていく自信が芽生えた頃だった。近鉄バファローズ(現・オリックス・バファローズ)の西本幸雄監督の推薦で出場し、あまりの緊張に打席で金縛りにあったように体が動かないという経験もした。

  • 指揮官は“マイナス思考”たれ「結果」に浮かれてはならない

    采配【第二幕】
    指揮官は“マイナス思考”たれ 「結果」に浮かれてはならない

    2013年7月20日号  

    前回は、自分の仕事内容を結果と切り離して分析する必要性を説いた。それは選手(部下)だけではなく、監督(上司)にもいえることだ。例を挙げて説明しよう。2連勝で迎えた日本シリーズ第3戦。同点で延長に入った10回表、一死一、三塁のチャンスが訪れた。監督はベテランで器用さもある打者にスリーバント・スクイズのサイン。だが、これは相手に読まれていた。はずされたボールをファウルにしてスリーバント失敗。

  • 成功と失敗は紙一重結果に惑わされない分析力

    采配【第二幕】
    成功と失敗は紙一重 結果に惑わされない分析力

    2013年7月13日号  

    プロ野球選手の評価は、公式戦の成績で決まる。優勝への貢献度やチャンスに強いかなどプラス査定はあるにせよ、基本的には数字がすべてだ。高い成績を残したければ、人一倍練習に取り組むしかない。100本素振りをした選手に勝ちたければ、101本以上振るしかないという単純明快な世界である。ただ、いくら必死に練習しても、すべてが成果に結びつくとは限らない。私は、とりわけ分析力がものをいうと考えている。

  • 80年の歴史を大きく変えるプロ野球改革とは何か

    采配【第二幕】
    80年の歴史を大きく変える プロ野球改革とは何か

    2013年7月6日号  

    プロ野球界の改革として、前号ではセ・パ2リーグ制を壊し、12球団を三つのグループに分ける提案をした。これにより、問題点の一つである、交流戦によってオールスターゲームの存在意義が変化したことへも対処が可能となる。かつては、セとパの主力選手が対戦すること自体が大きな関心を集めた。あくまで“お祭り”だが、セに比べて注目度の低いパの選手にとって名前と顔を売るチャンスで、ペナントレースとは違った真剣勝負も見られた。だが現在は、交流戦があり、その上さらにオールスターまで加わると、熱心なファンでもやや食傷気味になる。

  • いっそセ・パ2リーグ制をやめてみたらどうか

    采配【第二幕】
    いっそセ・パ2リーグ制を やめてみたらどうか

    2013年6月29日号  

    9年目を迎えたセ・パ交流戦が、福岡ソフトバンクホークスの優勝で幕を閉じた。その舞台裏、12球団による代表者会議では、交流戦の1球団当たりの試合数を現行の24から18に縮小しようという案を巡って、議論が交わされている。 交流戦は、メジャー・リーグが新たなファン開拓を目指して1997年に実施した。そしてその頃から、日本でもパ・リーグ側が交流戦の実現を提案してきた。

  • 3~4歳幼くなっているプロ野球選手の精神年齢

    采配【第二幕】
    3~4歳幼くなっている プロ野球選手の精神年齢

    2013年6月22日号  

    十数年前、なかなかのストレートに加え、鋭いスライダーを投げる、ある新人投手がデビューした。「巨人の松井秀喜だって、あのスライダーは打てないよな」私はそう思っていたが、新人王にも輝いたその投手は、下位打線には自分の武器を生かした投球を見せる。だが、中軸打者に対しては決め球にスライダーを使わず、いつもストレートを痛打されていた。自分のスライダーの威力を理解していなかったのだ。プロの世界で、これほど不幸なことはない。

  • 稲尾さんから教わったリーダー目線の大切さ

    采配【第二幕】
    稲尾さんから教わった リーダー目線の大切さ

    2013年6月15日号  

    629勝491敗30引き分け、勝率5割6分2厘。これは、私が中日ドラゴンズを率いた8年間の戦績だ。この数字を基に、監督としての手腕を自己評価することはない。ただ、周囲から「コーチの経験もないのに高い実績を残せたのはなぜか」と問われれば、こう答える。「選手時代から、監督目線で野球を見ていたからじゃないですか」

  • できて当たり前のことこそ本当にできるのか疑え

    采配【第二幕】
    できて当たり前のことこそ 本当にできるのか疑え

    2013年6月8日号  

    4月9日に行われた横浜DeNAベイスターズと広島東洋カープの試合で、こんな場面があった。4対1のリードで迎えた広島の3回表の攻撃は二死満塁。ここで大竹寛はショートゴロを打った。横浜DeNAの遊撃手・石川雄洋はその打球を慎重に捕球すると、ベースカバーの二塁手に送球しようとした。ところが、二塁手はベースカバーに入っておらず、石川は慌てて一塁に送球したが間に合わず、その間に二者が生還した。

  • “二刀流”ルーキー、大谷翔平指導者は何をすべきか

    采配【第二幕】
    “二刀流”ルーキー、大谷翔平 指導者は何をすべきか

    2013年6月1日号  

    今季のプロ野球界で私が最も関心を持っているのは、北海道日本ハムファイターズのルーキー、大谷翔平の“二刀流”だ。高校野球でもエースで四番打者という選手が少なくなった今、プロの世界で投手でも打者でもやっていこうというのだ。メジャー・リーグ入りを希望していた大谷をドラフト1位で指名し、二刀流に挑戦させることで入団を決意させた球団と、大谷の意気込みには大いに期待したい。

  • 新年度1カ月後に起こる「人疲れ」克服法

    采配【第二幕】
    新年度1カ月後に起こる 「人疲れ」克服法

    2013年5月25日号  

    新年度も1カ月が過ぎた。新社会人や新入生は高揚感と緊張感が解け、新たな環境に不安も感じ始めた人もいるのではないか。プロ野球界も例外ではない。順調に走ってきた新人や若手選手が、ちょっとつまずくのも今頃だ。かくいう私も、34年前にロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)へ入団した際、こんな気持ちになっていた。「こりゃ2、3年でクビになるな」

  • 誰にでも通ずる理屈が基本

    采配【第二幕】
    誰にでも通ずる理屈が基本

    2013年5月18日号  

    2011年11月16日、ナゴヤドーム。私が率いる中日ドラゴンズと福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズ第4戦は、2対1とソフトバンクのリードで6回裏を迎えた。ドラゴンズは、先頭の森野将彦がレフト前ヒットを放つと、トニ・ブランコ(現・横浜DeNAベイスターズ)が二塁打で続き、無死二、三塁という大きなチャンスを築く。打席には五番の和田一浩。スタンドが大いに沸き上がる中、和田は相手投手の投球をよく見極めて四球で歩く。無死満塁。一打逆転を期待するドラゴンズファンから大きな歓声が上がった。「参ったな」──。

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記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

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表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…