記事一覧:Data Focus データフォーカス69

  • 高い幸福度は生活への諦めが故経済再生で暮らしの実感向上を

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    高い幸福度は生活への諦めが故 経済再生で暮らしの実感向上を

    2013年5月11日号  

    日本の内閣府は、「幸福度に関する研究会」で幸福度なるものを指標化しようとしている。経済規模ではなく、心の幸福感を重視する。(1)住環境や仕事など「経済社会状況」、(2)「心身の健康」、(3)家族や地域・自然とのつながりを示す「関係性」──の三つの指標を設定して、これを11分野に分け、計132の個別データを基に「幸せ」を数値化する。

  • 2%のインフレ目標達成時に長期金利4%なら金融危機か

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    2%のインフレ目標達成時に 長期金利4%なら金融危機か

    2013年5月4日号  

    公的債務残高がGDP比で200%に達する日本では、長期金利が急騰すると、利払い費急増で公的債務は雪だるま式に膨張する。そのとき、問題となるのは国債を大量保有する金融機関だ。自己資本の劣化で金融システムが動揺する。長期金利がどの程度上昇すれば、金融システムは危機を迎えるか。2%のインフレが実現する場合、1%の均衡実質金利を前提にすると、長期金利は少なくとも3%程度まで上昇する。長期金利が上昇を始めると、投資家は損失リスクへの見返りとして上乗せ金利(リスクプレミアム)を求めてくる。どの程度になるかは、事前には誰もわからない。

  • ワーク・ライフ・バランスは企業の競争力を高める人事戦略

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    ワーク・ライフ・バランスは 企業の競争力を高める人事戦略

    2013年4月20日号  

    人事戦略としてワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)を推進する企業の生産性や利益率は、上昇する傾向にあるとの研究成果が報告された。WLBの推進組織を設置し、長時間労働を是正して、フレックスタイム制や勤務地限定制度、短時間勤務制度など社員が柔軟に働ける制度を導入したり、法を超えた育児介護支援制度を設けたりした企業は、実施していない企業に比べ、その後の粗利益率や全要素生産性が大きく上昇するというものだ。

  • 大気汚染招いた投資依存型成長中国新指導部は改革できるか

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    大気汚染招いた投資依存型成長 中国新指導部は改革できるか

    2013年4月13日号  

    3月中旬から下旬にかけて、北京に行ってきた。相当覚悟していたつもりであったが、大気汚染の深刻さには驚かされた。政治的弾圧など人権侵害に対する国際社会の批判に、中国政府はかねて人権よりも人々の生存権のほうがより重要だと主張してきた。この中国政府の言う生存権と関係がないものの、今回、厚いスモッグに覆われた北京を見て、中国の人々の生活環境は危機的状況に直面していると思った。

  • “次元の違う大胆な金融緩和”に値する効果的な具体策は乏しい

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    “次元の違う大胆な金融緩和”に値する効果的な具体策は乏しい

    2013年4月6日号  

    黒田東彦総裁の下での日本銀行は、これまでとは「次元の違う」「大胆な」金融緩和を行うと喧伝されているが、財政ファイナンスを排除し、外債購入も禁じ手だとなると、実際には、あまり効果的な追加策はないと思われる。想定される緩和策として、(1)満期までの残存期間の長い国債の購入と、(2)準備預金に対する付利の撤廃が有力視されている。

  • 株式市場の企業統治改革による企業収益向上が成長戦略の本丸

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    株式市場の企業統治改革による 企業収益向上が成長戦略の本丸

    2013年3月30日号  

    安倍政権の経済政策の「三本の矢」の中で、金融緩和と財政政策は時間を買う政策であり、経済成長の原動力となるべきものは成長戦略である。成長戦略としてはTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加問題や農業の改革が注目を集めているが、個別産業を超えた課題としては、市場の構造改革を通じた企業の新陳代謝が重要な課題だ。特に重要なのは株式市場である。日本の株式市場には構造的な問題があると考えられる。株式投資のリターンはROE(自己資本利益率)でほぼ近似できる。

  • 「アベノミクス」への期待先行で急改善した消費者のマインド

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    「アベノミクス」への期待先行で急改善した消費者のマインド

    2013年3月23日号  

    内閣府から発表された1月の消費動向調査(調査基準日:1月15日)は、驚くべき内容だった。おそらく「アベノミクス」への期待感から、景気と物価の今後に関する消費者の意識が、急角度で上向いていたからである。消費者態度指数(一般世帯・季節調整値)は43.3で、5カ月ぶりの上昇。4.1ポイントという前月比上昇幅は、2004年4月の月次調査開始以降で最も大きい。

  • 正社員になっても6年以内に半数が転職した30代前半男性

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    正社員になっても6年以内に 半数が転職した30代前半男性

    2013年3月16日号  

    始めよければ終わりよし。日本には、このような言い習わしがある。しかし、最近における若者の就業状況は、そのようには必ずしもなっていない。調査データは、高等学校や大学等を卒業すると同時に正社員として会社勤務を始めた男性の離職・転職状況を調べるために、世代間問題研究プロジェクトが2011年11月に実施した「くらしと仕事に関する調査」である。同年4月に30~49歳であった男性1994人が回答している。

  • アベノミクスの成否を左右する規制改革による成長戦略の実施

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    アベノミクスの成否を左右する 規制改革による成長戦略の実施

    2013年3月9日号  

    安倍晋三首相の経済政策(金融緩和と財政出動と成長戦略を3本の矢としたアベノミクス)が市場で高く評価されている。2月中旬のG20サミットでも一定の評価を得た。2%のインフレターゲットを日本銀行に設定させた安倍政権だが、経済や物価をコントロールして2%の物価上昇率に持っていけるだろうか。デフレ脱却には金融政策と経済成長のバランスが重要である。日本経済に成長の源泉が乏しい場合、金融政策に頼り過ぎるとバブルの危険性が高まりかねない。

  • アベノミクスが上昇させるバブル発生と財政破綻の確率

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    アベノミクスが上昇させる バブル発生と財政破綻の確率

    2013年3月2日号  

    アベノミクスの本質は、中央銀行ファイナンスによる拡張財政、つまりマネタイゼーションだ。日本銀行に積極緩和を迫る一方、極めて厳しい財政状況の中で、軽微な景気後退にもかかわらず、リーマンショック時に次ぐ大規模な補正予算を打ち出した。「将来所得の前借り」である追加財政支出を行うことで名目成長率を押し上げ、一方で日銀のアグレッシブな金融緩和によって長期金利の上昇を抑えるのだから、株価が上昇する確率は高い。

  • 賃金引き上げと競争力向上を両立させる方策が今春闘の課題

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    賃金引き上げと競争力向上を 両立させる方策が今春闘の課題

    2013年2月23日号  

    安倍政権が「デフレ脱却」を掲げる中、今年の春闘に人々の関心が集まっている。株価上昇にとどまらず、実物面でもデフレギャップを解消するには、国内総支出の6割を占める家計消費の増加が必要であり、給与引き上げが欠かせないといわれる。だが、株価上昇や円高の是正など、一部には明るい兆しが見えてきたものの、依然として厳しい経営状況にある企業は多い。

  • 日中関係の悪化の背景にある中国へ傾いたパワーバランス

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    日中関係の悪化の背景にある 中国へ傾いたパワーバランス

    2013年2月16日号  

    1月25日、習近平・中国共産党総書記が公明党の山口那津男代表と会談し、山口代表から安倍晋三首相の親書を受け取った。日中関係はひとまず一触即発の危機的状況から一歩前進した。しかし、武力衝突という最悪の局面を回避できたとしても、これで日中関係が安定に向かう可能性はほとんどない。表面的には、今回日中関係がこじれたのは尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐっての対立であった。しかし、日中両国を取り巻く内外情勢を分析すれば、尖閣諸島をめぐる対立がなくても、日中関係は早晩大きく悪化することがわかる。

  • 銀行券ルール守れない日本銀行国債買い入れ原資は枯渇へ

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    銀行券ルール守れない日本銀行 国債買い入れ原資は枯渇へ

    2013年2月9日号  

    金融緩和の強化を求める風潮の中で、あまり話題にはされなかったが、2012年の8月以降、日本銀行の保有する長期国債残高は日銀券発行残高を上回っている。長期国債保有額を日銀券発行残高以下にとどめるという、いわゆる「銀行券ルール」を守れなくなった。

  • 国債残高は経済規模に比して膨張を続けることができるのか

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    国債残高は経済規模に比して 膨張を続けることができるのか

    2013年2月2日号  

    1年前の全米経済学会で、イェール大学のゲイリー・ゴートン教授らが「米国の金融資産に占める『安全な資産』の比率は、過去60年間、33%前後でほぼ一定している」という発表をして話題になった(Gary Gorton, Stefan Lewellen, and Andrew Metrick, “Safe-Asset Share.” American Economic Review: Papers & Proceedings 2012, 102(3):101-106)。

  • 輸出増と財政で景気は回復も金融緩和の副作用の懸念残る

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    輸出増と財政で景気は回復も 金融緩和の副作用の懸念残る

    2013年1月26日号  

    昨年春にピークを付けてきた景気は、2012年11月ごろには早くも底を打ったようである。鉱工業生産を見ると、スマートフォン関連の半導体や液晶を中心に、電子部品・デバイス工業が増産に動いている。日本から中国への半導体等電子部品の輸出は、12年10月に続き、11月も前年同月比で増加した。日本銀行が公表している実質輸出は11月分で、7カ月ぶりに前月比増に転じた。

  • 中高年は自分のことよりも若者の雇用を心配している

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    中高年は自分のことよりも 若者の雇用を心配している

    2013年1月19日号  

    日本では最近、多くの若者が「親の世代より豊かになれない」と思っている。世代間問題研究プロジェクトが2012年2月に実施した「12年3月卒業予定者に対するアンケート調査」(当時、大学4年生であった学生が主な調査対象者。回答者は1250人)によると、自分は親の世代より豊かになれると思うかという設問に対して、「はい」が10%強、「いいえ」60%弱、「わからない」30%強であった。

  • 株価上昇の要因は海外景気拡大日銀と思うのは3年前と同じ

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    株価上昇の要因は海外景気拡大 日銀と思うのは3年前と同じ

    2013年1月12日号  

    左のグラフは、2009年11月以降の日本銀行の当座預金残高とTOPIX(東証株価指数)の推移だ。09年の政権交代後、11月の月例経済報告に突如「デフレ」の三文字が復活すると、12月1日に日銀は臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策(新型オペ)を決めた。その後、当座預金残高増加を背景に、株高が進行したように見えた。

  • 地方公務員の人件費は地域の民間企業給与並みに削減すべき

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    地方公務員の人件費は地域の 民間企業給与並みに削減すべき

    2013年1月5日号  

    東日本大震災の復興財源に充てるため、2012年度から国家公務員の給与を2年間引き下げた結果、8割超の地方自治体で職員給与が国家公務員給与を上回っている(上のグラフ参照)。13年度予算編成では、国家公務員の水準と合わせるため、自治体の給与財源でもある地方交付税の削減が検討されている。

  • 収入増、自己実現、借金返済高所得層でも高い副業比率

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    収入増、自己実現、借金返済 高所得層でも高い副業比率

    2012年12月22日号  

    給与や賞与が削減される中、副業に関心を持つ人が増えている。わが国では企業に勤める雇用者のうち、副業をしている人の割合は、長期的に低下傾向にある(総務省「就業構造基本調査」)。男性においてこの傾向は強い。これは主に兼業農家が減少したためである。副業を非農林業に限定すれば、男性では横ばい、女性ではむしろ上昇傾向にある。

  • 労働力減少は資本蓄積と生産性下げ潜在成長率も低下

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    労働力減少は資本蓄積と 生産性下げ潜在成長率も低下

    2012年12月15日号  

    ここ数年、筆者は人口動態の影響で各国の潜在成長率が低下していることに注目してきた。生産年齢人口の伸びの鈍化ないし減少により、資本ストックが相対的に過剰となり、資本収益率の低下から企業の設備投資が滞り、潜在成長率が低下する。低成長は、単にバブル崩壊後の過剰ストック問題だけが原因ではなかった。かつて日本では、「労働力減少に対応して省力化投資が進み、資本ストックの増加で、生産性上昇率が維持され、潜在成長率もあまり低下しない」と考えられていた。1970~80年代の成長率は年率4.5%だが、成長会計の手法で分析すると、労働力の寄与が1.1%、資本ストックが1.8%、全要素生産性が1.5%となる。労働力が増えなくても、資本ストックと生産性の伸びで、3%程度の成長が維持可能という人も少なくなかった。

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記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…