記事一覧:Book Reviews 知を磨く読書292

  • 低下した武力行使のハードル

    Book Reviews 知を磨く読書
    低下した武力行使のハードル

    2019年9月14日号  

    水野和夫、山口二郎著『資本主義と民主主義の終焉』は政治(山口氏)と経済(水野氏)の両面から平成史を総括した優れた作品だ。

  • 資本主義の変遷の人権思想

    Book Reviews 知を磨く読書
    資本主義の変遷の人権思想

    2019年9月7日号  

    牧野愛博著『ルポ「断絶」の日韓』を読むと、韓国社会が日常的に激しい競争にさらされており、国民が疲弊している実態が伝わってくる。

  • 五十音図を編み出した日本

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    五十音図を編み出した日本

    2019年8月31日号  

    朝比奈なを著『ルポ 教育困難校』は、日本の高校教育が抱える問題点を掘り下げた優れたノンフィクションだ。

  • 自分の居場所がない実態

    Book Reviews 知を磨く読書
    自分の居場所がない実態

    2019年8月24日号  

    榎本博明著『50歳からのむなしさの心理学』は、仕事中心に生きてきたサラリーマンの実態を見事に描いている。

  • 新自由主義が勝利する近未来

    Book Reviews 知を磨く読書
    新自由主義が勝利する近未来

    2019年8月10日号  

    太 永浩著『北朝鮮外交秘録』を読むと、北朝鮮のエリート教育の実態がよく分かる。〈平壌外国語学院ではときおり外国映画を鑑賞することもあった。英語科はアメリカやイギリス映画、ロシア語科はソ連映画、フランス語科はフランス映画を見るという具合だった。『サウンド・オブ・ミュージック』、『メリー・ポピンズ』のような映画は今でも記憶に鮮やかだ。外国映画に登場する名曲も学校で学んだ。

  • 今後も続く人間と自然の代謝

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    今後も続く人間と自然の代謝

    2019年8月3日号  

    田原総一朗著『殺されても聞く』は、ジャーナリストの田原氏が歴代首相や各界の第一人者への取材を通じて得た感想をまとめた作品だ。AI(人工知能)研究の第一人者である松尾豊氏の労働観が興味深い。

  • 北方領土問題の解決に向けて

    Book Reviews 知を磨く読書
    北方領土問題の解決に向けて

    2019年7月27日号  

    飲茶著『正義の教室』は、難解な現代哲学について水準を落とさずに分かりやすく解説している。例えば直観主義について、〈僕は、枠の外側に描かれた『正義』の文字に視線を向けた。/「でも、理屈や論理に頼らないなら、『宗教の正義』の人は、その『正義』をどうやって知るのですか」/「たしかに、そこは疑問に思うところだろう。正義が説明不可能なものなら、それをどうやって知るのか。

  • 不利な状況に置かれた利用者

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    不利な状況に置かれた利用者

    2019年7月20日号  

    高野聖玄、セキュリティ集団スプラウト著『フェイクウェブ』には、インターネット空間でだまされないために必要なノウハウが具体的に記されている。

  • ビジネスマンの「脱人格化」

    Book Reviews 知を磨く読書
    ビジネスマンの「脱人格化」

    2019年7月13日号  

    香山リカ著『オジサンはなぜカン違いするのか』においては、「燃え尽き症候群」について興味深い説明がなされている。〈ひとつは「感情の消耗」です。仕事のあいだに医師であれば患者や職員に対して心を寄せ、気持ちをくみ取り、感情的エネルギーをすべて使いきってしまった結果、「心からクタクタ、もう何も考えられない」という状態が繰り返し押し寄せるようになります。

  • 今後の中国情勢と宗教要因

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    今後の中国情勢と宗教要因

    2019年7月6日号  

    物江潤著『ネトウヨとパヨク』は、ネトウヨ(ネット右翼)、パヨク(左翼)と互いに侮蔑し、憎悪し合う人々に通底する病理を解き明かそうとする意欲的作品だ。〈現実社会では無力に近かった対話不能な人たちは、ネット上では手が付けられない存在になっています。どれほど彼らが厄介なのか、ここまでの内容を振り返りたいと思います。/まず、彼らが及ぼす影響力は甚大です。

  • 太鼓持ちの技法に学ぶ

    Book Reviews 知を磨く読書
    太鼓持ちの技法に学ぶ

    2019年6月29日号  

    門田隆将著『新聞という病』は、「週刊新潮」の記者を長く務め、現在はフリーランスとして活躍している著者による評論集だ。

  • 元号を予測できなかったAI

    Book Reviews 知を磨く読書
    元号を予測できなかったAI

    2019年6月22日号  

    池上彰著『知らないと恥をかく世界の大問題10』では、AI(人工知能)の限界について興味深い指摘がなされている。AIによる新元号予測プログラムが成功しなかった理由についてこう述べる。

  • 結婚できない状況の固定化

    Book Reviews 知を磨く読書
    結婚できない状況の固定化

    2019年6月15日号  

    山田昌弘著『結婚不要社会』を読むと、現下の日本において、結婚の主たる動機が経済的安定になっていることがよく分かる。〈高収入を狙う人たちとは別に、安定した収入がないと生活できないと本気で思っている人たちもいます。つまり、「年収1000万円と言っているのではない。

  • 資本主義の制約条件を知る

    Book Reviews 知を磨く読書
    資本主義の制約条件を知る

    2019年6月8日号  

    橋下徹著『実行力』は、マネジメントの基本書になる。〈自分の頭を整理し、当初の案を変更して最善の案を作っていくためにも、比較優位がパッと分かる資料作りは重要なのです。/トップや上司は一日に何十件もの案件を判断しなければならないほど忙しいですから、「どんな観点・視点では、どれがいいのか」というロジックと比較優位がパッと分かる資料が欲しいのです。

  • 日本にあって日本でない場所

    Book Reviews 知を磨く読書
    日本にあって日本でない場所

    2019年6月1日号  

    松岡哲平著『沖縄と核』を読むと沖縄が日本の外部領域であるという実態がよく分かる。

  • 中国が目指す太平洋の分割統治

    Book Reviews 知を磨く読書
    中国が目指す太平洋の分割統治

    2019年5月25日号  

    楊海英著『独裁の中国現代史』を読むと、中国の本質が帝国主義であることがよく分かる。

  • バランスの取れたAI論

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    バランスの取れたAI論

    2019年5月18日号  

    菊澤研宗著『成功する日本企業には「共通の本質」がある』は、日本で十分に知られていないダイナミック・ケイパビリティ(変化対応的な自己変革能力)研究に関する優れた解説書だ。極めて的確な実践的指針が示されている。

  • 税金による大学の生命維持考

    Book Reviews 知を磨く読書
    税金による大学の生命維持考

    2019年5月11日号  

    『池上彰が聞く 韓国のホンネ』は、新聞報道ではなかなか知ることができない韓国人の生活実態が見事に描かれている。例えば、公務員試験をめぐる熾烈な競争だ。〈22歳の女性。大学を休学して、警察官採用試験の勉強をしているという。

  • 誰にでもある孤独死の可能性

    Book Reviews 知を磨く読書
    誰にでもある孤独死の可能性

    2019年4月27日号  

    菅野久美子著『超孤独死社会』は、孤独死や自殺などの処理をする特殊清掃業者に焦点を絞って現下日本社会が抱える問題を掘り下げた意欲作だ。〈特殊清掃業者にとって、孤独死の最も多く発生する夏場はかき入れ時だ。中には現場から現場へ飛び回り、2ヵ月ほど不休でひっきりなしに働き続け、年間利益のほとんどを稼ぎ出す業者もいるぐらいだ。この特殊清掃需要の背景にあるのが、右肩上がりで増え続けている孤独死である。(中略)特殊清掃業者が手がけるのは、もちろん孤独死だけではない。

  • 国民の税金で生存する階級

    Book Reviews 知を磨く読書
    国民の税金で生存する階級

    2019年4月20日号  

    稲垣良典著『神とは何か』を読むと現代カトリシズムの内在的論理がよく分かる。〈本書を書いていた間中、つねに私の頭に去来していたのは、ここで述べているキリスト教的「神」理解と、日本的霊性・宗教性の形成に寄与し、またそれを表現した人物たちの「神」理解とはどのように関係づけられるか、という問題であった。

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記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…