記事一覧:Book Reviews 知を磨く読書214

  • 社内試験に使える究極の実用書

    Book Reviews 知を磨く読書
    社内試験に使える究極の実用書

    2018年11月24日号  

    『文藝春秋オピニオン 2019年の論点』には、このムックを大学入試にどう活用したらよいかというユニークな論考が収録されている。執筆者は、東進ハイスクールのカリスマ講師、樋口裕一氏だ。

  • 少年少女期をどう振り返るか

    Book Reviews 知を磨く読書
    少年少女期をどう振り返るか

    2018年11月17日号  

    小原克博著『世界を読み解く「宗教」入門』においては、宗教について網羅的に取り扱われている。特に興味深いのは、新宗教に対するアプローチだ。

  • 外交でも問われるセンスと勇気

    Book Reviews 知を磨く読書
    外交でも問われるセンスと勇気

    2018年11月10日号  

    服部龍二著『高坂正堯』は、優れた評伝だ。高坂正堯は、論壇では中立論が強かった東西冷戦時代に日米安全保障条約を認め、勢力均衡論に立つ現実主義外交を訴え、保守政治家や論壇人に強い影響を与えた。

  • 生き残るための教養主義

    Book Reviews 知を磨く読書
    生き残るための教養主義

    2018年11月03日号  

    さいとう・たかを著『鬼平流』には、人生の教訓がたくさん詰まっている。〈『鬼平犯科帳』の主人公である長谷川平蔵の考え方や社会観は、どうしても私に似てきてしまう。では、私と平蔵の違いは何かというと、私はいわゆる「優等生」ではない点だ。/私から見れば、優等生である平蔵が、ときとして非常に窮屈に思えてしまうときがある。私は本来、優等生よりも外れ者が好きだ。

  • ヨーロッパの論理を知る手引

    Book Reviews 知を磨く読書
    ヨーロッパの論理を知る手引

    2018年10月27日号  

    ヤロスラフ・オルシャ・jr.編『チェコSF短編小説集』の編訳者である平野清美氏は、本書のあとがきにこう記す。〈チェコの本屋に入ると、そのSFおよびファンタジー部門の棚の広さに目をみはる。チェコの著名なSF専門家ズデニェク・ランパス氏によると、チェコでは年間五〇〇冊ものSF・ファンタジー作品が出版されているのだという(その多くは海外ものだが)。

  • 構造化された沖縄差別

    Book Reviews 知を磨く読書
    構造化された沖縄差別

    2018年10月20日号  

    太田邦史著『「生命多元性原理」入門』を読むと、文理融合の重要性がよく分かる。1996年に、ニューヨーク大学の物理学者アラン・ソーカルが、ある専門誌に学術論文を装ったでたらめな研究を発表した。

  • 気になり始めた人生の残り時間

    Book Reviews 知を磨く読書
    気になり始めた人生の残り時間

    2018年10月13日号  

    渡辺順子著『教養としてのワイン』は、ワンランク上のビジネスパーソンを目指す人の必読書だ。ワインの歴史、マナー、話題のトピック、ビジネスチャンスなどがこの一冊でよく分かる。

  • 21世紀に甦る人間機械論

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    21世紀に甦る人間機械論

    2018年10月06日号  

    久保明教著『機械カニバリズム』は、実に興味深いメカニズム論だ。日本ではシステム論の研究は盛んであるが、機械に関する哲学(メカニズム論)はほとんど行われていない。本書はこの空白を埋める重要な作品だ。

  • 自由貿易に対立する関税同盟

    Book Reviews 知を磨く読書
    自由貿易に対立する関税同盟

    2018年09月29日号  

    岡本裕一朗著『人工知能に哲学を教えたら』は、AI(人工知能)の発達が人間の思想に与える影響について包括的に論じた意欲的な作品だ。〈現代では、書物としての『聖書』を読まなくても、インターネットでイエスの言動や思想を検索することは容易にできます〉というような箇所に聖書学者や神学者は、「聖書のテキストからイエスの言動を確定することはほぼ不可能なので、このようなアプローチはナンセンスだ」というような反応をするであろう。

  • 文化は操作可能な道具か

    Book Reviews 知を磨く読書
    文化は操作可能な道具か

    2018年09月22日号  

    斎藤哲也著『試験に出る哲学』は、大学入試センター試験(マークシート方式)の倫理の問題を用いて、社会人に哲学の基礎知識を付けることを試みた意欲的な作品だ。〈哲学の用語や概念をわかりやすく噛み砕いて説明する際、ブ厚い哲学事典よりも、倫理の教科書や参考書、用語集のほうが役立つことが多かったのだ。/が、倫理は入試科目としては脇役に追いやられている。

  • 孤独な作家にとっての憩い

    Book Reviews 知を磨く読書
    孤独な作家にとっての憩い

    2018年09月15日号  

    五木寛之著『七〇歳年下の君たちへ』は、灘高校の生徒と早稲田大学文化構想学部の学生と著者のやりとりをまとめたユニークな作品だ。灘高生に五木氏は、〈人間について言えば、僕は人間嫌いという一面もあるんです。一人でいるのが一番楽。それでいて、孤独なままでずっと生きていることは苦しい。/もしも自分にとって小説の意味があるとしたら、ただ小説というものを通じてのみ、見えない仲間とコミュニケートできるという感覚はあるんです。やっぱり一人ではキャッチボールはできないから、小説という投げたボールを受け止めてくれ、またこっちへ投げ返してくれる人はどこかにいるのだろうか、どうやら誰かがいてくれているようだ、という漠然とした感覚が読み手への思いとしてあります〉と言う。小説でもノンフィクションでも作家の仕事は基本的に孤独である。表現を通じて読者とコミュニケーションを取ることが作家にとって喜びであり、憩いでもある。

  • 野蛮な帝国への抵抗文学

    Book Reviews 知を磨く読書
    野蛮な帝国への抵抗文学

    2018年09月08日号  

    新庄耕著『カトク』は、厚生労働省内に設けられた過重労働撲滅特別対策班(通称、カトク)の活動を描いた小説だ。幾つものエピソードを通じ、日本で働き過ぎが文化として定着していることが分かる。〈どうして日本が大国になれたか。どうして世界から一目置かれたか。シンプルだよ。必死にやったんだ。家族のために国のために、寝る間も惜しんで一所懸命に働く。ものがなくとも文句を言わず、知恵をしぼり、皆で力をあわせる。そうやって耐えがたき状況を耐え、砂をかむような思いで皆が泥臭くやったからこそ、ここまでのしあがれたんだ〉というような、過去の栄光に縋る精神主義が諸悪の根源のように思える。

  • 不確実な社会に対応する

    Book Reviews 知を磨く読書
    不確実な社会に対応する

    2018年09月01日号  

    廣瀬陽子著『ロシアと中国』を読むと、中露関係の脆弱性がよく分かる。〈中露関係については、「蜜月は偽装されたものであり、その賞味期限はいつまでか」ということを常に考える必要がある。今後の動向を最も左右するのは、双方の損得勘定と国際状況、国内事情になる。特に、エネルギー価格とウクライナ情勢、制裁と報復措置の趨勢、およびロシアの経済状況が鍵となる。もちろん、中国の経済状況も重要な要素であろう。現在の中露の内政は、共に権威主義の上に成り立っている。国際関係以前に、国内の乱れこそ国家存亡の危機であり、国内システムの安定も極めて重要な要件となる〉という指摘はその通りだ。ロシアは、人口圧力と経済力によって中国にのみ込まれてしまうことを恐れている。

  • “日本語高”に資する作品

    Book Reviews 知を磨く読書
    “日本語高”に資する作品

    2018年08月25日号  

    池上彰著『池上彰の世界を知る学校』は、地政学に目配りをした優れた解説書だ。各国の地図を比較した上で、池上氏は、〈イランの地図には、イスラエルという国が描かれていません。(中略)イスラエルの国があるはずのところには「パレスティン」と表記されています。

  • あのテロ事件の一級の史料

    Book Reviews 知を磨く読書
    あのテロ事件の一級の史料

    2018年08月11日号  

    アンソニー・トゥー著『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』は、優秀で心優しき若者たちがなぜオウム真理教とその教祖に心酔し、化学兵器を用いたテロ事件を引き起こしたかがよく分かる一級の史料だ。〈私は6年間にわたって、彼と文通や面会をしてきた。彼を死刑囚としてでなく一人間として付き合ってきた。彼の今迄の犯罪を私は知っている。これらの罪は許されるものではない。しかし人間には誰にも明暗、または光と影がある。私は彼の「明」や「光」の片側だけと付き合っていたのかもしれない。彼の死刑執行という事実で中川という個体がこの世から消されてしまったことに対し、私は一抹の哀悼を感じる〉とトゥー氏は述べる。偏見を排して接触したので、中川元死刑囚も公判では語らなかった事柄についても率直に述べたのだと思う。刑事裁判では、検察官も裁判官も犯罪事実の立証にだけ関心を持つ。オウム真理教事件の最大の問題は、思想であり、宗教的信条なのであるが、この点についての究明がなされないまま、関係者13人の死刑が執行されてしまったことに違和感を覚える。

  • 幕末期思想家の影響力の源泉

    Book Reviews 知を磨く読書
    幕末期思想家の影響力の源泉

    2018年08月04日号  

    小島英記著『評伝 横井小楠』は、幕末期に党派を超えて強い影響を与えた思想家、横井小楠の生涯と思想を読みやすくまとめた優れた作品だ。〈武士道が立つように交渉すれば、死罪になる前に自刃するのが最善の選択になる。しかし、小楠は「武士は棄れた」と開き直ったのです。

  • 欧米列強 血みどろの20世紀

    Book Reviews 知を磨く読書
    欧米列強 血みどろの20世紀

    2018年07月28日号  

    ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・D・ハンゼン著『ゲッベルスと私』は、ナチス・ドイツのゲッベルス宣伝相の女性秘書だったポムゼル(1911~2017年)103歳での独白録だ。ナチスの戦争犯罪についてポムゼルは、〈自身の罪についての永遠の問いに対しては、私は早い時期に答えを出した。私には、何も罪はない。かけらも罪はない。だって、なんの罪があるというの? いいえ、私は自分に罪があるとは思わないわ。あの政権の実現に加担したという意味で、すべてのドイツ国民に咎があるというのなら、話は別よ。そういう意味では、私も含めみなに罪があった〉との認識を述べる。このような開き直りが本になり、さらに映画化されたこと自体が現下ドイツが病んでいることの証左だ。

  • 「日中関係が好転」の理由

    Book Reviews 知を磨く読書
    「日中関係が好転」の理由

    2018年07月21日号  

    近藤大介著『未来の中国年表』には、信ぴょう性の高い公開情報に基づく優れたオシント(公開情報インテリジェンス)が満載されている。例えば2017年の中国共産党第19回全国代表大会に関する分析だ。〈習近平主席は、2035年まで自らの政権を続けるつもりなのだろう。

  • 「小さな政府」だった室町幕府

    Book Reviews 知を磨く読書
    「小さな政府」だった室町幕府

    2018年07月14日号  

    久保田哲著『帝国議会』は、大日本帝国議会(国会)開設過程を実証的に分析した好著だ。国民の政治的熱狂から距離を置いた福沢諭吉の姿勢が興味深い。〈議会開設に対する福沢の「沈黙」は、彼なりの政治論であった。過度な政治熱は、やがて冷める。

  • 読解術の優れた参考書

    Book Reviews 知を磨く読書
    読解術の優れた参考書

    2018年07月07日号  

    池上彰著『知らないと恥をかく世界の大問題9』は、内外政事情の全体像を知るための最良の参考書だ。トランプ米政権がイラン核合意から離脱した件について、池上氏は〈イラン国内には、アフマディネジャド前大統領に代表される強硬派がいて、ロウハニ大統領のことを弱腰だと批判してきました。今回のアメリカの離脱で、再び批判が強まる可能性があり、核開発を再開させる恐れもあるわけです。/イスラエルはイランの核開発を許しませんから、武力を行使してでも阻止するという考え方です。また、イランと敵対するサウジアラビアも核武装に動く可能性もあるのです。イランをめぐる中東情勢は再びきな臭くなってきています〉とする。その通りと思う。イランとのビジネスは大きなリスクを伴うので、距離を置いた方がいい。

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記者の目

  • 副編集長 浅島亮子

    日本の市場関係者には、米国びいきが多い?

     今年は中国へ出張する機会が増えた年でした。回数を重ねるたびに、どうしても中国びいきになってしまいます。一方、日本の市場関係者には、米国びいきが多いように感じます。いまだに米中経済戦争の勝者は米国だと決め付けてかかっています。
     取材して思うのは、米中双方が技術覇権、軍事覇権を懸けて、あらゆる手段で技術、知財を自国に囲い込み、デスマッチを繰り広げているということです。
     翻って、日系メーカーは高度な情報収集と高度な経営判断が必要な局面にあります。日米貿易摩擦という国難を経験し、日本の自動車産業は強くなりました。今回、国内製造業は米中分断という試練をチャンスに変えることはできるでしょうか。

  • 編集長 深澤 献

    無茶な要求にゼロ回答も、編集部内摩擦は回避

     中国が市場開放と自由貿易擁護の姿勢をアピールする「中国国際輸入博覧会」が開催された11月上旬、1泊2日で上海を訪ねました。
     すると「博覧会や米中戦争に関わるスポットがあれば写真を撮ってきてください!」と、人使いの荒さでは定評のある今号の特集担当デスクからメールが。しかし、訪中の目的は全くの別件で、博覧会場をのぞく時間はなく、街なかにそんなおあつらえ向きの場所もありません。空港にいた博覧会の公式キャラクターの着ぐるみパンダなら撮れましたが、あまりにのどか過ぎるため、自らボツに。
     勝ち気なデスクの無茶な要求にゼロ回答で返したわけですが、米中の衝突とは違い、幸い深刻な摩擦には至りませんでした。

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