記事一覧:Book Reviews 知を磨く読書137

  • 正しかった「型」の教育

    Book Reviews 知を磨く読書
    正しかった「型」の教育

    2017年04月29日号  

    ポール・クルーグマン、ロビン・ウェルス著『クルーグマン ミクロ経済学』は、大学生だけでなく実務家にとっても役立つ生きた経済の教科書だ。〈市場には、分散可能なリスクや不確実性にともなうリスクを、うまく処理する機能がある。何が起こるのか、誰の家が洪水にあうのか、また誰が病気になるのか。

  • 誰かを袋だたきにしたい欲望

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    誰かを袋だたきにしたい欲望

    2017年04月22日号  

    ピエール・ロザンヴァロン著『カウンター・デモクラシー』では、ポピュリズムが持つ問題点が見事に解明されている。〈現代のポピュリズムはさらに、判事としての民衆という理念の破壊的な劣化にも呼応している。議論が交わされ検証の結果が示される法廷の場面は、ポピュリズムとともに、残虐さの劇場、あるいはサーカスの舞台へと堕落した。

  • アドルノ哲学の知的刺激

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    アドルノ哲学の知的刺激

    2017年04月15日号  

    岩波明著『発達障害』は、発達障害とどう向き合うかについて丁寧に書かれた好著だ。岩波氏は、〈(親は)、症状が軽症の際には、なかなか発達障害という考えに至らないようだ。単に「落ち着きのない子供」あるいは「おとなしく人付き合いが苦手な子供」とみなして納得していることもよくみられる。

  • キリスト教文化圏の悪と悪魔

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    キリスト教文化圏の悪と悪魔

    2017年04月08日号  

    新谷学著『「週刊文春」編集長の仕事術』は、週刊誌業界を独走する「週刊文春」の勝利の秘訣について記された作品だ。新谷氏は、〈人間関係はギブアンドテイクの積み重ねだ。相手に「自分のためにこの人はこんなことまでしてくれた」と伝わるまで尽くすのだ。そうすると「この人に言われちゃしょうがないな」「今まで世話になったし」と思ってもらえるだろう。

  • 宇宙ロケットを生んだ珍妙思想

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    宇宙ロケットを生んだ珍妙思想

    2017年04月01日号  

    清水義範著『ウケる! 大人の会話術』は、実用的な会話術の本だ。例えば、仕事で人を動かすときの話術についてこう記す。〈この依頼をあなたに受けてほしいのだ、という時は、なぜあなたに依頼するのかを語るべきである。ほかの人ではなく、なぜあなたなのか。そのことがはっきりとわかるならば、相手も動いてくれるというものである。

  • 金正恩の行動を読み解く鍵

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    金正恩の行動を読み解く鍵

    2017年03月25日号  

    山内昌之編著『中東とISの地政学』は、一級の中東専門家たちによる優れた論集だ。山内氏は、〈現在のような政府軍とテロリストの非対称の対決、アメリカとロシアなど大国間の代理戦争など多様な構図の戦闘や対決が同時進行している状況は、「複合危機」と呼ぶにふさわしいものである。

  • 名を残す村上春樹新作

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    名を残す村上春樹新作

    2017年03月18日号  

    村上春樹著『騎士団長殺し』は歴史に残る傑作だ。目には見えないが確実に存在するイデアが、主人公(私)の前に騎士団長の形を取って現れる。〈騎士団長は「歴史の中には、そのまま暗闇の中に置いておった方がよろしいこともうんとある。正しい知識が人を豊かにするとは限らんぜ。客観が主観を凌駕するとは限らんぜ。事実が妄想を吹き消すとは限らんぜ」〉と言う。

  • 高等教育と短期の利潤追求

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    高等教育と短期の利潤追求

    2017年03月11日号  

    高校の理科で地学を選択する人は少ないので、大多数の読者にとって地学は疎遠な学問と思う。鎌田浩毅著『地学ノススメ』は地学の魅力を伝える優れた作品だ。〈地球の歴史の上では、さまざまな事件が次々と起こります。

  • 自由に耐え得るたくましさ

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    自由に耐え得るたくましさ

    2017年03月04日号  

    池澤夏樹著『知の仕事術』は、読書法、表現法、整理術など知を扱う基本的技法についての優れた参考書だ。池澤氏は、〈読書とは、その本の内容を、自分の頭に移していく営みだ。きちんと読んだ本はその先、自分が物を考えるときに必ず役に立つ。

  • 「生きた言葉」という虚妄

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    「生きた言葉」という虚妄

    2017年02月25日号  

    NHK取材班著『トランプ政権と日本』では、各分野の専門家によるトランプ米大統領についての現時点での評価を知ることができる。例えば、日米関係と安全保障問題に詳しい森本敏氏(元防衛相)はこんな見方を示している。〈森本氏の個人事務所を訪れたのは、トランプ氏当選の二日後。

  • 物まね芸人とスパイの共通点

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    物まね芸人とスパイの共通点

    2017年02月18日号  

    ジョン・クリーズ著『モンティ・パイソンができるまで』は、英国のコメディアングループ「モンティ・パイソン」をつくった著者の自伝で、洞察力に富んでいる。クリーズ氏は、〈これは広く認められた真理だが、最もすぐれた物まね芸人には、みょうに個性の薄い人が多いものだ。

  • 弱まる日本社会の知力

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    弱まる日本社会の知力

    2017年02月11日号  

    雨宮処凛著『一億総貧困時代』を読むと、貧困が急速に日本社会全体に広がっていることが分かる。大学・大学院の奨学金は以下のような状況だ。〈問題なのは、学ぶために学生が多額の借金を背負わざるを得ないという状況そのものなのであり、それを後押しするかのようなシステムなのである。

  • 言語の果たす役割の大きさ

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    言語の果たす役割の大きさ

    2017年02月04日号  

    柄谷行人著『柄谷行人講演集成1995-2015 思想的地震』に収録された「他者としての物」と題された講演録が面白い。〈私の定義では、他者とは、ヴィトゲンシュタインの言い方でいえば、言語ゲームを共有しない者のことです。彼はその例として、しばしば外国人をあげていますが、精神異常者をあげてもよい。確かに、彼らとの間に合意が成立することは困難です。

  • 現代も強い力を持つ観念論

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    現代も強い力を持つ観念論

    2017年01月28日号  

    的場昭弘著『「革命」再考』は、ソ連崩壊が資本主義に与えた影響についてこう述べる。〈一時的にソ連・東欧の崩壊、中国の資本主義化で、一気に自由主義が拡大します。これによって低賃金でつくられた製品が世界に蔓延します。そして工場移転によって半周辺国、周辺国は突如として経済成長します。

  • 米国のキリスト教的価値観

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    米国のキリスト教的価値観

    2017年01月21日号  

    木谷佳楠著『アメリカ映画とキリスト教』は、米国におけるキリスト教の性格について掘り下げた傑作だ。人工的な米国社会では、米国人という概念は自明でない。米国人である(being)ということではなく、米国人になる(becoming)という生成過程が終わることなく続いている。

  • トランプ氏の顧問が見る中国

    Book Reviews 知を磨く読書
    トランプ氏の顧問が見る中国

    2017年01月14日号  

    フィオナ・ヒル、クリフォード・G・ガディ著『プーチンの世界』は、現代ロシアについての教科書的地位を占める本だ。〈プーチンの戦略上の目標は今後も変わることなく、西側諸国の防御の弱点を見つけ、西側のリーダーや市民たちを脅し、その脅しが虚勢でないことを全員に知らしめることである。だとすれば、こんどは西側諸国のほうが行動する番だ。

  • 新訳で甦る1000年前の魂

    Book Reviews 知を磨く読書
    新訳で甦る1000年前の魂

    2016年12月31日号  

    中野信子著『サイコパス』は、標準的な人と比較して他人の気持ちを忖度したり、痛みを想像したりすることが苦手なサイコパスと呼ばれる人々について、多面的に扱った興味深い本だ。〈サイコパスは状況がどれだけ混乱していても、周囲が新しいビジネスモデルに対応できずに拒否反応を起こしていても、冷静でいることが可能です。

  • 誠実なるヒューマニスト

    Book Reviews 知を磨く読書
    誠実なるヒューマニスト

    2016年12月24日号  

    宮家邦彦著『トランプ大統領とダークサイドの逆襲』は、英語、中国語、アラビア語に通暁し、土地勘もある著者の本領を発揮した優れた講義録だ。山は人々を遠ざけ、海や川は人々を近づけるというのが地政学の基本原則であるが、宮家氏はイラク情勢を読み解く場合にも山のファクターを考慮し、〈イラクは基本的に真っ平らでしょう。東西南北の「隣人」は誰か。

  • 科学と職人芸が融合した食品

    Book Reviews 知を磨く読書
    科学と職人芸が融合した食品

    2016年12月17日号  

    森山優著『日米開戦と情報戦』を読むと外交においてはタイミングが決定的に重要だということが分かる。〈最大の悲劇は、日米の強硬(と相手がみなす)態度が、最悪のタイミングで噛み合ってしまったことであろう。くりかえしになるが、国境紛争調停の段階で日本が南部仏印に進駐しておけば、アメリカが全面禁輸で対抗することは、おそらくなかったであろう。

  • プーチン政権の本質

    Book Reviews 知を磨く読書
    プーチン政権の本質

    2016年12月10日号  

    手嶋龍一著『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』は、国際政治の舞台裏を解剖した傑作だ。「パナマ文書」が暴露され、ロシアのプーチン大統領の友人であるロルドゥギンがタックスヘイブンに多額の資産を持っていた事案について手嶋氏はこう解析する。

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記者の目

  • 副編集長 藤田章夫

    個人としては通算11本目となる保険特集です

     2006年に「週刊ダイヤモンド」編集部に異動になってからほぼ毎年、保険特集を作ってきました。今号を入れて、その数11本。
     それぞれの特集に思い入れがありますが、印象深い号を思い起こせば、医療保険に絞り込んだ「医療保険に気をつけろ!」(06年)、タイトルが刺激的だった「騙されない保険」(12年)、初めて企画から構成まで全てを手掛けた「保険激変!」(15年)です。
     94ページもの大特集となった今年の保険特集も、印象に残る号になりそうです。
     そして、この号をもって、保険担当が中村記者に代わります。とはいえ金融全般を担当しますので、来年の保険特集100ページ(?)も中村記者&宮原記者と共に作ります。

  • 編集長 深澤 献

    母が買った「顧客本位」に反した個人年金保険

     傘寿を迎えた母が最近、なけなしの老後資金を、銀行に勧められるまま豪ドル建ての個人年金保険につぎ込んだとのこと。
     金融庁はこのところ、「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」の旗印の下、金融機関に顧客本位の業務運営を求めています。
     母が買った商品はまさに、外国債券と投資信託、掛け捨ての死亡保険をあえてパッケージ型にして割高の手数料を徴収する顧客本位から懸け離れたもの。昨年9月に出た金融庁の「金融レポート」でも、この手の商品を「顧客のニーズよりも、販売・製造者側の論理で金融サービスを提供しているのではないか」とバッサリ斬っています。購入時に相談に乗ってやれなかったのが悔やまれます。

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