彼を知り己を知れば百戦危うからず──。敵の実力を見極め、己の力を客観的に把握できれば、百戦しても危機に陥ることはない。

 資産運用にもこの有名な孫子の格言は当てはまる。敵(投資商品)の実力を見極め、己(自分の強みと弱み、ニーズ)を客観的に把握することができれば、百戦百勝とはいかないまでも、どんな事態にも落ち着いて対応することができるはずだ。

 図1-1は、自分がどんな投資をしたいのかを知るためのチャートだ。「元本割れはどの程度なら許容できるか」「投資先をどこまで広げるか」という2つのステップを踏むだけで、自分のニーズがわかる仕組みになっている。

 例えば、「絶対元本割れは許容できない」という人は、A1かA2の慎重型となる。その上で、「海外投資は不安なので投資先は日本国内だけにしたい」ならばA1に、「日本のほかに先進国を投資先に入れてもよい」ならばA2に当てはまる。

 元本割れを避けるためには、比較的低リスクの資産の配分を増やす必要があるため、期待リターン(将来にわたる運用で期待することのできる収益率)は2%程度と、あまり高くは望めない。

 それでも、インフレ目標の2%と同水準であり、十分資産を守ることができるレベルだろう。