がん治療でいえば、抗がん剤による治療を行う腫瘍内科医や、痛みを取る緩和ケア医も不足している。ある大学病院で治療を受けていた肺がん患者は、本来使う予定だった薬とは異なる抗がん剤を誤って投与され、白血球数の急速な低下、呼吸困難などの状態に陥り、集中治療室に運び込まれる事態となった。

 「タキソール」という名前の薬を投与するはずが、効き目が3倍以上強い「タキソテール」という薬を誤って投与されてしまったのだ。最近は電子カルテが普及し、頭文字を入れれば、パソコン画面上では、薬剤名が予測変換される機能がある。入力した医師は「タキソ」まで入力した結果、「タキソテール」「抗がん」と表示されたために、うっかり投与してしまったのだ。抗がん剤に詳しい腫瘍内科医ならば、あり得ない初歩的なミスだった。

 スーパードクターをたくさん抱えていることを喧伝したり、豪華な内装を誇る病院もあるが、本当に頼れる病院とは医療機能の要となる分野の人やモノをしっかり確保しているところだ。

医師数や設備などの医療機能
さらに経営状態まで評価した
都道府県別病院ランキング

 医療機能と経営状態で実力のある頼れる病院はどこなのか。アンケートと公表データから収集した編集部独自の13指標で評価し、全国および都道府県別にランキングを作成した。本ランキングは本誌が2009年以降実施しているもので、13年版は「医療機能」に九つの指標を設けた。医師や医療スタッフの充実度、設備の状況などに加え、救急車受け入れ件数などを追加した。「経営状態」は病床利用率、平均在院日数、人件費率、経常収支比率の四つの指標を設け、総合的に評価した。

 今回は救急機能にも注目している。過疎地域だけでなく、千葉県や埼玉県など首都圏でも救急医療は崩壊寸前だ。地域によって救急医療の格差が広がる中で、役割を果たしているのか。それを知る指標として、救急車受け入れ件数を評価対象に加えた。

 全体集計では53%が年間2000件以上を受け入れ、25%は1000件未満。救急医療には高い診療報酬がつくため受け入れに力を入れている病院もあれば、医師不足などで対応できずに避ける病院もあり、姿勢は分かれる。

 健康保険外となる先進医療にも注目した。1205病院のうち先進医療を実施しているのは22%で、大学病院に多かった。