関東地方が梅雨入りである。平年より一週間も一〇日も早いそうだ。私は母と同じく晴れ女とよく言われるのだが、雨も好きである。強い雨が木の葉を打ち、地面をぬらし、屋根をたたいて軒先から落ちてくる。あの雨垂れの音がいい。まだ若くていまよりずっとたくさん時間があったころ、窓や扉を開けてよく雨の音を聞いた。長い午後をずっと聞き入っても、少しも飽きなかった。雨の音はあのころの私に、なぜ、あんなに優しく響いてきたのだろうか。
デジタルサービス<ウェブで読む>を利用する
ログインすると本サイトのすべての記事がお楽しみいただけます。
定期購読者の方で、デジタルサービスをお申し込みの方はログインしてください。

- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
※著作権等の理由により、一部の記事・写真・図版が欠けている場合があります。