中国経済の減速や消費増税もあり日本株の上値は当面重い

世界の2大経済国が追加関税の応酬を繰り広げる「米中貿易戦争」が、株式相場に冷や水を浴びせている。

OECD(経済協力開発機構)の試算によれば、米中が互いに全輸入品に制裁関税をかけ、市場不安が広がるなど最悪のケースで、世界のGDP(国内総生産)は0・8%程度も押し下げられてしまう。 

 世界経済はリーマンショック以降、緩やかな回復基調を続けてきたが、2019年の成長見通し(3・3%)は08年(3%)以来の低水準に減速すると見込まれているさなかであり、大きな不安要因となっているのは間違いない。

 しかも長い目で見れば、米国と中国は経済のみならず、安全保障やテクノロジーなどを含む幅広い分野で「世界覇権」を争う〝戦国時代〟に入っている。問題の根は深く、米中の経済摩擦が容易に解決する局面でないのは確かだ。

 日本株相場に影響を与えるリスク要因は、米中貿易摩擦にとどまらず、中国経済の減速や消費増税などがあり、当面上値の重い展開が想定される。だが、企業業績にまで深刻な影響を与えるに至らず、株安の主因が心理的側面にとどまる場合は、下値を拾うチャンスだ。株価はその時々の投資家心理や世界経済など森羅万象を織り込んで形成されるが、何より重要なベースとなるのは企業業績だからだ。

日経平均株価の下値めどは資産価値で見ると1万9500

 株価の割安度合いを見る株価収益率(PER)は過去5年、14倍台程度で推移してきたが、足元で日経平均のPERは12倍ほどまで下がっており、過熱感が見られる状況ではない。

  また、会計上の企業価値(純資産)に対して市場での評価(株価)が何倍かを示すPBR(株価純資産倍率)が1倍の水準に対応する株価は、日経平均では1万9500円程度で、この水準が下値のめどになる。

 つまり、ここを割り込むまで売られると投資心理悪化などで「地力」を下回る水準まで下げたことになり、業績動向が変わらなければ、買いの好機と捉えられるのだ。そうした際、具体的にどのような株を買えばよいのか。各種ランキングを通して、「強い株」の姿を明らかにしていこう。

「成長株ランキング」で今後、大化けしそうな銘柄を探す

 ユニクロのフリースが爆発的に売れ始める前の1998年6月、ファーストリテイリングの株価は262・5円(株式分割考慮後の価格)だった。

 その後、フリースのヒットをきっかけとして、同社の業容は急拡大する。株価も上昇を続け、現在は6万3000円前後で推移している。もし、最安値のころに同社株に100万円を投資していれば、240倍の2億4000万円になっていることになる。

 これほどタイミングよく買うことはできないにしても、98年当時に同社株を購入していれば一財産を築けている。これが高成長株投資の醍醐味である。

 もちろん、ファーストリテイリングのような高水準の成長を成し遂げる株はほんの一握り。ただ、実績などから判断して、今後ある程度の成長を期待できそうな銘柄の候補を選び出すことはできる。

 そこで、営業利益の増加率が3期連続で10%以上の企業を対象に、今期予想営業利益の増加率の高い順に並べた「成長株ランキング」(表は抜粋)を作成した。

 

 これらの銘柄は、いったん成長が鈍化すれば、売られて値を下げる公算が大きい。買いの候補リストに入れたり、実際に購入したりしたあとも、四半期決算など業績動向のチェックが欠かせない。

「高配当ランキング」で下値不安の少ない利回り株を見つける

 いまや、銀行や郵便局で預貯金をしても、利率はほぼ0%。これでは手数料が掛からない貸金庫のようなものだ。株式は価格が変動するから、同列に論じることはできないが、株式において預貯金の利率に相当するのが、配当利回りである。

 これは、株式を購入し保有することで、株式を発行する会社から受け取る配当金額を、株式の購入金額で割ったものである。 東京証券取引所1部上場企業の予想配当利回りの平均は約2%。預貯金の利率よりずっと高い。利回りだけに着目すれば、預貯金をするよりも利回りの高い株式を購入した方が大きな収益を得ることができる。

 現在の上場企業3700社強のうち、予想配当利回りが2%を超える企業は1900社弱、3%を超える企業は全体の約4分の1に当たる960社強。4%超の企業も10分の1の360社前後ある。

 ただ、株価が大きく下落してしまうと配当金を受け取ってもトータルでは損となってしまう。できるだけ株価が下落する可能性が小さい、または下落してもその幅が小さくて済む銘柄を抽出して作成したのが、 下のランキング表(抜粋)だ。

 直近の決算期が増益かつ今期予想が増収増益、PER(株価収益率)が東証1部平均(5月10日時点で13・6倍)以下、今期の1株当たり予想配当金を1株当たり予想純利益で割って求める配当性向が100%未満などの条件で、予想配当利回りの高い順に掲載している。

 高配当でかつ業績が好調、株価指標も割安な銘柄は、市場全体が大きく下げても、市場の下落率ほどは値を下げないことが多い。

頻繁に売買せずに、ゆったりと資産形成を狙うなら連続増配企業にも注目

『週刊ダイヤモンド』5月25日号では、ほかにも投資家に参考になる情報を掲載。「連続増配企業ベスト90社」もそのひとつ。

 

 

近年になって株主還元を重視するようになった日本企業だが、実は10年以上連続で配当を増やしている企業が70社以上もある。

 連続増配年数の1位は、30期連続で増配を見込む花王。30年間で1株配当は7・1円から130円へと18倍以上になり、株価も8倍に上昇。仮に30年前に購入していた場合、簿価(購入価格)に対する利回りは年率13%近くになる。

  連続増配企業は配当が下支えするため、日本株全体が調整したときにも下値が堅い。一方、全体相場の上昇時には、利益成長と増配で株価が大きく上昇するため、攻めにも守りにも強いという特徴がある。頻繁に売買せずに、ゆったりと資産形成を狙うなら、ぜひ注目してみよう。

 株式投資で利益を上げるには、安く買って、高く売るのが基本。業績がよい銘柄でも、高値つかみをしては、資産を大きく増やすことは難しい。

 そのためにも、『週刊ダイヤモンド』5月25日号のランキングで強い銘柄をリストアップ。前回の安値やPER(株価収益率)を参考に底値のメドをつけて、それまで買うのは待とう。できれば、年に数回はある暴落局面で仕込みたい。パニック相場は、どんな銘柄でも一緒に売られるため、有望株を安く買う最高の機会だ。

2019年5月25日号[ 710円 ]

表紙
特集

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