田中利典著『よく生き、よく死ぬための仏教入門』を読むと吉野山(奈良県)で今も大きな影響力を持つ修験道の論理がよく分かる。〈日本人にとって聖なるものは、和御霊と荒御霊のふたつの形をもちます。日本の神さまはどちらかのタイプなのです。生命のバランスが整っている和御霊、勢いが前面に出ているのが荒御霊。蔵王権現さまは、そのふたつの魂を融合しています。忿怒の形相という姿かたちはいわゆる荒御霊ですが、肌の色は和御霊の慈悲を表します。「青黒は慈悲をあらわす」の慈悲です。蔵王権現さまのなかに、和御霊と荒御霊が両方とも示されている点からしても、いかにも日本らしい尊像なのです〉と田中氏が指摘する通り、蔵王権現に明治初期に行われた神仏分離令より前の日本的宗教性の特徴が表れている。

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