「湯河君、ちょっといいかね」廊下を歩く湯河を、背後から生駒が呼び止めた。湯河が振り向くと、生駒は「ついて来い」と言って非常階段の方に向かった。そこから一フロア下りると、生駒は会議室の札を「使用中」に変えて、中に入った。窓が一つしかない部屋は薄暗い。それでも生駒は明かりを点けなかった。震災以降、庁舎内はギリギリのレベルまで節電しているためだ。

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