『週刊ダイヤモンド』1月9日号の第1特集は「営業大転職時代」。営業マンが知っておきたい転職&仕事の最新事情をお届けします。

 「あなたにもし不幸があった場合、保険に入っていなかったら奥さんは収入を得るために働き詰め。お子さんの運動会すら見に行ってあげられないかもしれない……」

 生命保険の営業ウーマン、生保レディの定番の殺し文句である。

 かつては気付けば職場に「保険のおばちゃん」が来ていて、こんな立て板に水の営業トークをかましていたもの。「どのみち入ろうと思っていたから」と、ついほだされて契約書にサインする人も少なくなかった。

 しかし、いまやインターネットや保険ショップで各社の保険が比較できる時代だ。「何となく」で契約を決める安直な加入者は減っており、特定の1社の保険しか売れない生保レディは分が悪くなっている。

 比較サイトの普及により、顧客が保険の仕組みを勉強するようになっているのもまた事実で、「袖を引っ張って『買って買って』と言っても売れなくなった。今は頭が悪くちゃ売れないのよ」(ベテラン生保レディ)。

 2005年に発覚した保険金不払い問題の反省から、生保はどこも、生保レディに担当企業や担当エリアをはっきり課し、契約内容の確認作業を強化するよう厳命を下している。

 しかし、いくら担当が振り分けられていても、最近は企業のセキュリティ意識が高くなり、以前のように自由に営業先に出入りができなくなっている。

 顧客からの紹介で別の客の職場まで出向く機会などが多いベテランと違い、新人の生保レディの間では、確認作業を〝口実〟に売り込むチャンスを生かし切れないじれったさが濃厚に漂う今日このごろである。

業種を俯瞰すると飢える姿が透けて見える

 一口に「営業マン」といっても、同じ企業で働く同僚同士ですら仕事の内容は一律でない。所属部署によって扱う商品も違えば担当する顧客も違うし、個々人によって営業スタイルだって違う。

 しかし、前述の生命保険業界のように、現在~近未来に起こるであろうビジネス環境の変化を想定して業種ごとに俯瞰すると、「飢える営業」と「食える営業」それぞれに属する営業の姿が透けて見えてくる。

 もちろん「飢える」にマッピングされているからといって、そこに属する営業マン全員が「飢える」わけではない。その中で生き残れる者と、振り落とされる者に分かれるということだ。

 1月は転職に向けて動きだす人が多い月。年末に賞与をもらい、4月入社を目指すからだ。足元の転職求人数、転職したい人(転職希望者数)は、過去最高レベルにある。

 旺盛な求人は、今の逼迫した人手不足を受けているのはもちろんだが、少子高齢化による慢性的人手不足を見据えて、採用を行っている面もある。

 各業種とも、そうした背景から総じて求人は多いが、転職にまつわるランキングから、業界の個別事情も見えてくる。

 人材サービス大手インテリジェンスのデータによると、11年と比較して15年に中途求人が増えた業種のトップはエネルギーだ。

 同社の木下学DODA編集長によると、12年に再生エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったことから、再生可能エネルギー関連の民間事業者の新規参入が増えたのだ。

 加えて16年4月に家庭向け電力小売り市場が自由化されるため、顧客争奪戦に備えて、東京電力をはじめとする既存の電力会社が中途採用を開始している。

 続く2位のリースもエネルギー関連の背景を持つ。太陽光パネルをリース契約で設置したいというニーズに対応するといった、再生可能エネルギー絡みでビジネスを拡大している。このほか日系企業の海外進出を取り込んだ事業の拡大もある。

 15年に他社への転職希望者が増えた業種の1位は総合電機。大手でリストラが相次ぐ中で、転職準備を始める人が多いことがうかがえる。

 人材サービス大手のリクルートキャリアのデータから15年と11年の転職時平均年収ランキングを見ると、総合電機は下降傾向にあるが、それでも上位だ。

 意外に感じるかもしれないが、経営難や再編という激動の時代が続き、人材も流動している半導体がどちらも1位。顧客に合わせてカスタム開発できるスペックが求められるためだ。

転職の求人数と希望者数は過去最高レベル

 『週刊ダイヤモンド』2016年1月9日号の第1特集は「営業大転職時代」です。足元の転職求人数、転職希望者数は過去最高レベル。4月入社を目指し転職に向けて動き出す人も多いこのタイミングで、営業マンの転職&仕事事情に迫りました。

 市場環境や企業の経営状況、顧客ターゲットの変化、海外売上高比率など、各業種のビジネス環境は目まぐるしく変化しています。そんな中、「飢える営業」と「食える営業」を分かつものは、いったい何なのか。パート1では業種別に「飢える営業」「食える営業」の実態に迫りました。

 パート2は「営業マン大転職時代」。取り巻く環境の変化に伴って転職する営業マンもいます。ただ、目の前の仕事に追われるため「他業界の仕事事情や求人状況なんて分からない」。ごもっともです。

 そこで、転職に動いている人を含め営業マンたちの声を集めるとともに、リクルートキャリア、インテリジェンス、マイナビ、エン・ジャパン、ジェイ エイ シー リクルートメント、ビズリーチなどさまざまな人材サービス会社の最新データや取材を通じて、転職の最新事情をまとめました。

 転職市場が活況ななか、中途求人数が最も多い業種は人材サービス。また、営業マン大移動マップから流通/小売りが人材の「一大供給源」になっていることが分かります。

 詳細なコンテンツは▼狙い撃ちされる中年リストラの悲惨▼製薬バブル終焉でエリートMRたちの悲鳴▼電力自由化で最前線へ投入”初心者”東電マンの憂鬱▼憧れの総合商社マンに転じた男▼逆風の中を生き抜く女たち▼営業に慣れぬコールセンター現場の戸惑い▼年収1000万円プレーヤーに異変▼アジア9か国の日本人営業マン需要▼成績上位3割に食い込め!提案営業に効く5つのスキル▼タイミングと能力が重要!中年の転職▼転職成功に知っておくべき3ルート&4エリアの”常識”▼54業種営業マン転職&年収データ――などなど。

 あなたは「食える営業マン」ですか?
 

2016年1月9日号[ 本体657円+税 ]

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特集

食える営業 飢える営業 大転職時代

【 Part1 】飢える営業 食える営業
【 Part2 】営業マン大転職時代
【リスト】54業種営業マン転職&年収データ