辞められてしまうと
昇進に影響するから

 そうした部下たちを前に、上司たちも戸惑いを隠せない。
「自分たちは先輩の背中を見て覚えろと言われて育った世代。見よう見まねで仕事を覚え、時折、上司から烈火のごとく怒られて育った。叱られたいなんて、上司に甘えている証拠」

 45歳の管理職の男性からはそうした嘆きも漏れるが、京都造形芸術大学の本間正人教授は「上司の背中に何か書いてありますか?」と笑いながら、「そうした管理職は、今や絶滅危惧種」と切って捨てる。

「グローバル企業では怒りながら部下を教育しているような人は、バランス感覚がなくマネジャーとしての適性がないと見なされ、管理職にはなれない」(本間氏)

 とはいえ、上司からは「怒られて育てられたのだから、それ以外の方法は分からない」といった声も聞こえてくる。そうした弱音に対し、本間氏は「インターネットやSNSなどを使った情報収集能力は部下世代にはかなわない。そうした点を認め、足りないところは一から教えてあげればいい」と指摘する。

 本間氏によれば、叱る前にティーチングから始めることが重要だという。若い世代は効率よく能動的に学習する能力が高いため、「それさえ読めば完成するレシピのようなマニュアルを作り、与える仕事について全て教えることから始めればいい」と訴える。

 一方で、こうした上司は実は少数派。本誌は、上司と部下300人ずつにインターネットアンケートを実施したが、その結果、6割以上の上司が「叱ったことがない」「ほぼ叱っていない」と答えているのだ。

 その理由として、「人間関係を壊したくない」「職場の雰囲気を悪くしたくない」「すぐに辞めてしまうから怖い」といった意見が多い。自分のせいで辞めたとなると、昇進にも影響してくるからなおさらだとの声もあった。

 叱られたいと願う部下に、叱れない上司。なんともアンバランスな現状が今、そこかしこにある。

34%の若手が「叱られたことがない」
6割近くの上司が「叱り下手」

『週刊ダイヤモンド』3月28日号は、「叱れない上司 叱られたい部下」という一風変わった特集です。

 まもなく新年度、異動に加え新入社員もやってきて、職場の雰囲気もがらりと替わる季節です。メンバーの実力を伸ばし、職場の成績を上げる。そのためには、時に「叱る」ことが重要となります。しかし、そのノウハウをきちんと学んだ人は、ほとんどいないでしょう。

 しかし今回、上司と部下それぞれ300人ずつ、合計600人にアンケートを実施したところ、35歳以下の若手サラリーマンのうち実に34%が「叱られたことがない」と回答。しかし「自分が成長するチャンス」「会社や組織を強くするためには必要」「上司に関心を持ってもらえるから」といった理由で「叱られたい」と願っているのです。

 ところが、残念なことに「上司が叱り上手」と感じているのはわずか42%程度。6割近くの上司が「叱り下手」だと思われているのです。

 そこで今回の特集では、「叱り方」のノウハウを基礎から応用編まで全網羅。また、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長や尾木直樹さん、通称〝尾木ママ〟、箱根駅伝で優勝した青山学院大学陸上部の原晋監督など、「叱りの達人」たちにインタビューし、〝型破り叱り術〟をうかがいました。

 また、グラビアアイドルの吉木りささんも登場!テレビ東京の深夜番組「吉木りさに怒られたい」
がブレイクしている秘密について語ってもらっています。誌面でも「このポンコツ野郎!」と怒ってもらいました。

 叱り上手になれば、職場の人間関係が円滑になり、業務の成績が上がることも請け合い。是非、ご覧ください。

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週刊ダイヤモンド2015年3月28日号
「叱れない上司 叱られたい部下」

◆プロローグ 「叱ることを恐れるな!」吉木りさ

◆Part1 増殖する叱られたい部下

Part2 叱り上手・叱られ上手になる

◆Part3 達人が伝授!型破り叱り術

 

 

 

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