優れた学術書は、現実の問題を解決するのにも役立つ。新潟国際情報大学国際学部の神長英輔准教授の博士論文を基にまとめた労作『「北洋」の誕生』がまさにそのような本だ。神長氏は、〈北洋という認識の枠組みは自然にできたものではない。北洋漁業に関する語りにはたいていの場合、政治的な動機がある。そうした動機に基づいて物語が生産され、それは説得力のあるものとして広く受け入れられた。そしてさらにそうした状況を受けて政治的な判断がなされ、現実が動いた。そうして動いた現実は人々の解釈を経て物語に働きかけ、人々の認識の枠組みもまた変化した〉と強調する。物語が物語を生産して、それによって国内政治や外交も動くのである。ロシアとの北方領土問題を解決するためにも、日本にとってロシアがどのような意味を持つかという「新しい物語」の構築が不可欠と思う。

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