『戦後70年 保守のアジア観』は朝日新聞元主筆の若宮啓文氏が、反省と歴史修正主義の間で揺れ動く日本の保守政治家のアジア観について掘り下げて考察した労作だ。例えば、田中角栄の中国観についてこう記す。〈「日米基軸」という基本路線はいささかも疑わない田中ではあったが、欧米という「表」に対する「裏」のアジアに、「越後」を重ねあわせたとしても不思議はない。国交正常化の前のこと、田中は細々と日中貿易をしていた人物に「中国を相手にあこぎなことをするな。あそこは貧乏だ。今夜の飯を食うのにも必死だ。金持ちから儲けろ」と忠告したことがあったという。ここにも「裏」の親近感が読みとれる。のちに安倍晋三が田中以来の「日中友好」のあり方に批判を向けるとき、そこには日本を脅かすほどの中国経済の急進展が背景にある。田中の見ることのなかった時代の到来である〉。国際社会の「裏」のプレーヤーでしかなかった中国が「表」に出てきて既存のルールを変更しようとするので、日中関係が緊張しているのだ。

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