真のグローバル企業を目指す
第3の創業期

週刊ダイヤモンド1月24日号の第1特集は「孫正義 世界を買う」です。

 1981年に設立されたソフトバンクが今、「第3の創業期」を迎えています。

 同社の「第1の創業期」となる、もともとの祖業はパソコン用ソフト卸業でした。ところが94年7月に店頭市場に株式公開すると、矢継ぎ早に企業買収を始めました。出版や展示会事業を手がける米ジフ・デービス、世界最大のパソコン展示会だったコムデックス、さらには豪ニューズ社のルパート・マードック氏組んでとテレビ朝日の買収に乗り出したり、米メモリボード大手のキングストンテクノロジーを買収するなど、孫正義社長といえば“買い物王”というイメージを定着させました。

 2000年前後のネットバブル時には、グループ傘下の企業を次々に株式公開させ、時価総額はトヨタ自動車を上回る20兆円に達し、「インターネット財閥」を標榜していたものです。

 ところが、2001年のネットバブル崩壊によって株価は約100分の1にまで下落し、時価総額は2800億円に。業績も赤字に陥り、当然ながら経営戦略の転換を迫られることになりました。

 そんな中で打ち出したのが、ADSL(非対称デジタル加入者線)によるブロードバンド「ヤフーBB」への参入でした。そして、固定通信の日本テレコム、移動通信のボーダフォンを買収し、すっかり通信事業者へと生まれ変わりました。これが「第2の創業期」です。

 とはいえ、つい最近までソフトバンクの売上高の99%以上は日本国内からのものでした。

 そして今、海外事業を続々と買収し、グローバル企業へと変貌しようとしています。14年秋に米グーグルの副社長だったニケシュ・アローラ氏をスカウトし、M&A戦略の“水先案内人”として、米国、欧州、中国、インド……と、世界中の企業に触手を伸ばしています。まさに世界を買いまくる「第3の創業期」を迎えているわけです。

 今号では、孫社長の新しい相棒・ニニケシュ・アローラ氏の就任後初となる単独インタビューから、世界中に張り巡らされた買収ネットワークの解明、孫社長に“買われた”異色経営者たちへの直接取材などを通して、ソフトバンクのM&A戦略の全貌に迫ります。

 担当記者たちが世界中を飛び回って取材した、自信を持ってお届けする力作です。